高安ミツ子
猛暑が終わるころになると夕方から早朝にかけ咲きだすのが「夕顔」です。
ちなみに、この夕顔は「源氏物語」に出てくる夕顔とは違い明治になり外国から輸入された花だそうです。
純白で大輪に咲く花です。一度見たら記憶に残る花と言えましょう。その香りはほんのりと気高さがあって
宵闇に見る夕顔は息をのむような美しさで魅力的な花です。
毎年、夫が種を傷つけ5月に蒔き本葉が出ましたら近所の花好きな方々に差し上げています。
花好きなうちのおひとりで、とても夕顔の好きな花友達がいました。
花の香りを掌で包むように顔を着けて花を愛おしんでいた様子が思い浮かびます。
花を通し生活や今の自分の思いを互いに語る楽しい時間がありました。その友が突然60代の若さで亡く
なられました。突然のことで信じられない思いが続いています。しかし、現実は会えない、語れない
寂しさを知らせています。そんな思いを心に飲み込んで今年の夕顔を眺めています。
美しさと寂しさ、そして生命のはかなさを感じる9月に夕顔は咲いています。