手島は、NJさんに酒を注がれて、よほどうれしかったのだろう、会場内に、N、NJさんから注いでもらったぞ、と大声が響き渡った、次にNJさんから、私つくすほうなの、と言われて、おお、と感激の声をあげ、有頂天になった、同時にNは、NJさんにふられたと、悲しくなり、むなしくなり、やるせなくなり、そして、いたたまられなくなり、宴会の席をたった、翌日、手島がNJさんに交際を申し込んだところ、NJさんはNさんと帰りたかったのよと言われて、俺はピエロか、と大声で言ったという、好きでもない男に酒を注ぐとこうなる、会場にいる全員に誤解を招き、思いもしなかった、恋人が誤解して去っていく、そして自分も恋人にふられたと誤解することになる、恋人がふられたと思ったのは間違いだったと気づいたときは、自分は絶望して、恋人の前から姿を消してしまっていた、何気ない一献は何気なくない、凶器になる、恋人の男は狂気になる、そして一生、なぜそうなったか思いめぐす航海を一人でいつまでも続けていく、おそらく答えは自分では導き出せない航海を果てしなく続けていくことになる、この人生で、やってみたいこと、興味を持ったこと、得意なこと、のすべてを犠牲にして、なんのためかわからない航海をまだまだ続けていくのだろう、見る人によってはこれほどむごい航海はないかもしれない、自業自得だ。