東京・春・音楽祭の歌曲シリーズ vol.37レネケ・ルイテン(ソプラノ)&トム・ヤンセン(ピアノ)を聴きに行ってきた。場所は東京文化会館小ホール、7,000円、19時開演、終演21時10分。結構観客が来ていた、7割くらいは埋まっていたか。
出演
ソプラノ:レネケ・ルイテン(オランダ、47)
ピアノ:トム・ヤンセン
曲目
シューベルト:
春に D882
すみれ D786
シューマン:《詩人の恋》op.48
R.シュトラウス:
《おとめの花》op.22
《4つの最後の歌》
レネケ・ルイテン(ソプラノ)はハーグ王立音楽院とミュンヘンのバイエルン国立歌劇場アカデミーでフルートと声楽を学ぶ。コンサートやオペラの分野で、卓越した国際的なキャリアを持つ引く手あまたのソプラノの一人である。今夜の彼女は紫のワイン色のドレスに身を包み、髪を後ろに束ね、颯爽とした姿で登場した。初めて聴く歌手だ。
トム・ヤンセン(ピアノ)は頻繁に様々な音楽祭に招かれており、デルフト室内楽音楽祭、ゴールウェイ音楽祭、ハーグランデン音楽祭等に出演する他、オランダ放送4やBBC 3、バイエルン放送、ベルギー国立放送等のラジオやテレビで収録もしている。現在はハーグ王立音楽院で教鞭を執る。
シューベルトの「春に」は 1826 年の作、エルンスト・シュルツェの詩。「すみれ」は 1823 年の作、詩はシューベルトとも親交のあったオーストリアの詩人フランツ・フォン・ショーバー
シューマンの《詩人の恋》(全 16 曲)は、1840年、クララとの結婚が叶った年の作、ドイツ・ロマン派の詩人ハインリヒ・ハイネ『歌の本』所収の詩をもとにした連作歌曲集
R.シュトラウスの《おとめの花》は1886~88 年に書かれた、シュトラウスと同時代のドイツを生きた法律家・詩人フェリックス・ダーンの詩による全 4 曲
R.シュトラウス:《4 つの最後の歌》はR.シュトラウスが亡くなる前年(1948)の作。アイヒェンドルフの詩「夕映えに」に接し、これに音楽を付けることを思い立った、そして、折良く手にしたヘッセの詩集から選んだ 3 篇に付曲したものと合わせた
歌曲、ドイツではリート(LiedあるいはKunstlied。複数形はリーダー)、を聴くのは好きである。日頃聴くのはシューベルト、シューマン、R・シュトラウスなどである。リートは独立した詩歌に音楽を付けてひとつの完結した音楽作品としてまとめたものである、通常は本日の公演のようにピアノと歌手の組み合わせで演奏されるがオーケストラが伴奏する場合もある。
リートを大きく発展させたのは私の好きなシューベルトである、彼の600曲以上のリート作品は単独の作品のほか、『美しき水車小屋の娘』、『冬の旅』、そして死後出版社がまとめたものではあるが『白鳥の歌』の「3大歌曲集」がよく知られ、演奏・録音頻度も高い。シューベルトやシュトラウスの歌曲集のCDをBGMで聴きながら読書するなどは最高の贅沢だ。
今日の公演では最後のR・シュトラウスの「4つの最後の歌」に期待した、というのは、本ブログのハンドルネーム「4Lastsongs」はここから取ったからである。エリザベス・シュワルツコフが歌うシュトラウスの「4つの最後の歌」のCDに含まれる16曲は本当に素晴らしい。
また、今日の公演では歌詞の対訳が配付された、これはどういう詩で歌っているかわかるので大変有難いサービスだ。
今日のレネケ・ルイテンの歌はトム・ヤンセンのピアノとピッタリ合っており、素晴らしいものだった、期待通りのパフォーマンスであり満足した。リートを公演会で聴ける機会はそう多くないので貴重な機会であった。
そして、アンコールに応えて、レネケ・ルイテンが「Morgen(あすの朝)」と曲を紹介したときは、思わず拍手した(曲は下に貼付けたYouTube参照)。リート公演会のアンコールに相応しい曲で上記のCDにも含まれている。シューベルトの「An die Musik(音楽に寄せて)」(曲は下に貼付けたYouTube参照)か「Morgen」のどちらかを歌ってくれれば最高と思っていた。
[ アンコール曲 ]
R.シュトラウス:
4つの歌 op. 27 より 第4曲 あすの朝
献呈
「最後の花びら」より 8つの歌 op.10 より 第3曲 夜
満足した夜でした。
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