歌劇「ジョコンダ」をテレビで鑑賞した、場所はサン・カルロ劇場(ナポリ) 、初めて見るオペラ、時間は3時間、めったに上演されることがないオペラらしい
作曲:ポンキエッリ (伊、1834-1886)
原作:ヴィクトル・ユゴー(仏、1885年没83才)
台本:アッリーゴ・ボーイト(伊、1842-1918)
演出:ロマン・ジルベール
ポンキエッリはヴェルディとプッチーニの間の世代、ミラノ音楽院教授としてプッチーニやマスカーニを指導した、また、台本のボーイトは晩年のヴェルディの共同作業者として有名
<出演>
ジョコンダ(ベニスの歌姫):アンナ・ネトレプコ
エンツォ・グリマルド(かつて貴族、今は船乗り):ヨナス・カウフマン
ラウラ・アドルノ(総督の妻):エヴ・モー・ユボー
アルヴィーゼ・バドエーロ(ヴェネツィア総督):アレクサンデル・クペツィ
バルナバ(密偵):リュドヴィク・テジエ
チェーカ(ジョコンダの母、盲目):クセニヤ・ニコラエヴァ
バレエ:サン・カルロ劇場バレエ団
管弦楽:サン・カルロ劇場管弦楽団
指揮:ピンカス・スタインバーグ
収録:2024年4月10・16日 サン・カルロ劇場
鑑賞した感想
- 初めてみるオペラだったが十分楽しめた、ストーリーは少し複雑だったが音楽は比較的わかりやすく、演出も奇抜なところがないオーソドックスなもので良かった
- タイトルロールがネトレプコ、その恋人役がカウフマンという当世一の歌手の組み合わせという豪華さ、両者とも期待にたがわず良い演技と歌を披露してくれた
- ネトレプコは髪形を工夫して若く見えるようにしていたのが良かった、目の周りの化粧がもう少し薄くなれば完璧だったと思う、ただ、こういう役をやるならもう少し痩せてほしい、今回はぎりぎりOKとした(若いころはスリムだっただけどね)、ただ、歌唱力、声量は衰えておらず、さすがだと思った
- ジョコンダというのは陽気な女という意味だが、オペラの中では大部分、自己を犠牲にして母の恩人である恋敵と自分を裏切った恋人との逃走を助け、最後は自殺するという暗い役であり、ジョコンダという名前が劇に合っていないと思った、また、ジョコンダによる「自己犠牲」という点で歌舞伎などによくみられるストーリーと類似している意外感があった
- カウフマンはカッコよかったし、歌もうまかった、文句なしだ
- 盲目の母親役のクセニヤ・ニコラエヴァのメイクがあまりにもグロテスクではないかと感じた
- ラウラ役のエヴ・モー・ユボー、アルヴィーゼ役のアレクサンデル・クペツィ、バルナバ役のリュドヴィク・テジエはまずまずであった
- 第3幕第2場のバレエの場面で使われる「時の踊り」が非常に有名、確かに楽しめる場面であった、ただ、音楽はそれほど良いとは感じなかった
- 総督から不倫の罪を責められ毒を飲んで自殺せよと迫られた妻ラウラを救うため、ジョコンダは飲んでも仮死状態になるだけで後で生き返る薬をラウラに渡して自死したと見せかける場面がある、同じような薬の話がロメオとジュリエットにあったなと思い出した
- 最後に自分をバルナバの自由にさせないためジョコンダが自害したあと、母の亡霊が出てきてバルナバに襲いかかるような場面で終わりになるが、その母の亡霊が出てくるところがこの演出独自の特徴かと思った
意外と面白いオペラでした
ストーリー
第1幕 獅子の口、総督宮殿の中庭
謝肉祭の日、ジョコンダが母をおいて恋人のエンツォに会いに行くと、ジョコンダに袖にされたバルナバが母を魔女に仕立てあげて殺せと大騒ぎ、総督のアルヴィーゼが夫人ラウラとともに現れラウラの嘆願で母の解放を命じる、母はラウラにロザリオを礼に渡す。エンツォはバルナバに正体を見破られるが、ラウラとの密会のセッティングをやってくれると言われ感謝するが、これが策略で、不倫を総督に密告される。
第2幕 ロザリオの祈り、ベネチアの対岸、フジーナの岸辺
エンツォの船、ラウラが現れエンツォとの愛を確かめ合う、エンツォが舵の様子を見に立ち去ったところに、ジョコンダが登場しラウラに怒りをぶつけ言い争いに、ジョコンダは短刀でラウラを刺そうとすると、不倫の現場をおさえに来た総督の船が。ジョコンダはラウラが持つロザリオを見て、母の恩人がこの女であることを知り、立ち去らせて救う。戻ってきたエンツォに向かって「もう彼女はあんたを愛してはいない」と言うがエンツォは激怒し舟に火をつける
第3幕 黄金館
第1場 アルヴィーゼの宮殿の一室
総督の部屋の中。隣の部屋では舞踏会が開かれている。総督が妻の不倫に怒り狂っているところへ、ラウラが入ってくると「これで自らの命を絶つのだ」と毒薬の瓶を渡して去ると、舞踏会に歌いに来ていたジョコンダが入ってきて、ラウラに毒薬の代わりに、仮死状態になる薬を手渡す。
第2場 祝宴のために装飾された豪華な部屋
舞踏会場。総督は何食わぬ顔で招待客に挨拶、歌や踊りが始まる。そのあと提督は家名を汚した妻を殺したと言い、死体がある床の穴のカバーを取る、客の中に紛れ込んでいたエンツォが、「私を追放した上に、愛する人まで奪ってしまった。」と総督に食って掛かるが牢に入れられる、ジョコンダはバルナバに「エンツォを助けてくれるのなら、あんたに体を与える」と耳打ちする(これだけ露骨な和訳は如何なものか)、母の行方が分からなくなる
第4幕 オルファーノ運河、ジュデッカ島の廃墟となった宮殿の中庭
一人になったジョコンダは、ラウラの毒薬を飲んで死のうとするが思いとどまる。そこへ、牢を逃げ出したエンツォが入ってきて、ラウラが死んだのならその墓のそばで死ぬと言い、ジョコンダが墓には死体はないと言うと、エンツォは激怒してジョコンダを殺そうとする。そのとき、生き返ったラウラの声、喜びで抱き合う二人。ラウラは「あなたが救ってくれた」とジョコンダに感謝する。手配していた船が着いたので送り出すジョコンダ、そこへ、期待に胸を膨らませたバルナバがやってくるが、ジョコンダは突然短刀で自害。バルナバは、ジョコンダの母を殺したことを告白するが、もうジョコンダには聞こえなかった
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