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ブレゲンツ音楽祭2024歌劇「魔弾の射手」をテレビ鑑賞

2024年12月07日 | オペラ・バレエ

ブレゲンツ音楽祭2024歌劇「魔弾の射手」をテレビで観た、この演目のCDはたまに聴くが、映像でオペラを観るのは初めてかもしれない

ウェーバー作曲
演出・美術・照明:フィリップ・シュテルツル

<出演>

アガーテ:ニコラ・ヒレブラント(1993、独、ソプラノ)
マックス(営林署の書記官):マウロ・ペーター(1987、スイス、テノール)
ザミエル(悪魔):モーリッツ・フォン・トロイエンフェルス(1988、独)
エンヒェン(アガーテ従妹):カタリーナ・ルックガーバー
カスパール(マックス同僚):クリストフ・フィシェッサー
キリアン(牛飼い):マクシミリアン・クルメン
クーノー(アガーテ父):フランツ・ハヴラタ
オットカール(領主):リヴィウ・ホーレンダー
隠者:アンドレアス・ヴォルフ

合唱:ブレゲンツ音楽祭合唱団、プラハ・フィルハーモニー合唱団
管弦楽:ウィーン交響楽団
指揮:エンリケ・マッツォーラ 
収録:2024年7月12・17・19日 ボーデン湖上ステージ(オーストリア・ブレゲンツ)

今回の舞台はスイスとオーストリア、ドイツの3国にまたがるボーデン湖の湖上ステージ、夕日が沈むころから舞台が始まるムード満点の設定

 
舞台は30年戦争直後のボヘミア、銃が苦手な営林署の書記官のマックス、射撃試験に優勝しないと婚約者のアガーテと結婚できない彼に魔弾の誘惑が忍び寄る、魔弾とは黒魔術で製造される6発までは思いのままに命中するが、7発目を誰に当てるかは悪魔が握っているという弾丸

今回の演出はフィリップ・シュテルツル、湖上にゴシック・ホラーの世界を出現させ、物語も出演者も現代風にアレンジされ、悪魔ザミエルが狂言回しのように物語の進行を語るユニークなもの

鑑賞した感想などを書いてみたい

  • 湖の湖上ステージで観客席もやたらと大きいため、歌手はマイクを付けて歌っていた、遠い座席からは歌手たちは豆粒にしか見えないだろう、テレビでは会場にスクリーンがあったどうかわからなかったが、他の方のブログを読むとスクリーンの用意があったようだ
  • テレビではオーケストラも全く見えなかった、どうも舞台の下で演奏していたようだ、この演奏もスピーカーで大きくして流していたのでしょう、指揮者やオーケストラの演奏の模様もスクリーンで写されたようだ
  • 演目の内容も通常のオーソドックスなものからかなりアレンジしてあり、悪魔のセリフなどはこのオペラ独自のものらしいので、ある意味、原作とは別の野外劇場用のエンターテイメントオペラになっていると言えよう
  • 歌劇の構成もプロローグ(若い娘の葬儀)とそれ続く3幕だが幕間がない2時間の1幕物になっている、そのプロローグではアガーテの葬式と住民の怒りをかって殺されるマックスの死が描かれ、悲劇の結末を予期させる出だしとなっているが、第3幕の終りの所で、悪魔がハッピーエンドにしてやるか、と言って原作通りメデタシ・メデタシで終わる

  • 歌手では主役のアガーテ役のニコラ・ヒレブラント(Nikola Hillebrand)が素晴らしかった、美人だし、スタイルも良いし、歌も声量豊かでうまかった、初めて見る歌手だがすっかり気にいった
  • 調べてみると彼女はまだキャリアの初期段階であるが、ドイツのゼンパーオーパーでいつくかのオペラに出演しているほかボンやリヨン、チューリッヒ、ハンブルクなどで経験を重ねているという、ただ、演じた役はまだ主役級の役ではなく、今回のアガーテが初の主役ではないかと思う、彼女は容姿・能力から言って椿姫のヴィオレッタなどの主役をやれると思った
  • それと比べると恋人のマックス役のマウロ・ペーターは小太りで、銃がうまく打てない書記官という設定で、どうしてアガーテのような美女と相思相愛になるのかイメージできないが、劇中でアガーテに「男は銃のうまい下手で争うが彼は筆で仕事をしている(ところに惚れた)」と言わせていた、彼の歌自体は問題ないと思った

  • 次に素晴らしかったのは悪魔ザミエル役のアンドレアス・ヴォルフ(Moritz von Treuenfels)だ、彼は歌は歌わない、セリフだけだ、彼はオペラ歌手ではなく、ドイツの映画俳優、演劇俳優だ、今回の彼の役回りからそれで充分務まる、真っ赤なスパイダーマンのような衣装に身を包み、毒のあるセリフで登場人物たちを混乱させる役を実にうまく演じていた
  • オペラの中で妙だなと思ったのは同性愛的なセリフが入っていたところだ、例えば、悪魔がマックスに「俺たち愛し合おうよ」というところや、エンヒェン(アガーテ従妹)がアガーテにマックスを捨てて射撃試験前にスイスに逃れようと彼女に気があるようなセリフを言うところがあり、二人で抱き合ってキスまでする場面があるところだ、原作にそんなところがあるかどうか知らないが、演出のフィリップ・シュテルツルが最近のLGBTなどの注目話題を入れたということだろうと思った、やれやれだ

よくできた屋外オペラのエンターテイメントだと思った



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