私の家内の実家である富山県南砺市の集落には、昔から獅子舞が伝わっています。
「獅子舞が家に来るから、帰ってこんね!」とよく義父から言われました。「帰ってこんね。」とは「帰ってきなさい。」
という意味の方言です。
大阪などで観る獅子舞は、お正月などに舞ってくれる唐草模様の体に赤い顔の獅子を思い浮かべます。
しかし、富山県の獅子舞はちょっと違います。まず、色合いがかなり派手です。色使いも多種多様です。
そして、顔も体も大きく、大勢が獅子の中に入って舞います。
獅子舞を舞ったり、笛や太鼓を演奏する人たちのことを地元では獅子方若連中と謂います。
おもに地元の青年団の方々です。
秋祭りの時期になると、獅子舞の来る家は大忙しです。朝から、獅子方若連中に振舞う料理を作って用意し、
男性は式服、女性は着物でお迎えです。
そして、獅子方若連中は街中を練り歩きながら、笛や太鼓の音とともに、やってきます。獅子舞の前には刀を持った子供たちが、
顔を白く塗られて、獅子舞の先導をします。地元の青年団長は紋付袴で、それに付き従います。
獅子舞が家に来ると、家の亭主は、花代と謂われるご祝儀を獅子舞の口にくわえさせるようにして渡します。
その後、花代の内容に応じて、獅子舞が派手派手しく、舞ってくれます。
たいだい、廻ってくれる家は、結婚した人がいる家や、青年団長になった人の家など、慶事があった家が中心です。
結婚した家の花婿は、獅子舞の舞いの後、必ず、水をかけられ、手荒い祝福を受けます。
とても、マイナーな地元の風習なのですが、今後も永く伝えていってほしいなと思います。
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