帯とけの古典文芸

和歌を中心とした日本の古典文芸の清よげな姿と心におかしきところを紐解く。深い心があれば自ずからとける。

帯とけの枕草子〔百五十二〕とくゆかしき物

2011-08-24 07:27:38 | 古典

  



                     帯とけの枕草子〔百五十二〕とくゆかしき物



 言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」のみ。「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。



 清少納言枕草子〔百五十二〕とくゆかしき物

 
 文の清げな姿
 はやく知りたいもの、巻き染(縞模様染)、むら濃(濃淡模様染め)、括り物(絞り染め)などを染めている・染め上がり。人が子を産んだとき、男女を早く聞きたい、良き人はなおさらである。ふつうの者、げ衆の身分の程でも、やはり聞きたい。除目(官職任免の日)の明くる朝、必ず、知る人がそうなるのが当然でないときでも、やはり、結果を・聞きたい。


 原文

とくゆかしき物、まきぞめ、むらご、くゝり物などそめたる。人のこうみたるに、をとこ女、とくきかまほし。よき人さら也、ゑせ物、げすのきはだに猶ゆかし。ぢもくのつとめて、かならず、しる人のさるべきなきをりも、猶きかまほし。


 心におかしきところ

はやく知りたいもの、巻き染、むら濃、括り物などを染めている。

人が子を産んだとき、男女を早く聞きたい、身分高い人はなおさらである。ふつうの者、げ衆の身の程でも、やはり聞きたい。

沈黙の明くる朝、賀ならず、汁る男が、そうなるのが当然ではない折りも、汝お、何に故か・聞きたい。



 言の戯れと言の心

「とく…すみやかに…すぐ…とくと…よくよく」「ゆかしき…見たい…聞きたい…知りたい」「ぢもく…除目…官職の任免が行われる日…ち(ん)もく…沈黙…沈痛な静寂」「ん…表記しない事がある」「かならず…必ず…賀ならず…祝ならず」「さるべきなき…そうなるのが当然でない…そうなる必然性が無い」「きかまほし…聞きたい…どこかぐあいが悪いの?…また浮気してきたの?…どこの女に搾り取られたのよ」



 歴史の書には、長保二年(1000)十二月十五日、皇后定子第二皇女御産、十六日、皇后崩、とあるでしょう。


 われわれには、霧の中の出来事のようで心晴れない思いがしたのである。ほんとうに「とくゆかしき…よくよく知りたい」のはそのことであった。


 伝授 清原のおうな

聞書 かき人知らず   (2015・9月、改定しました)

 
原文は、岩波書店 新 日本古典文学大系 枕草子による。