■■■■■
帯とけの枕草子(拾遺十九)蒔絵は
言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで、この時代の人々と全く異なる言語感で読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」だけである。「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。
清少納言枕草子(拾遺十九)まきゑは
文の清げな姿
蒔絵は、唐草。
原文
まきゑは、からくさ。
心におかしきところ
真木枝は、からく、そのよう。
言の戯れと言の心
「まきゑ…蒔絵…真木枝…真のおとこ」「木…男」「枝…おとこ」「からくさ…唐草…唐草模様…辛くさ…辛うじてそのよう…真の身の枝は辛うじて八寸五分」「からく…辛く…かろうじて」「さ…然り…その通り…そのよう…前章の彼が身の丈八寸五分」。
まき(蒔)が「真木」と戯れて、真の男というような「言の心」を孕んでいるということは、理屈(論理)ではない。そうと心得るだけのこと。真木の歌を聞きましょう。
万葉集 巻第七 譬喩歌 寄木
真木柱 作るそま人 いささめに 借庵の為と造りけめやも
(真木柱作る杣人は、かりそめに、仮小屋の柱の為にと造ったでしょうか、いやそうではない……男の子をつくる女は、ほんのちょとした借り小屋の柱になる為につくったのかしら・宮殿の真木柱に成る為なのに……真木柱尽る素間人、ほんのちょっぴり、仮の小やの為に、神は・おとこ真木柱を造られたのかしら、ではないでしょうに・強く堅く長くこそ好し)。
「真木…男」「つくる…作る…尽くる」「そま人…杣人…きこり…粗間人…女…素間人」「いささめに…かりそめに…ちょっと」「借…かり…仮」「庵…小屋…女」「やも…詠嘆を含む反語の意を表す」。
歌は、言の戯れを知り言の心を心得て聞けば、「清げな姿」「深い心」「心におかしきところ」のあることがわかる。
伝授 清原のおうな
聞書 かき人知らず (2015・10月、改定しました)
原文は、岩波書店 新 日本古典文学大系 枕草子による。