おかあさん
みんな いそがしくて
じぶんの仕事が
仕事がいそがしくて
おかあさんのことなど 面倒見ていられないんだよ
おかあさん
みんな
自分の名誉を得るために
いそがしくて
おかあさんのことなど 面倒みたりできないんだよ
だから
専門家に任せると
美辞麗句をいって
自分でお母さんのことを
面倒みようなんて思わないのだ
おかあさん、
だから おかあさんは
まいにち 他人に
ないがしろにされていても
しらんふりして
おむつが汚くても
苦痛があっても
ただ我慢して
そうして 人間として扱われていなくても
いつかしぬのだからと値踏みされていても
あからさまに子供あつかいされて バカにされていても
しらんふりして
そんなことなかったふりをして
こどもたちを自由にさせておくために
我慢していくのさ
おかあさん、おかあさんがどれだけ
皮膚がかゆくても
おかあさんがどれだけ 関節がいたくても
それは 痒み止めで 口を塞がれ
痛み止めで 口を塞がれ
それで 原因がなくならなくても
ただ長く 苦痛を訴える
いやな年寄りだと思われないために
ただ ただ 苦痛を我慢して
おざなりの 介護や 看護に我慢して
本気でやっていない看護や介護に 医療行為に我慢して
どうでもいいやと思われていることを 知っていても
知らぬふりして
金儲けのために
ただただ 生かされているのだということを
知りながら知らぬふりして
いきてくように
仕向けられていることに
ひたすら気づかないふりをして
生きていくのさ
だれもが
そうして生きていくのさ
そうして生きていくのさ
だれもが そういう目にあうことを
自分がそういう目にあうことを
まったく知らぬまま
自覚せず
それを
他人事だと受け止めて
自分ごとだとはまったく考えることなく
朗らかに
ほがらかに
たのしくたのしく
生きる それが この 世界なのだ。