どこへ逃げても
不安で不安で
心が落ち着かない
どうして
こうなったのか
あれがいけなかったのか
これが悪かったのかと
過去へ想いを巡らすと
かえって
心の毒になって
それがまた新しい災いをひきよせるのだと
息子も
夫もなくし
慣れぬ土地に
一人で暮らしながら
孤独ではなく
日々 何かが起きる都度 それを乗り越えていく 強さ 振り返ることなく
今に生きる
誰に何が起き その 原因が誰かの企てであったとしても
その人の尊厳は、保たれている
最大限の侮辱行為をはたらいたものにこそ
侮辱は似合うのであって
その侮辱行為を受けた人の尊厳が全くの透明になってしまうのではなく
そこに それは ある のだ
確実に
最大限の侮辱を投げかけたものにこそ
侮辱は似合う
侮辱を受けたことが尊厳をなくしてしまうのでなく侮辱をうけようと 称賛されようと
その人の もともと もっている 尊厳にかわりは ないのだ
この 全ての生きる 尊厳を 侮辱し尽くした企てが 投げかける汚泥は
その企てをはたらくことに参加したすべてのものにこそ ふさわしい
その禍に巻き込まれながらも 日々を誠実に行き 逃げ出すことなく 向き合い 前向きに
どこに いようとも どんな境遇でも光を見出し 自らの中に安住の地を作り出す 巧みさ たくましさ 朗らかさには
けして その 侮辱の汚泥は届かないのだ。