女流立葵杯の街から

囲碁の女流棋戦の中継予定を中心に投稿しています。

羽根直樹

2023年01月01日 | 囲碁の女流棋戦

羽根直樹(あいたくてながくて)

 



【雑人】 
【羽根直樹】


 【アドレス】

  https://nagakute-zatto.jp/archives/2910


 【本文】

まちで話題の“あの人”に会いたい!
2020年5月1日
人 雑人-春12番 2020
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〜会いたくてながくて〜


AIの時代と言われても
相手を思いやる
「人の賢さ」が好きです


囲碁プロ棋士 羽根 直樹さん


 歴史に残る囲碁の名手に与えられる称号「碁聖」。その名をかけて一流棋士が勝負を繰り広げる囲碁のビッグタイトル戦「碁聖戦」で昨年夏、8期ぶりに2度目のタイトル獲得を成し遂げて話題となった羽根直樹さん。自分の囲碁スタイルを貫くストイックさと、周囲を気づかう優しい人柄で国内外にファンの多い羽根さんに囲碁のことはもちろん、長久手での子育てについてもお話をうかがいました。
 
 
 🔷人の知恵ってすごい🔷
 
 
【雑人】 
 AI(人工知能)からもっとも遠いトップ棋士と言われていますが。
 
【羽根直樹】
 囲碁には長い歴史があって、優れた先人たちが考えた手が無数に存在します。そんなお宝ともいえるものがまだまだたくさん眠っていて、私はそれを勉強して一つ一つ自分の引き出しにしていけたら、と思っているんです。
 
【雑人】 
 古きよきものを大切にされているのですね。
 
【羽根直樹】
 そうですね。
 コンピュータの囲碁アプリがここ数年で飛躍的に進化して、特に若手の棋士の中には囲碁AIの手を熱心に研究している方もいます。新しい発想をくれるという意味では、とても興味深い。
 ですが、先人たちの手、昔の棋士たちの知恵も本当にすごいんです。それを多くの方にもっと知ってもらいたい。そう思っているだけなんですよ。
 
【雑人】 
 お父様であり師匠の羽根泰正棋士の影響は大きいですか
 
【羽根直樹】
 はい。あと兄も。物心つく前から兄と一緒に碁を打っていましたから。
 
【雑人】 
 そんな小さな頃から!
 
【羽根直樹】
 小学生になると近所の教室に通いました。平日は学校のあとすぐにそこへ行って、土、日曜日は院生(プロの養成所)に通っていました。家族全員が囲碁をやっていたので、そういう生活が当たり前になっていましたね。
 
【雑人】 
 お友だちと遊んだり、部活とかはされず?
 
【羽根直樹】
 ええ。じつは、ちょっぴりサッカーにあこがれた時期もあったんですが(笑)
 やっぱり囲碁のほうに足が向きました。
 
【雑人】 
 そんなお父さんと同じように、囲碁が大好きな三女の彩夏さんもプロ入りされました。
 父であり師匠。どんなアドバイスをされるのでしょうか
 
【羽根直樹】
 特別なことは何も…… ただ、
「勝ちたいと思い過ぎないように」
 とは言っています。長い道中、正解ばかり打てるわけではないですので。
 それよりも、のびのびと打って失敗から何かを学ぶほうが結果として力になるんだよ、と。
 
 
 🔷「強さ」は「思いやり」🔷
 
 
【雑人】 
 今また囲碁・将棋を習いたいという方が増えています
 
【羽根直樹】
 将棋の藤井聡太さんのご活躍もあって、そういった声をよく聞くようになりました。
 日本棋院の中部総本部(名古屋市東区)で初心者から上級者までレベルに合わせた教室をやっていますし、長久手市役所が夏に企画する市民講座は父や長久手の囲碁クラブ「九星会」が指導、妻(しげ子プロ)も長久手の聚福院(じゅふくいん)で囲碁教室を開いています。
 どなたにも、ぜひ囲碁を体験してもらいたいですね。
 
【雑人】 
 囲碁に親しむことで得られるものは何でしょう
 
【羽根直樹】
 いろいろありますが、よく言われるのは「がまん強さ」でしょうか。
 対局は長い時間になります。その間集中して考え、途中で自分の形勢が良くなくても好転するまでじっと耐えることも必要ですから。
 
【羽根直樹】
 あと私個人的には、意外かもしれませんが「思いやり」だと思います。
 囲碁で勝つためには、相手がどうしたいのかを読まなければなりません。自然と他人の気持ちをくみとろうとするクセがつくんですよ。
 
【雑人】 
 勝つことと思いやり。
 一見相反するもののようなのに、じつに奥深いですね!
 
【雑人】 
 はい。昔の賢い人たちが考え出し、残してくれた知恵や思いから学ぶことは多いです。
 それを未来に伝えていくというのが私の囲碁のスタイルと言えるのかもしれません。
 
 
左/2019年8月23日、タイトル奪取を伝える記事(週刊囲碁9月2日号)
右/父の泰正さんへのインタビュー記事(中日新聞夕刊2019年10月19日付)
 
 
 羽根さんは1999年から長久手にお住まいです。
 家庭では大学生のいわゆるリケジョの長女さんから小学生の末っ子くんまで計5人のお子さんのパパ。このまちのどこかで、対局のときとは違ったアクティブなパパぶりが見られるかも!?
 
 
 
 
  💚💚💚 💚💚💚


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羽根泰正

2023年01月01日 | プロの囲碁修業

羽根泰正(東京新聞)


 【アドレス】
https://www.tokyo-np.co.jp/article/3264

 【本文】


囲碁好き育てる妙手 史上初、親子3代で現役プロに 羽根泰正さん(棋士)

2019年10月19日
  
 囲碁界に『中京のダイヤモンド』と呼ばれる棋士がいる。日本棋院史上初めて親子三代の現役棋士が輩出した羽根家の祖、羽根泰正(やすまさ)さん(75)=愛知県長久手市=だ。
 
 孫の彩夏(あやか)さん(17)が四月にプロ入り。『平成四天王』の一人に数えられる次男の直樹さん(43)は8月、7大タイトルの碁聖に返り咲いた。
 慶事が続く中、家族として、ベテラン棋士としての思いは?
 
【羽根泰正】
「直樹が家を建ててから、近くに引っ越してきたんですよ」
 
 泰正さんが夫婦で暮らすのは、閑静なベッドタウンにある洋風のしゃれた家。
 ただ、玄関のすぐ隣にある和室が、独特の存在感を放っていた。分厚い脚付きの碁盤や棋譜を置く台が並ぶ空間は、本人が今も現役の勝負師である証しだ。
 
 三重県志摩市の農家で、7人きょうだいの四男として生まれた。
 父親が大の囲碁好きで、雨の日は近所の碁打ちが集まり、熱心に盤を挟んでいた。そんな場に駄菓子目当てで顔を出すうちに、自然とルールを覚えたという。
 やがて地元の大会で入賞するようになり、小学五年で同県出身の島村俊広九段に入門。内弟子として名古屋で囲碁漬けの日々を送り、中学2年でプロ入りを果たした。
 
 7大タイトルの一つ、王座獲得など多くの実績がある。
 とりわけ語り草なのが、1988年にあった「第4回日中スーパー囲碁」での奮闘だ。日本と中国がそれぞれ十人近くのチームを組む対抗戦。勝った棋士がそのまま次の相手と当たるユニークな棋戦だった。
 
 それまでは日本の実力が突出していたが、中国に『鉄のゴールキーパー』と呼ばれる強豪の聶衛平(じょうえいへい)さんが現れ、様相が一変。聶さんは第一回から怒濤(どとう)の11人抜きでチームを3連覇に導き、中国に空前の囲碁ブームを巻き起こした。
 その快進撃を止めたのが、泰正さんだった。
 2人が対局したのは中国・広州市。泰正さんが空港に着くと、ホテルまでパトカーで先導された。現地解説会には6000人もの観客が集まった。そんなアウェーの空気の中、泰正さんは見事な逆転勝利を収め、日本に初の栄冠をもたらした。
 当時の聶さんは、中国で石原裕次郎と美空ひばりを合わせたくらいの人気者。泰正さんは現地でさぞ嫌われたかと思えばそうでなく、英雄を破った名棋士として尊敬された。
 
【羽根泰正】
「10回以上中国に行ったけれど、嫌な思いをしたことは一度もない。囲碁とはそういうもの。
 最近は日本と韓国の関係が悪いが、囲碁界の長年のつながりを政治に生かして、関係改善につなげてほしい」
 
 と願いを込める。
 今や棋界の長老格だが、実はコンピューターを使った研究の先駆けでもある。
 30代の頃、普及活動で1ヶ月ほど米国に滞在。現地で詰め碁を解くソフトを見せてもらい、感銘を受けた。
 帰国後、プログラミングに詳しい知人と囲碁のデータベースソフトを開発。アルバイトを雇いながら7000局分の棋譜を打ち込み、戦法ごとの勝率などを割り出した。
 インターネットがなく、地方の棋士は情報量で不利な時代。
 
【羽根泰正】
「東京の棋士に負けまいと、誰もやってないことをやろうと思って」
 
 と振り返る。
 それから数十年。近年は人工知能(AI)の手をプロ棋士がまねるようになった。そんな風潮には懐疑的だ。
 
【羽根泰正】
「コンピューターに頼りすぎると、自分の考えがなくなってしまう」
 
 と警鐘を鳴らす。
 7大タイトルを初めて手にしたのは、直樹さんがプロ入りする直前だった。
 
【羽根泰正】
「今回はアヤちゃん(彩夏さん)がプロ入りした直後に直樹がタイトルを取った。親は子を励みにするんですよ」
 
 と目を細める。
 子どもは概して親の思い通りにならない。それでも羽根家の子や孫は、皆囲碁好きに育った。
 
【羽根泰正】
「本当は厳しく指導したいけど、ぐっと我慢した。
 囲碁が嫌いにならないように」
 
 と泰正さん。自然な環境を用意し、ソフトに導くのがコツらしい。
 
「ほかに秘策はありますか?」
 
 そう問うと、笑顔でこんな答えをくれた。
 
【羽根泰正】
「私はまず妻に囲碁を教えました。
 子どもは母親がすることなら興味を持ってくれるから」
「普段は家にいない父親が『やれ』と言っても、子はそうそう動きませんよ」
 
(岡村淳司)
 
 
  💚💚💚 💚💚💚

 


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