忙中閑話

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麻生氏の「失言」の重み

2013-08-01 | 随想
 アベノミクスで追い風に乗ってたまま参院選まではなんとか「事なかれ」で高支持率
を保ち、そして参院選で勝利した後は数に任せて突き進む、そんな姿勢が見え見えだった
が、やはり参院選の圧勝でタガが外れたようにさっそく麻生副総理がやってくれた。
もともと言葉が軽く失言が多かった人ではあったが参院選までは自重していたようだ。

これらの「失言」のあと、必ずといっていいほど「誤解だ」とか「真意は別のところに
あるが関係者の心情を傷つけたのなら・・・」といった言い訳や発言の取り消し、訂
正が行われる。

今回も「ナチスを礼賛したわけではなく誤解である、発言全体を聞いてもらえば真意が
わかる筈だ」というような内容の言い訳をしてナチスの発言は撤回した。

 ねじれ国会だった参院選以前なら、この失言で多分辞任に追い込まれていたと思う。
失言や放言で簡単に首を据えかえるのも如何かと思うが、麻生氏はもともと政治信条を
全く持っていないとしか思えない”政治家”であり副総理、財務大臣として、ましてや
総理としての適性を疑う。

 そして今回の「失言」の収拾を見ているとやはり両院を抑えた自民は強い。十中八九
自民は強引な議会運営を執り続けるだろう。


「発言全体を読めば判る」ということで精読してみた。国民が(あるいはマスコミが)
必要以上に騒ぎ立てるので中韓に知るところとなり大騒ぎになる、だから静かに議論
しましょうという風にも取れる。確かに、閣僚が靖国参拝をするとマスコミは必ずバカ
のひとつ覚えで「私人」か「公人」のいずれの立場で参拝したのかと聞く。まるで中韓
の回し者のようだ。中韓の反日を煽るばかりでこんな質問は実際のところ全く無意味で
ある。


しかしそこにナチスのやり方を学んで彼らのように(国民が)知らないうちに憲法を
変えたらどうかという発言が繋がらない。

兎に角、無知で阿呆な国民はマスコミに扇動されやすく、だから詳しく知られると
まずい、従ってあまり詳細を知らせず、自分達の都合のいいように憲法を変えて
いこうではないか――というのが本音だろう。


現行憲法の9条の①戦争の放棄②戦力の不保持③交戦権の否認の3項目のうち
どこがどのように都合が悪いのか、どのように改正したいのか明確にして議論すべき
だろう。

憲法上は戦力を持てないはずなのに「自衛権は放棄していない」として警察予備隊を
経て現在は自衛隊という立派な戦力の軍隊を持っている。
あくまで「自衛のための軍隊」だから国内の軍事行動に限られおり米国や国連の要請
があっても軍事行動を伴う海外派兵すらできない。また敵方から攻撃を受けない限り
攻撃ができない。つまり攻撃されそうになっても自己防衛のための先制攻撃できない。
また同盟国(米軍)が攻撃を受けても参戦できず一緒になって反撃することもできな
い。・・・・等々の制約がある。

自己流の解釈なので誤解している部分があるかと思うが、憲法上の日陰者である自衛隊
を正式に「国防軍」として改め、火器の使用、先制攻撃も認めたうえに「集団的自衛権」
と称して、同盟国軍への攻撃は自国への攻撃とみなし参戦できるようしたいらしい。
そのためには第9条第二項に規定する戦力不保持の条項が邪魔だ。

更に憲法改正には憲法92条の規定で、国会議員の2/3の賛成による発議、国民の
過半数の賛成が必要であってハードルが高すぎるとして、これを改定して国会議員の
過半数、国民投票の有効投票数の過半数の賛成で可決というふうにハードルを下げ
ようと画策しているらしい。投票率60%なら国民の30%以上の賛成が得られれば
憲法改正が成立する。


改憲論議はナイーブな問題である。反対と言えば売国奴、賛成と言えば軍国主義と
お互いがお互いを非難する。だが平和憲法があったお陰で湾岸戦争やアフガニスタ
ン・イラク戦争で戦闘に加わらずに済んだことは確かである。

為政者はいつも猛々しい。戦争になって実際に弾を撃ちあうのは国民である。恐らく
彼らの肉親・親類縁者も戦闘に加わることはないだろう。

なぜ自衛隊でなく軍でなくてはならないのか、なぜ海外派兵や集団的自衛権なるもの
が必要なのか明らかにして議論すべきだと思う。占領下で押し付けらた憲法だから
改正しなくてくてはならないということは断じてない。

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