岩合さんの写真展続きです。
今年公開の「世界ネコ歩き」映画
「水と大地のネコ家族」
の写真展に行ってきました。
先週はミャンマーの水上生活のおうちの
ネコ家族のことを話しました。
今週は北海道の牧場で
牛舎で暮らすネコ家族について。
映画は冒頭真っ暗な牛舎、
牛の荒い真っ白な息と、
小さなネコの白い息だけが
闇の中に浮かび上がっている情景から始まります。
*図録より
何だ?と思っていたら、
だんだん牛の姿がでてきて、
逆光のシルエットでネコの姿。
ああ、牛舎にネコがいるのか~
しばらくすると
おばあちゃんネコ(ボスねこ)チャカスケ、お母さんネコのカタクリ、孫ネコたち
三代が一緒に生活している様子、
大家族で共同保育をしていると言う話。
おばあちゃんネコもお母さんネコも
お乳吸いに来る子は誰でもあげちゃうという。
一つの椅子の上でごちゃごちゃみんな一緒。
*図録より
それから今度は子牛と仲良くするネコ
産まれたときから一緒だからネコは牛が恐くない。
牛の体温はネコより高いらしく、
暖かいのでひっついているらしい。
子牛もネコが友達だと思っているのか、
お互いナメナメしあっている。
なんとも麗しいシーンが続いていく。
*図録より
しかし徐々にネコの一生はそんなに楽じゃない
という現実もカメラは写し始める。
子供たちは大きくなってくると、
暖かで安全な子牛牛舎を出て
独り立ちしなければならない。
一度牛舎を出ると戻ってきてももう居場所がない。
みんなと一緒にエサを食べようとしても
追い出されてしまう。かわいそう。
*図録より
一方親牛牛舎にもネコ家族
ボスネコお母さんのヒメ
*図録より
冬毛でまるまるしているとき
と息子のカーショ
*図録より
冬毛でりりしい、お母さんそっくり
もう一匹別のお母さんの子マーク(娘)
*図録より
このマークちゃんは初め三兄弟だったが
あと二匹はネコかぜで死んでしまって
1人で生きていくことになった。
親牛牛舎はストーブを焚かないと聞いた。
冬はマイナス10度くらいになるそうだが、
そこで強く生き延びなければならない。
死んだ子ネコ、かわいそうだった。
ですが、自然の中で野性的に生きる運命にあるネコたちなのです。
寒い地方、北海道、東北、北ヨーロッパなどでは
ネコは冬毛でふさふさになる。
この毛がマント代わりだ。
もう一匹親牛牛舎の3歳になる(今4歳かな)立派な男子
ヒメの息子のカーショという子
この子が映画の主役級であったのだが、
ちょっと面白いネコちゃん。
体はとても大きくて、
冬の冬毛も素晴らしい。
寒い大地で立派に冬を越しているようだが、
なかなか親から自立しないのだ。
子牛牛舎の自分よりずっと小さい年下のネコと
目が合ってしまったとき、
しばらくずーっとにらみ合っていたのだが、
(普通はカーショの方が勝つのに)
すごすごと退散して、お母さんの後ろに行っちゃった。
岩合さんもびっくり、「あっ、逃げた」
とコメントが入る。
お母さんより体が大きくて、隠れたことになってないのだけど、
お母さんの後ろにいたら大丈夫だと思っているみたい。
それから、ある日、独り立ちにトライしたのだが、
*図録より
また直ぐにお母さんのところに戻ってきてしまった。
お母さんのそばで安心しているカーショ
*図録より
「あるがままに」のタイトルはここからついた。
ネコもそれぞれですから。
お母さんネコ、ヒメはとても強い。
子牛牛舎のボス、チャカスケと親牛牛舎のボス、ヒメの壮絶な縄張りを巡る戦い。
*図録より
岩合さん曰く、「お互い守るものがあると思った」
このとき、ヒメが前足に傷を負ってしまう。
そして姿を消してしまった!
一番心配していたのはもしかして
息子のカーショ?
カーショはそれからお母さんを捜し回っていた。
木に登って心配そうに母を捜す、なんとも言えないカーショの表情、
この瞬間を岩合さんは逃さない。
この写真が写真展でも一際、印象的に展示されていた。
*図録より
今にも泣きそうな表情のカーショ
↕
冬毛のりりしい顔のカーショ
3日後だったか
屋根裏の梁にヒメの堂々とした姿が現れる。
ご飯も水も飲まず、ひたすら傷が癒えるのをじっと屋根裏で耐えていたようだ。
これが本来のネコの姿だ。
ケガをしたり、病気になったときは
身を隠してひたすら癒えるのを耐えて待つ。
そんなことしてたら死んじゃうよ~って
人間は考えるけど、
これが生命力というものなのですね。
カーショはお母さんに会えて機嫌が良くなったそうだ。
それまでは近寄らずそっと見ていた、と岩合さん。
そんなこんなで、ネコたちのワイルドな力強い、
厳しく、たくましい世界を北海道のネコたちに見ました。
映画も上映している地域もあるけど、
写真集(図録)も一般に販売されています。
「あるがままに 水と大地のネコ家族」というタイトル。
興味おありの方はどうぞ。
岩合さん、いつもユニークなネコの取材ありがとうございます。💖