韓国ドラマは哲学的感性を刺激する

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ジェイコム株の大規模な誤発注問題

2005-12-11 15:06:57 | 情報セキュリティ
 週末の社会面をにぎわせた、みずほ証券による株の大量誤発注事件ですが、この事件について述べてみたいと思います。

 私が第一に感じた疑問は、このような異常な株の注文に対して、どうしてシステムが警告を出さなかったのかということでした。注文の際に株価と注文株数を間違えていないかどうかなどということは、エラーチェックの基本中の基本であって、システム上チェック機能がないわけがないと考えたからです。

 案の定、報道によればシステムによって警告が出たそうです。しかし、注文担当者はそれを無視して強行したためにこのような大事件に発展してしまいました。

 なぜ担当者がシステムからの警告を無視したかというと、システムからの警告が日常茶飯事になっていて、無視することに慣れてしまっていたからだそうです。典型的な嘘つき狼少年のパターンですね。

 警告が出たときに、それを文字通り警告として受け取るべきなのか、最低限の確認作業さえ怠らなかったらこの事件は起きませんでした。日頃から注文業務を担当している人間にとっては、株価と注文株数の組み合わせについて、どんな値が異常なのかどうか、一概に決められないということは理解できます。それが顧客の注文なら、常識的におかしいと思うようなオペレーションでも、実行するのが仕事なのですから。

 そのようにして、株に素人の私でも想像できる事情ですが、今回の件はコンピュータシステムそのものの問題ではなく、操作する人間を含めたシステム全体の問題であると言えます。

 情報セキュリティの観点から考えても、このようなとんでもない誤操作がおきないような、操作手順を定めてそれをきちんと実行しているかどうかチェックする機構が必要だったと思われますし、日頃から、操作員に対しての教育をしておくべきでした。

 そのような意味で、今回のみずほ証券の責任は大きいと思います。誤発注による大量の安値での売り注文がもとで株価が突然値幅制限の値まで下落して、操作のキャンセルができないために、売ったすべての株を買い戻そうとして、今度は急激な値上がりをさせてしまい、株価の乱高下が起こってしまいました。

 わずかな時間の間に起こったことでしたが、めざとく値下がりしたところで買い込んで、一転、値上がりしたところで売り抜けた投資家は大もうけしたことでしょう。その分の損失をみずほ証券がかぶるわけですから、みずほ証券にとって、事業継続の危機を招いてしまったわけです。

 今回の件は、証券会社のシステムの誤使用がどのような事態を招いてしまうのか、大きな犠牲を払いながら一つの貴重な実例を示してくれました。われわれはこれを他人事と聞き流すのではなく、自らの問題として考えてみる必要があると思います。

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