創世記21章28節である。「アブラハムは更に、羊の群れの中から七匹(シェバ)の雌の小羊を別にしたので、」という。この七匹の羊が、27節の「羊と牛の群れを連れて来て、アビメレクに贈り、」といわれている。その羊の中に含まれていたのかどうかがここの問題である。なぜなら契約のしるしとして、契約以外の目的をもったもの、すなわち、「井戸を掘ったことの証拠」(30節)含めるのは、契約の儀式の重要さから考えにくい。しかし、実際はその群れの中に含めていたのであった。
ここの言葉遣いからは、「羊の群れの中から七匹(シェバ)の雌の小羊を別にした」といわれているところは、アブラハムの手で「羊の群れの中から七匹(シェバ)の雌の小羊を別にした」という意味であって、契約にはアブラハムが自ら7匹の羊を分けることによって井戸のアブラハムに帰属の確認であったといえる。
29節である。「アビメレクがアブラハムに尋ねた。「この七匹の雌の小羊を別にしたのは、何のためですか。」といいます。先にいったように、アブラハムの手で「羊の群れの中から七匹(シェバ)の雌の小羊を別にした」という意味でるならば、アブラハムにとって、大事な井戸であったということの意思表明となる。その意思表明のために井戸の数の七つと羊の数の七つとを合わせているようである。
そのアブラハムの心に、肝胆相照らす仲となったのである。アビメレクが先にいったように井戸の返還をもって応えたことはいうまでもない。この「七」という数字もまた、イスラエルでは完全数であり、神聖なものであった。神にかけて心を相互に通わすという意味があります。単なる肉の人間の友情ではないのである。