函館名物イカ売りのアナウンスが騒音？ 選挙カーこそ騒音なのでは？

昨晩、テレビニュースで流れていた。早朝に「イガ～、イガ、イガ～」と流れる移動販売車の拡声器から響く声は騒音か否かが、函館市公害防止条例改正検討委員会で議題に上ったという。

1973年に施行された条例では、午後7時から翌日午前7時までは商業目的の拡声放送を禁じている。しかし、イカ売りの声が騒音だとの苦情は、年に1度あるかないかないかで市民に定着している。委員から「イカ売りは函館の名物で規制とはなじまない」「観光資源の一つ」との意見が相次いだ。市民に親しまれて事実上認められてきた経緯があり、今回の条例改正では正式に規制対象外ということでまとまったとのこと。


10年ほど前、私は2年間函館に住んでいたことがある。初夏の早朝、「イガ～、イガ、イガ～」という移動販売車からの声が聞こえてくる。私にとってはよい目覚ましだった。。布団の中で聞くイガ～の声は、決して響き渡る雑音ではない。薄明るい早朝の空に吸収されるように澄み渡っていくような声だった。今でも脳裏に心地よく木霊する。特にイカ漁が解禁されたこの時期の声は、新鮮で快適だ。日が経つに連れ耳が慣れてしまったのか、いつまで続いていたかは覚えていない。聞こえだしてから数週間の「イガ～」が心地よかった。

ニュースの中でキャスターが、何時ごろから流れるのか、何故「イカ」でなく「イガ」というのかと、矢継ぎ早の質問にレポーターは答えられなく、気まずい空気が流れた。画像を交えて放送していたのに、取材不足が歪めず、自称函館応援団の私としてはややがっかりした。

しかし、同じ番組の中でより詳しいレポートが報告され、早朝5時ごろからという漁業者の発言があり時間については解明された。「イガ」については、レポートはなかったが、函館の人にとってはごく自然な言い方ではないかと、僅か2年間の在住者でも分かる。道南では「（どこかへ）行かないか 」ということを「・・・いがねが」と言う。したがって売り声としては、「イカ～」というより「イガ～」の方が、自然で響きがよいのだと思った。

騒音か否かの認識は、生活の中でさまざまな点で大きな課題である。一概に決められない。身近なところでは、いびきや寝息もその一つだ。寝息も相手によって、騒音になるか、安らかに感じる範疇なのかは異なる。単に相手の違いだけでない。聞く方や発する方の心の状態（安らかか否かなど）や人間関係にも依存する。

これからは選挙カーが辻々を走り回る。私にとってどの候補者の選挙カーから流れる声が、心安らかに響くのであろうか？