標高330mのモノローグ

富士山の10分の1、東京23区最高峰の10倍の山間に暮らして20年。地域の自然や思いを綴ります。

おかしいぞ、厚労省! 地方医師残業特例「上限年2千時間」の厚労省案を出すなんて。

2019-01-12 21:03:58 | 日記
厚生労働省は、医師の働き方改革を議論する有識者検討会で、地域医療を担う医師らの残業時間の上限を「年1900~2千時間」とする制度案を示したという。これは4月に施行される働き方改革関連法で一般労働者に定められた残業上限(休日出勤含み、年960時間)の約2倍となる水準とのこと。

この特例を2035年度末まで認める。月に換算すると約160時間となり、いわゆる「過労死ライン」(月平均80時間)の2倍になるとのこと。特例措置を受ける場合、終業から次の始業まで一定時間の休息を確保する「勤務間インターバル」を9時間、連続勤務を28時間までとすることを義務づけるとなっているが、検討会でも長すぎるという意見が出ているという。

私は、医師ではないが、かつて医療現場で働いていたことがあった。一定期間、職場と宿舎(世帯寮)が同じ敷地内ある勤務地であった。そのときは、医療の中での少数職種の現場だった。残業で、息子に夕食を運んでもらい、事務室で食事をしながら残務整理をしたこともあった。

また、住居を別に構え、電車通勤時代になった時も、事務室のソファーで寝泊まりをしたこともあった。
当時残業代は一定時間を超えると支払われなくなるので、書類上は、極度の超過勤務とはなっていなかった。
このとき私としては、少数職種の当然果たすべき仕事だと認識していたので、つらいとは感じていなかったのだ。しかし、これは間違っていると思う。今思えば、たまたま「過労死」に至っていなかっただけだ。

思えば、勤めだしたころの職場は、定時に帰った仲間に対して、上司が「彼らは、いつも定時に帰る。ハッハッハ」と空笑いをしていたのを思い出す。超勤をしない者は仕事をしていないというニュアンスが含まれていた。

このような勤勉日本の古い体質が根底に潜んでいる。「過労死」問題がでてくる大きな一因だと思える。

今回の厚労省の年2千時間を上限という、提案をするとは、なんとも形容しがたい事態だ。「過労死」を助長する案だ。

確かに地域では医師や看護師など医療従事者不足で医師の勤務時間は、定時がないに等しいだろう。医師といえども過労で発病する人、自殺する人もいる。たとえ一人でも「過労」に起因する病・死が発生したなら、即座に対策を行うべきである。言うまでもなく、医師は国民の命にかかる重要な存在だ。
それなのに「過労死ライン」の2倍もの残業特例を設けるとは、市民感覚からするととんでもないことだと思える。

この特例問題だけでなく、同時に報じられている、勤労統計調査の不正な処理、先の国会で話題になった外国人労働者受け入れに係るお粗末な答弁、過去の年金問題など、厚労省の「数」に関するルーズさが目立つ。国民の実態を把握しなければならないのに、「法律や制度を成立」させるのが第一目的となり、法律等の趣旨に合うように、また、国会で答弁しやすいように、「数値」を操作してしまう。

この操作の実務は、一般職員が行っているのだろうが、とても平職員が単独で行っているとは思えない。厚労省あげてとまではいかないかもしれないが、ある部署の判断だろう。課題によって異なるのだろうが、ある段階での管理職の指示、または、暗黙の指示、いわゆる忖度の場合もあるだろう。

数の操作だけではなく、医師不足という根本的な課題に取り組んで欲しい。例えば、防衛医科大学があるが、ここを卒業し医師になった人は、自衛隊に所属するノルマだけでなく、地域医療に一定期間従事するなどの方法が取れないだろうか? 
或いは、確かな生活を保障する条件の下、外国人医師の受け入れなど、検討できる課題はあるだろう。

いずれにしても、施作の実行は我々国民の税金で行われている。オープンで適正に行って、国民の生活に利するような施作を行ってもらいたい。
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