日本のすべての県境の中で、群馬と福島の境だけは、車を使って越えることができません。
この県境を、会津沼田街道が通じています。福島からは沼田街道、群馬からは会津街道です。400年以上の歴史がある古道だといいます。
沼山峠から下り始めると、20分ほどでブナの高木が現れました。標高が下がると、わずか20分の間にも森に変化があります。400年の間に、ブナも世代交代しているかもしれません。
ブナは樹でも漢字は「橅」、木で無いという漢字なのが不思議です。
会津駒ヶ岳を見渡せるポイントもあります。山頂には雪がたくさん残っていました。
さらに下ると、抱返の滝です。岩は磨かれて黒く光っています。滝口は細かい水しぶきなのに、滝壺から先は轟音でした。
沢沿いを下るところは、他の尾瀬の道にはない雰囲気でした。木道の敷かれた場所は少ないですが、幅は広くて、昔の交易路らしい雰囲気もあちこちにありました。
ここは福島県ですが、「前橋営林署」の札が付いている樹があります。
視界が開けて、大きな鉄塔と送電線が現れました。電線の起点を遡ると、奥只見ダムの発電所でした。尾瀬ヶ原が源流の、只見川のダムから、電気が車の通れない福島と群馬の県境を越えていきます。
沼山峠から七入のバス停まで4時間以上、しっかり時間をかけて下りました。いつもバスで移動していた区間を、初めて歩くことが出来て、充実感がありました。
(写真:2021年6月上旬)