宇野千代邸の薄墨桜

生家は家からローカル赤字線で一時間あまり行った所にある。息子が一人になりたいと言い残して昨夜就寝したので、どこかに消えねばならない。昨日はさんざん車の運転をしたのでもう運転は懲り懲り。ＪＲ駅から宇野千代邸は近かった。花見の混雑が予想される錦帯橋近く。渋滞も駐車場確保にうろうろもまっぴら。起き掛けの頭を巡らせて取りあえずの予定を立てて、飛び出した。

　日常を捨てにゴトゴト無人駅

千代邸の桜は舞い落ちた後だったが、苔にふんわりと留まっていた。ソメイヨシノより一週間早いそうだ。
錦帯橋の桜は満開。人も満開。時折、強い春風が桜の下に歓喜の声をあげさせて通り過ぎた。
別々の時間はお互いにリフレッシュ出来た様だ。窒息状態だったのかもしれない。

　命果て散るひとひらをふと掬う