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こんな殺伐とした家族内での事件が続く世に
家族にひとり他人が加わって、
本来の家族以上に優しい家族的な情愛が流れる小品が3つ入っていた。
ひとつは本のタイトル『優しい音楽』
死んだ息子にそっくりと言うことで恋人の家族とに起こる波紋から
そっくりさんがそっくりさんを越えて受け入れられる語。
ふたつめは『タイムラグ』
不倫相手が妻と旅行する間にその子供を預かって知る
相手が親に結婚を反対されている事で、
まったく知らない妻の応援をついしてしまう話。
みっつめは『がたくた効果』
がらくたを拾う趣味のある同棲相手が
元大学教授のホームレスを拾ってきて
うまくいってなかったふたりが逆に
いい感じに変化して行く話。
ふつうないよねって話に、すっすっすと惹き込まれるのは
登場人物全員に何でも
つい、かうかと受け入れてしまう
『まっいいか』みたいな
柔軟性がどこなし備わっているせいらしい。
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瀬尾まいこの小説は
どれも
ふわふわとして、からっとしていて、透明な感じがして
じんわりとあったかい。
冬の暖房器具ではデロンギのような。
自分の中のコリコリやおかしな力みが和らぐような。
こころのマッサージ効果を感じる。
彼女は1974年生まれ。
親はもしかするとあの色濃い団塊の世代にあたろうか?
折りしもバラバラ遺体遺棄の犯人があがった。
暴力団がらみかと思ったら、
エリートと言われるこの世代の家庭で起こった
ドメスティックバイオレンスのなれの果て。
朝日新聞朝刊でロストジェネレーション(25歳~35歳)の特集を掲載中。
良しにつけ悪しきにつけ、
新しい感性の人たちから時代は動いていると言うことだろうか?
ふと私と同世代の林真理子の世界と並べて
女性が紡ぎ出す話に生きている世の中を透かしてみたりする。