あめふり猫のつん読書日記

本と、猫と、ときどき料理。日々の楽しみ、のほほん日記

『名探偵の掟』のオキテ

2009-05-12 23:49:37 | 本(ミステリ・本格、パズラー)

名探偵の掟 (講談社文庫) 名探偵の掟 (講談社文庫)
価格:¥ 620(税込)
発売日:1999-07

わりと、好き。

この作品のTVドラマの、シンプルな感想であります。

“作中の登場人物だと自覚している者のみが入れる部屋”が、私には結構ツボでした。

この本はお気に入りで、たくさんの人に貸したため、ドラマ化される、というニュースが流れたとき、『ドラマになるね!』というメールを結構もらいました。(私、無関係ですが……^_^;)

本自体もくたびれていて、そのせいか最後に貸した方(高校時代の先輩)はわざわざカバーをかけて返してくれた……。(あ、ありがとうございます……。(^^ゞ)

それにしても、あの枠は、『トリック』『時効警察』なんかの枠だったと思うんですけど、トンデモミステリー枠なんですかね。

『名探偵の掟』4話を観ていて、ふっと山口雅也氏の『解決ドミノ倒し』とか思い出したけど、山口氏の作品も合う気がするし、都筑道夫氏に『妄想探偵』なんてシリーズあったなぁ……。

先ごろ亡くなった泡坂妻夫氏の作品(ヨギ・ガンジーシリーズとか合うけれど、あれは装丁自体にトリックあるの多いしなぁ……)もいいし、チェスタートンの翻案とかも面白いかも……。

などとこちらもトンデモナイ妄想にとり付かれそうになる、キケンな深夜枠なのでした。

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読んでおくべき?

2009-05-12 23:12:09 | 本(本についての本)

お厚いのがお好き? お厚いのがお好き?
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2004-05-29

私は普段乱読などと言っていますが、正直、哲学書や思想書には全く縁がありません。

そのくせ、こんな本は何となく持っている。

いや、この本自体は、なかなか洒落た本ですけど。

フジテレビの深夜番組を単行本化したもので、帯には『世界の名著20冊が2時間でわかる!』(わ、わかるのか…?)とある。

こういう本を読んで手っ取り早く名著の概要を知ろうとするところに、私という人間の怠惰さと厚かましさが顕れているような……。

まあ、各章のタイトル(『ダイエットで読み解く、ニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき』とか『お笑い芸人で読み解くドストエフスキーの「罪と罰」といった具合』)が示す通り、わかる、というより、わかったような気になる、という本な気がするのですが……。

もっとも、実際の著書を読むのが一番だと思うのですが、私の脳みその容量に対してこの知識必要?という感じもします。

四畳半の部屋の、小さな本棚に、百科事典全巻入れても無理あるものなぁ……。

いや、でも、キルケゴールを読まずして、松本清張作品の本当の味は解らない、のかなぁ……。

悩むところです。

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清張作品の、美貌の復讐者たち

2009-05-12 22:43:45 | 本(ミステリ・社会派)

夜光の階段 (上) (新潮文庫)
価格:¥ 580(税込)
発売日:1985-01

この春始まった、清張作品のTVドラマ『夜光の階段』は、今のところ欠かさず見ています。

けれど、最初は犯人像に多少の違和感がありました。

原作は未読だったし、勝手に、自分を悪だと自覚していて、歪んだものにしろ人生哲学がある犯人だと思い込んでしまっていたので。

以前『砂の器』を読んだとき、映画では苦悩する犯人、という感じがしたのに、原作ではもっと冷酷な印象だったので、同じようなイメージを抱いてしまった、というのもあります。

けれどこの主人公佐山道夫は、都合が悪くなると殺人を重ねる残酷な男でもあるけれど、けなげに生きている隣人夫婦に好意を抱いたり、恋をしてみたり、何より、自分が悪人だという自覚はないようで、それが私にとっては違和感を感じるところでした。

もちろん、悪だけの人はいないし、また現実に、悪を行う人間が自分を善人だと思っていることもよくあることですが、なぜこのような人物造形にしたのかな、というのは疑問でした。

が、新聞のコラムに、『清張作品は、ルサンチマンの文学である』というようなことがかいてあって、ようやく腑に落ちました。

ルサンチマン……恵まれた状況に元からいる強者に、弱者が抱く妬みや復讐の心、ということでしょうか。(キルケゴールもニーチェもちゃんと読んだことないので自信ないのですが)

だとすると、佐山は自分を虐げる強者や、社会に復讐している気持ちなわけで、自分を悪と自覚しなくて当然なのですね。

また、きまってそういう主人公たちが美貌なのも気になる点でしたが、考えてみれば、家柄も金もコネも持ち合わせない彼らが、のし上がっていくために頼りにするのは、自らの才覚とすぐれた容姿しかないのだな、とこれも腑に落ちたのでした。

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