ペット・セマタリー〈上〉 (文春文庫) 価格:¥ 620(税込) 発売日:1989-08 |
昔のスティーヴン・キングの未読作品が読みたくなって。
けれど春に18歳だった猫を見送ってから、しばらくこの作品を読むのは無理かもしれない、と放置していました。
けれど最近、そろそろ大丈夫かもしれない、と手に取ってみたのです。
もちろん、やはりつらい作品でした。大切な存在を失って、なんとか帰ってきてくれないだろうか、と思う時期には、本当に身にしみて切ないです。
けれど一方で、予想したほどの迫力は無い気もしました。
もちろん、映画化作品をすでに観てしまっていて、結末がわかっている、ということもあったのですが。
前半部が饒舌すぎるように感じたのです。もちろん、この部分が細部まで書きこまれているからこそ、クライマックスのせつなさ、怖ろしさが際立つのかな、とも思ったのですが。
最終的なクライマックスシーンは、あっけなく感じました。でも、まったく物語がどこに落ち着くか分からない状態で読んだら、これで良いと思ったのかな?やはり、内容を知ってから読むのは驚きは半減しますね。反省。
それにしても、スティーヴン・キングは、人が触れてほしくないところ(あるいは見たくないものを)を赤裸々に描く作家だと思うのですが、これは愛によって人は愚かなことも、怖ろしいこともする、ということを描いているのが、刺さったままの棘のように、しばらく心にひっかかっていました。