別の写本には、泉の縁石の上に「ここにて美しきナルシスここに死せり」と記された絵が描かれています。
Narcisse Roman de la rose Guillaume de Lorris et jean Meun, Paris, fin du XIVe s. s.
BNF, Manuscrits, français 380, f. 10 v°© Bibliothèque nationale de France
L'amant apercevant les roses dans la fontaine Roman de la rose
Guillaume de Lorris et jean Meun, Paris, début du XVe s.
BNF, Manuscrits, français 12595, f. 13 v°© Bibliothèque nationale de France
泉の中には庭園に咲く薔薇の茂みが見えます。”私”は その中の赤い薔薇の蕾に心を奪われます。
上と下の ”わたし” の姿は、引用した写本が別のため違った姿をしていますが、間違いなく ”わたし” です。泉の周りに は”薔薇” とは識別できませんが、白と赤の花が咲いています。
ナルシスの泉の場面は薔薇の花がはっきりと描かれた場面ですので、あと一つ写本をご紹介しておきます。
Royal 20 A XVII f. 14v Narcissu
France, N. (Artois or Picardy) c. 1340
Royal 20 A XVII f. 15v France, N. (Artois or Picardy) c. 1340
Folio 15v. Découverte de la rose 薔薇の発見
赤い蔓薔薇が泉の周りには咲き誇っています。気づいたときには、わたしはそこに自分の姿を映してしまっていたのです。「鏡の力と機能を知っていたら、決してここに駆け寄ったりはしなかったのに!」