薔薇物語を通して1200-1400年代の人々が抱いていた ”薔薇に対する思い” に心を寄せ、この時代のレシピを読んでいただければ、同時代に生きた人々の「薔薇に対する」願望にも似た心情を更に深く汲み取っていただけるのではと思っています。
Le Viandier de Taillevant, from a 15th-century edition.
タイユヴァンの料理書の中から「バラの花」に因むレシピを抜き出しました。
3つあります。順にみていくことにします。
(ここでご紹介するレシピはいずれもTaillevent: Viandier (Manuscrit du Vatican)
Pichon/Vicaire, Le Viandier, 1892からの引用です。)
最初の料理はミートデイ ( 教会により肉食を許された日 ) のための料理です。
- ミートデイのためのピンク料理 ( Ung roze’ a chair )。
皮を剥いていないアーモンドをよく砕き、ビーフブロス、ワイン、ヴェルジュに浸けてチーズクロスで濾す。肉を用意する。つまり、仔牛の胸肉又は、牛の脛肉又はほかの少量のよい肉といっしょにクックしたニワトリのホール又は1/4に切ったものをラードで茶色になるまでフライする。良質のシナモン(たくさんではない)、ホワイトメカジンンジャー※1と、グレインオブパラダイスのようなスモールスパイス、クローヴ、ロングペッパーを用意する。色をつけるためにターンソウル※2又はアルカネット※3を使う。あればアルカネットをターンソウルと同様に使う※。勿論ターンソウル同様の生き生きとした色がないのだが。ぬるま湯よりも少し熱い少量の湯の中に3-4時間浸し、ポタージュがボイルしたらその中に入れる。薔薇に似た色になるまで非常によく混ぜる。
https://www.logees.com/galangal-alpinia-officinarum.html
※1 Alpinia officinarum 又はレッサーガリンゲイルと呼ばれ、中国原産。ヨーロッパでよく使われた種で薔薇の香りがあり、スパイスの味がすると言われています。ガランギン(galangin)は、(Alpinia officinarum) に多く含まれ、in vitroにおいて乳癌細胞の増殖を抑制し、抗菌作用があると言われています。"galangal" は中国名ginger ( liang-tiang ) のアラビア読みです。