Annabel's Private Cooking Classあなべるお菓子教室 ~ ” こころ豊かな暮らし ”

あなべるお菓子教室はコロナで終了となりましたが、これからも体に良い食べ物を紹介していくつもりです。どうぞご期待ください。

シュークリーム

2018年05月02日 | お菓子の歴史

シュークリーム 

 

シュークリームあるいはクリームパフ、プロフィトロールの名でレシピを最初に記した料理書は1884年刊のボストン・クッキングスクールから出たクックブックです。
合衆国では1851年のレストランのメニューの中にクリームパフの名が残っています。イギリスではプロフィトロール( profiterole、prophitrole, profitrolle, profiterolle ) と呼ばれ、フランスでは1600年代にプロフィトロールの名でポタージュ( Potage de profiteolles 又はprofiterolles )の中に入れる小さな乾燥したブレッドとして紹介されている。
ギリシャではProphiterólと言い、トルコ、イタリアではボールに入れて上にチョコレートソース、ホイップクリームをかける。さまざまな形と名前で我々の目の前に現れるシュークリームとは一体どのような生い立ちを持つのだろうか。

最近になってシュークリームを紹介した書物があります。アントニー・ローリー( Anthony Rowley )著の『美食の歴史( A table ! La fête gastronomique )』です。
氏はその中でランスト・ド・カスト―( Lancelot de Casteau、1500s – 1613、ベルギー人にしてリエージュの三人の司教君主に仕えた ) が紹介したシュークリームの皮は今日にも立派に通用するレシピであると述べています。カスト―の『料理入門( De Casteau's book Ouverture de cuisine, 1604 右 )の中でシュークリームの皮とおぼしきレシピを次に取り上げました。

 

ドーナッツ又はフリッターのペイストリィ( Pour faire paste de bugnolle ou friture )

クリームと少量のバターを器に入れる。火にかけ小麦粉を入れてペイスト状にする。卵4個を割り入れ木杓子でよく混ぜる。さらに4個入れる、
ペイストが濃いポリッジのようになるまで混ぜる。ペイストが柔らかくなるまで卵を入れる。塩を抜いたバターが熱くなるまで火にかける。
銀のスプーンでパイストをウズラ卵大の大きさに取り、一度に18-20個、バターの中に落とす。穴の開いた杓子で返し、生地に火が入るまでクックする。取り出す。生地がしぼんでしまうようなら戻して、よく火が通るまでクックする。

      

これはベニエ( Beignet )です。ベニエには二種類あります。シュー生地を揚げたイタリアのツェッポレ( Zeppole ) や、ドイツのシュプリッツクーヘン ( Spritzkuchen ) と、これとは別にイースト生地を揚げたタイプがあります。フランスのブール・ド・ベルラン( boules de Berlin )とポーランドのポンチキ、 ポルトガルのボーラ・デ・ベルリン( Bola de Berlim )、ドイツでは果物の入ったものをベニエと呼び、入っていないものをクラップフェン ( Krapfen ) と呼んでいます。

 

因みに、1961年刊のThe New York Times Cook Book ( Craig Claiborne ) のクリーム・パフ・シェル( Cream Puff Shell, 531page )のレシピには;クリーム・パフ・ペイストは焼くだけではなく、ディープフライすると空気を含んだベニエができるとありました。

今のところカスト―がシュークリームの最初のレシピを書いたようですが、それにしても何ともややこしい、ルーツを辿ることがむつかしいレシピです。

1604年に早くもシュークリームの皮のレシピがあったとは、それも今日の内容と変わらないとは、驚きです。

 

 

 

参考文献

 

Anthony Rowley、A Table ! La fete gastronomique

Craig Claiborne, The New York Times Cook Book 1961

 

 


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