予備発酵種~スポンジ
パンを仕上げるには、強力粉、水、塩、イーストに予備発酵種を入れて混ぜます。
あとはいつも通りの工程を踏んで焼くわけです。新しく作ったドウの中には新しいイーストが入っています。ところがスポンジ ( sponge ) と呼ばれる予備発酵種を使う時には追加のイーストを入れることはありません。そのレシピをご覧いただきましょう。
オーストリア、イングランドでかつて普通に使われていたレシピです。別名 ( flying sponge ) と言います。そのわけはすぐにわかります。
スポンジの作り方;
デュラムコムギ粉 50%
強力粉 50%
水 70%
イースト 3%
砂糖 5%
全ての材料を混ぜて25-26℃で約75分間膨らませる。
このスポンジを使ってセモリナブレッドを作ります。
デュラムコムギ粉100g、強力粉100g、水113g、塩6g、ヴァージンオリーブオイル16g、スポンジ237gを全て混ぜる。24℃で30分間発酵させる。
45分後にフォールドをして小分けします。ラップを10-20分間してから整形をします。
継ぎ目を上にしてラップをした後、10-20分間休ませます。形を整え、ゴマを振り、粉を打ったバヌトン又は布に入れてラップをかけます。1—1 1/4時間発酵させて蒸気を入れたオーブンに入れて240℃で焼きます。色づいたらベントを開きます。
発酵時間はここに書いた時間よりも、おそらく短いでしょう。塩の入っていない、おまけに砂糖を5%も入れた生地はイーストが思う存分暴れまくる環境です。パン屋の親父(だけではないでしょうが)は大忙し ( flying ), なんてもんじゃない、文字通り飛び回っているに違いない。
このパンのいいところは、小麦の旨味がない代わりに、小麦粉の持つ深い香りを備えているところです。旨味を取るかそれとも香りを取るか、悩ましいところです。
https://vintagekitchennotes.com/2012/02/semolina-bread.html から
ここで疑問が生じます。旨味成分って、たんぱく質ですよね。デンプンが分解されて麦芽糖、グルコースに分解されて、アルコール、炭酸ガスが出るだけじゃあそうそう旨味は生まれない。
小麦粉の中のプロテアーゼが関係しているのでは?という疑問が出てきます。いやそれだけじゃあないでしょう。脂肪やそのほかの栄養素も。休眠状態の小麦の種子が新しい芽と根を出すときには活性を最大限に高めるために様々な種子内の機構が働きだすはずです。
旨いパンを作るには活性が行き過ぎてもいけない、出なくてもいけない。微妙なところです。
しかしこの発芽の仕組みをうまく生かせれば、うまいパンができるはずです。休みが終わるまで、あと一か月半、楽しみながら、迷いながら休み明けには何かが掴めるように頑張りましょう。
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