ケネルン・ディグビィとはどのような人間なのでしょう。モン・デ・ルース男爵には最初から勝ち目がありませんでした。結果は最初から見えていたのです。それよりも、男爵はこんな危ない男を何故パーティに呼んだのでしょうか。今のフランス王はルイXIII世の母親はメディチ家のマリア・デ・メディチ(Maria de' Medici)で、彼女の三女はイングランド王チャールズⅠの妃アンリエット・マリーです。息子にはチャールズⅡ世とジェームⅡ世の2人がいるのです。
今も昔も、フランスには親イングランド派の人々がそこら中にいるではありませんか。(フランドル地方はローマ時代から毛織物の産地として知られた地でしたが、11世紀以降イングランドから羊毛を輸入するようになってフランドルの毛織物は他を圧倒するようになりました。当然フランドルとイングランドとの結びつきは強く、親イングランド派が多く暮らす土地柄です。)
ディグビィが頭を激しく振ったあの瞬間に、彼はフランドル経由でイングランドに帰る自分の姿を既に見ていたと思われます。彼は、行動に取りかかる前に幾通りかの解決策を頭の中に描いてから実行に移すタイプのようです。( 国王を第一に考えての行動か、自分の思いを通すことを第一に考えていたかは、今は断定できませんが、そのうちわかるでしょう。) いずれにしても、彼の行動からは親父のエバーアード・ディグビィの二の舞は踏むまいとする強い思いがひしひしと伝わってきます。
つづく。
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