Annabel's Private Cooking Classあなべるお菓子教室 ~ ” こころ豊かな暮らし ”

あなべるお菓子教室はコロナで終了となりましたが、これからも体に良い食べ物を紹介していくつもりです。どうぞご期待ください。

ダマスクローズ 203

2021年03月18日 | ダマスクローズをさがして ― Ⅲ

 

        

             ファネソール

ファルネソール (farnesol) は、直鎖セスキテルペンの一種のテルペノイド系有機化合物です。3個のイソプレン単位からなります。(色分けしていませんがその構造はもうおわかりでしょう) 常温常圧で無色の液体で揮発性です。薔薇やレモングラス、シトロネラの精油に含まれそれらの芳香成分の一つで、香水を作るときに用いられます。最も単純な、従って多くのセスキテルペン(天然には、防衛物質やフェロモン等の情報化学物質として植物や昆虫で見られる)の前駆体で、シトロネラ、ネロリ、シクラメン、レモングラス、ツベローズ(月下香:tuberose)、ローズ、ムスク、バルサム、トルバルサム等に含まれ、甘いフローラル香水の香りを強調するために香水に使用されます。

https://www.mdpi.com/1420-3049/23/11/2827 から。少し専門的になりますが、

 

非環式セスキテルペンアルコールであるファルネソールは、主に自然界のさまざまな植物のエッセンシャルオイルに含まれています。抗ガン作用と抗炎症作用を示し、アレルギー性喘息、神経膠症、浮腫を緩和することが報告されています。多くの腫瘍細胞株において、ファルネソールはさまざまな腫瘍形成タンパク質を調節し、および/または多様なシグナル伝達システムを調節することができます。

また、アポトーシスを誘発し、細胞増殖、血管新生、および細胞生存をダウンレギュレート(細胞が外部刺激に応答して、RNAやタンパク質などの細胞成分の量を減少させるプロセス)する可能性があります。

その抗炎症/抗発癌効果を発揮するために、ファルネソールは、Rasタンパク質および活性化B細胞活性化の核因子カッパ-軽鎖エンハンサーを調節して、シクロオキシゲナーゼ-2(cyclooxygenase-2)、誘導型一酸化窒素シンターゼ、腫瘍壊死因子アルファ、およびインターロイキン-6などのさまざまな炎症性メディエーター(神経構造系)の発現を減らすことができます。

 

ゲラニオールの含有量が少ない場合、ネロールの爽やかさがわずかに柑橘系の香りとして現れます。ゲラニオールの含有量が多い場合、シトロネロール、ゲラニオール、ファルネソール、ネロールの組み合わせは、強く、甘く、フローラルで、新鮮な薔薇の特徴をもたらします。

ダマセノンといくつかの硫黄化合物は、微量成分の中にあり、パラフィンであるステアロプテンはローズオイルの天然成分で、この為ローズオイルは冷蔵すると固化します。                   

                                      

  1. シトロネロール C10H20O

          

      (+)-シトロネロール (左)    (-)-シトロネロール(右)   

 

シトロネロール ( citronellol、又はジヒドロゲラニオール dihydrogeraniol ) は、すべての生物に見られる天然の最大の脂質で、既知の脂質の約60%はこの非環式モノテルペノイドです。左手と、右手のような合わせ構造を持つ2つの有機物質(光学異性体)は、よく似ていますが右手の手袋が左手には入らないように、それぞれの生理活性(生体内化学物質が生体の特定の生理的調節機能に対して作用する性質)が異なります。(無機化学しかやって来なかった私にはこれだけで、不思議な自然の深淵を覗いた思いがして気が動転してしまいます。)

 

先で登場する2. ゲラニロール、3. ネロール, 6. リナロールは同じ分子式C10H20Oですが、異なる構造をしている構造異性体です。しかしいずれもバラ精油の香気を特徴づける成分です。二重結合の先のOH基の付き方、回転方向が違うだけで香気が微妙に異なります。ネロールは華やかさ、新鮮さを感じさせるバラの香気がします。


             

同様にシトロネロールの異性体も微妙に香りが異なります。(+)-シトロネロールはシトロネラソウ (Cymbopogon nardus、別名コウスイガヤは熱帯アジア原産のイネ科オガルカヤ属の多年生植物) に含まれるシトロネラ油の50%を占める異性体です。一方、(−)-シトロネロールはバラ(18〜55%)とペラルゴニウムの精油に含まれています。

     

シトロネラソウ Cymbopogon Nardus  https://www.indiamart.com/proddetail/cymbopogon-nardus-plant-9195668330.html 

 

少し専門的ですが、シトロネロールの合成方法をご紹介しておきます。意外と簡単な方法で合成できるので、おそらく驚かれることでしょう。

 

合成方法

天然資源とは別に、シトロネロールはさまざまな(半)合成法で作り出すことができます。 選択する方法(最も経済的な方法)は、経歴と能力に大きく依存します。 必要な殆どの技術は水素化です。 

 

シトロネロールへの合成手順(立体化学は示されていない)

 

シトロネラール(Citronellal)は、水素化技術を使用することにより、立体化学を保持したままシトロネロール(citronellol)に変換できます。原料として使用されるシトロネラールは、エッセンシャルオイルまたは合成生産に由来する可能性があります。シトロネラ油由来のシトロネラールは(+)-シトロネロールを生み出します。ユーカリ シトリオドラオイルのシトロネラールから始めると、ラセミ体のシトロネロールが得られます。純粋な(+)-シトロネロールは、(-)-メントールの生成の中間体である(+)-シトロネラールからも生成できます。これと同じ技術を使用することにより、純粋な(-)-シトロネロールも得ることができます。

他のさまざまな天然分離株は、ラセミ体のシトロネロールの前駆体として機能します。ゲラニオールを例に取ると、ジャバシトロネラ油(Java citronella oil)から得られたものは、選択的に水素化してシトロネロールを得ることができます。 レネーコバルト(Raney cobalt)を触媒とすると、水素化はゲラニオールの2位の二重結合を選択します。シトラール(ゲラニアールとネラルの両方)を出発物質とすると、適切な触媒系の存在下で選択的に水素化してシトロネロールにすることができます。かなりの量の市販のラセミシトロネロールが、合成ゲラニオールおよび/またはネロールの部分水素化によって作られています。

 

最後の方法は、ピネン(Pinane)からシトロネロールを作り出す方法です。 Cis-Pinaneは、α-ピネンとβ-ピネンの両方を水素化することで簡単に得られます。次にこれを加熱して3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン(3,7-dimethyl-1,6-octadiene)を生成し、これをシトロネロールに変換します。このアルケンをトリイソブチルアルミニウムと反応させた後、酸化するとシトロネロールが生成します。

 

 


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