日本の証券会社は顧客に株式を買わせるのが仕事であるから、株式がこの先安くなるというようなことはできるだけ言わないそうである。頻繁に開催されるセミナーでも、推奨銘柄というのはいずれもこの先株価が上昇するという銘柄ばかりで、売り推奨というのはあまり聞かない。
そのような事情の下では、株価の暴落を予兆するテクニカル指標の存在も耳にすることがなかった。しかし、欧米系のファンドマネージャーの間では、注目されている指標があるという。それは、米国債長短金利の「イールドカーブとS&P500」との相関関係だという。
先週末現在の米国債金利(利回り)は、3 month,2 year,5 year,7 year,10 year,20 year,30 yearの順に、1.08%,1.36%,1.82%,2.08%,2.27%,2.61%,2.84%と米国債の期間が短期から長期になるにしたがって右肩上がりに高くなっている。(添付画像1)このような状態は、ノーマル(Normal)とされていて、目先株式市場が大きく崩れることはない。
危ない状態とされているのは、この曲線が平坦(Flat)ないしは右肩下がり(Inverted)になった時である。例えばITバブル崩壊直前(2000年8月)のイールドカーブは長短金利が逆転する右肩下がりの状態になっている。(添付画像2)
また、リ-マン・ショック1年前の2007年6月にはこの曲線はFlat(平坦)となっていたのである。(添付画像3)
現時点でのイールドカーブを見る限り、米国株がすぐにも暴落する気配はないが、S&Pやダウはもう9年も上げ続けており、もはやバブルの状態であると警鐘を鳴らしている人がいる。西山孝四郎氏その人で、8月4日の雇用統計発表を跨いだセミナーでも繰り返し強調されていた。イールドカーブの動きにも要注意である。
セミナー動画配信URL:
http://www.jikiden.co.jp/jms/017145suhJx5sSTMDZ2/