トレード備忘録 & MT4/MT5インディケータ及びEAの開発

日々のトレード備忘録及びMT4/MT5に関する事項

「1分足スキャルピング」と「〇〇AI Strategy」の解体と再生

2021-05-26 17:23:33 | 投資

 過去3回に亘って「最強のFX、1分足スキャルピング」と人工知能(AI)と称する手法に対する批判を述べてきた。批判を加えたからには、それらに対する筆者的解決を提供すべきであろう。1分足スキャルピングに対しては、正しいEnvelopeを提供することであり、「〇〇ストラテジー」に対しては、その人工知能(AI)と詐称する売買シグナルの実体を明らかにして、これを白日の下に提示することである。

 今回は、上記2者を一気に解決するインディケータを開発することにより、両者の持つ不都合さを同時に解決させようと考える。

一、1分足スキャルピング

① オリジナル仕様

 中心となる移動平均線(EMA20)と12本のエンベロープを一度に描画できるインディケータATR Envelopesを開発した。「1分足本」の考えは、プライスの0.01%, 0.015% ・・・とエンベロープのデフォルトの考えに基づいているが、これでは1分足以外では利用できない。しかも、「1分足本」ではこの数値を10倍位大きい0.10%、0.15%・・・とする誤った数値を採用していたため、そもそもエントリー不可能なものであった。下図は「1分足スキャル本」の誤りを訂正した13本構成のエンベロープとその設定画面である。パラメータの数値は変更可能であり、且つ13本のエンベロープは一挙に表示することができるように6 tier envelopesなる新しいインジを作成した。

② 汎用エンベロープを開発

 「1分足本」のオリジナル仕様は、非常に窮屈なつくりである。まず、エンベロープは計13本、逐一設定しなければならない。この点は、テンプレートを用意して問題の解決を図ることができるが、時間軸を変えると、もはや設定数値は不適切となる。5分足や15分足を利用してスキャルに近い取引をしている人も多いが、そのような場合にはその時間軸に適した%をトレーダー自身が探索する必要がある。そこで、通貨ペアや時間軸にとらわれない汎用性のあるエンベロープの開発にあたった。その通貨ペアや時間軸に特有な変動幅(ATR)があるから、ATRをベースにしたエンベロープを作ればオリジナルが持つ不都合さは解決される。以下がはATR Enveropusとその設定画面である。(GBPUSD1分足)

 過去200期間のATRの移動平均値をベースに計算しているから、時間軸や通貨ペアを問わずに利用できる。1分足でスキャルピングをされるトレーダーにもできるだけこのATR Envelopesを使っていただきたい。スキャルピングのみならず一般的なデイトレにもそのまま使い続けることができるからである。

二、〇〇 AI Strategy対策

 このMT4インジは、その論理式を公開していないから、勝手に人工頭脳(AI)と名乗れば、一般にはそうかなと思われそうだが、テクニカルやMT4に詳しい人であれば、その赤と黄の売買シグナルは単にSuper SignalというMT4のインディケータに過ぎないことは自明である。Super Signalにもいろんな種類があるが、見たところありふれた代物である。

 以前、筆者が作成した改良版のSuper Signalを5分足のEURJPYに表示させてみよう。〇〇ストのサブチャートに表示されている2本の曲線は、これまたありふれたオシレータ・インディケータとそれを平滑化したものに過ぎない。

Super Signalの設定画面により、その意味するところを説明したい。

パラメータの説明

① fractal1 & fractal2

このインジでは青と赤の矢印と青と赤の×印から成り立っている。同じインジで期間が違うものが二つあると理解していただきたい。とりあえずは、主として、矢印のみに留意していただければよい。フラクタルの考え方は、現在のローソク足から振り返って過去の最高値または最安値はどれであったかを発見するものである。厳密ではないが簡略に述べると、fractal(21)とは今から過去の21本前のローソク足の最高値または再安値を求めるものであるから、そんなものをもとめても、これから行うトレードには何の関係もない数値である。しかしフラクタルが完成した経過をみると、たとえ当時、矢印が出ていなかったとしても、結果的には、そのローソク足こそ実は最高値ないしは最安値だったということがある。

 一つの考え方として、現在の足が過去10本のローソク足の最高値であるとして、もし、次の足から下降に転じて更に10本の足が最高値を下回ったならばフラクタル(21)が完成することになる。そこで、案出されたのがSuper Signalなのである。

 かりに、現在の足が過去10本の足の最高値としよう。そして、その時点で最高値であることを示す赤い下向きの矢印を発生させておこう。もし、更に次の足で高値を更新するようであれば、その足に矢印が移るようにする。次の足のことなど誰にも分からないことであるから、とりあえず最高値である旗印を立てておこうというのがSuper Signalの考えである。

 最高値であったかどうかは、ローソク足が2~3本経過してみると見えてくる。10本もローソク足が高値を重ねてきたのだから、下降に転じる公算が大きい。それゆえ、サブチャートに表示されるオシレータの動きで売り買いのタイミングを計ろうとするものである。これを人工知能(AI)というならば、それは人間並みの浅知恵というもの。

② fractal2

 fractal1と同様のものであるが、期間を短く設定することができる。利食い、損切り、増玉(ピタミッディング)等に利用可能。

③ space1、space2

 矢印やx印がローソク足と重ならないようピップスでスペースが調整できる。

④ ArrowWidth1、ArrowWidth2

 矢印とx印の大きさを変更することができる。

⑤ SoundAlert、MailAlert

 デフォルトではfalseにしているが、これらをtrueにすると、矢印が出ると、パソコン上アラート音を出したり、スマホにメールで知らせてくれたりする。

三、両インディケータの合体

 上記EURJPYの今度は15分足チャートにATR EnvelopesとSuper Signalを同時に表示させてみた。

 通貨ペアや時間軸に拘わらず利用ができるから、1分足ではスキャルピング、5分足では〇〇AIストラテジー、その他の時間足ではデイトレ等その利用方法は無限である。エンベロープの代わりにボリンジャーバンドを表示させてもよい。

 「1分足本」や「〇〇スト」が教える方法はそのまま使える一方、筆者からのお薦めとしては、いずれの取引においても「13本エンベロープが平行線に近ければ、売り買いの逆張り、13本がともに上昇していれば、青の買いシグナルのみ採用、13本がともに下降していれば赤の売りシグナルのみを採用」すると勝率が上がる。

 なお、サブチャートはStochasとその移動平均に過ぎないので、RSIをはじめとしてオシレータ・インジで各自試していただきたい。

1分足エンベロープ及び汎用性にあるATR Envelopesはこちら

Super Signalsの改良版は既にこちらで展示中。