相場の世界の格言に「頭としっぽはくれてやれ」というのがある。つまり、トレンド相場を「たい焼き」と見立てて、その頭としっぽは捨てて、おいしい部分である「あんこ」の詰まった部分を取っていこうという趣旨である。
FXの名だたる講師たちがそう教えながらも、実際の公開取引では惨敗するという場面にも多く遭遇した。頭や尻尾さえも取れない人まででる有様であった。言うは易いが、トレンド相場に乗るというのは、至難の技であるもことをも実感したシーンであった。
トレンド発生を知らせてくれるテクニカルは数多くあるが、それらをいかに使えばよいのかを検討してみたい。
1)仕切りのシグナル
仕切りつまりエントリーに適したテクニカルは、やはり値動きそのものを反映したものが中心となる。MT4チャートでいえば、ローソク足が描かれるメインチャートに表示される分析指標が適切である。
2)フィルター
仕切りシグナルだけでは、ダマシに遭うことが多いので、これを確認ないしは補完するためのものである。メインチャートではなく、MT4の下段(Separate Window)に表示される分析ツールが中心となる。あくまでトレンド発生ないしは継続を確認するためのものであるから、いわゆるオシレーター系の指標は対象外となる。
3)手仕舞いシグナル
トレンド相場の終焉もいち早くプライスアクションとして現れるから、仕切りシグナル同様メインチャートに描画されるテクニカルがふさわしいと考えている。仕切りシグナルが手仕舞いシグナルとなる可能性も大きい。シグナル発生の有無とは別に、利確値・損切値の設定で対処することができることはもちろんである。
4)テクニカル指標の組合せ(手法①)
現在FXトレーダーの間で人気のある順張り手法は、西山孝四郎(石原順)氏が自らの戦略ともされるもので、ボリンジャーバンド(BB)、ADX、Standard Deviation(Stdev)を組み合わせている。詳細については、以前のブログで述べたとおりである、そこでは、BBが仕切り及び手仕舞いに、他の二つはフィルターとしての役割を演じている。
5)手法①の改善・発展策
①の戦略では。BBがσ±1をバンド外に飛び出した時にエントリーする。その際、ADXとStdevを観察すると両指標ともすでに上昇していることが多い。また、反対トレンドが既に開始しているのに、ADXとStdevには反応なしということもある。つまりBBがσ±1を飛び出していること自体が、仕掛けシグナルでもあり、フィルターシグナルでもあることに気付くのである。ADXとStdevは、目で確認するための遅めのフィルターになっていることが多い。チャートをよく観察すると、ADXやStdevが上昇する位置はBBσ±1内外のどこででも起こりえる。そうであれば、いっそのことBBのシグナルのみで完結する売買手法でよいのではないか。
プライスアクションでもってトレンドの発生を知らせる指標には平均足(英名Heiken Ashi)がある。MT4に標準搭載されている平均足はダマシも結構多い。さりとて、これを平滑化したHeiken Ashi Smoothedも現値から相当乖離した位置に描画されることになり使い辛い。以下に添付したチャートで表示される平均足は筆者が改良を加えて、ダマシが少なく、且つ、反応も悪くない改良版平均足である。フィルターとしてはMACDのシグナルを考えている。MACDシグナルの長所は上げ基調では上昇し、下げ基調では下降してプライスの上下と同期するところにある。
6)筆者推奨テクニカル使用の組合せ
仕掛けシグナル:BB、改良型平均足
手仕舞いシグナル:BB、改良型平均足
フィルターシグナル:MACDシグナル
その他:選択により損切り値を設定する
7)筆者推奨テクニカルを表示したチャート
(注)①最下段がMACD(12,26,5)のシグナルライン、上昇は白く、下降は青く色分けしている。メインチャート上の平均足の上昇、下降ともほぼ同期しているので、フィルターとしてはふさわしい。またチャート上で青く囲んだ部分はいわゆるノイズであるが、MACDのフィルターが効いているので、この平均足の転換でエントリーすることはない。②参考までに中段には西山孝四郎氏お勧めのADX(14)とStdev(26)を表示している。
8)上記チャートに基づいた自動売買プログラム(EA)
ちょっと欲深いかもしれないが、一つのEA内に二つの戦略を同居させる。一つは、ボリンジャーバンドのσ±飛び出しでエントリーし、バンド内への回帰で手仕舞いとする戦略。もう一つは、改良型平均足の転換でもって仕掛けシグナルを出し、その際MACDシグナルの方向性と合致した時のみエントリーするというもの。旧MT4でもマジックナンバーを変えることにより、同一EA内で二つの戦略をとることは可能であったが、新MT4では各戦略を別配列として扱うことができるようになり、この様な戦略は簡易に、しかも高速で処理できるようになった。ただいま、DoubleDecker(仮称)としてプログラム中であり、満足のいく結果が出ればご紹介したい。
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