喧嘩をした時は

　ときどき僕は苛立ちを押さえきれずに、あなたや物にあたってしまうことがある。口汚く罵り、衝動の赴くままに物を壊してしまう。

　僕は一度だって、本気であなたを傷付けたいと思ったことはない。僕があなたを傷つけてしまうとき、本当に傷つけたいのは僕自身なんだ。広い心を持てない自分、くだらない見栄やちっぽけな自尊心を捨てきれない自分自身が嫌いだから。

　それなのにあなたを傷つけてしまうのは、あなたに甘えているからなんだと思う。

　うん、最低だね。許してくれなくてもいいよ。

　でもね、もしあなたが同じように止むに止まれぬ事情で僕を傷つけてしまうようなときがあるなら、そのときは気にしなくていいよ。僕のことはいくら傷つけてくれても構わない。

　もちろん、痛くないわけじゃないし、辛くないわけでもないけど、その瞬間、あなたも苦しんでいるんだってことがわかるから、気にしなくていいよ。

　全てがすんだら、二人でどこか出かけよう。近場でいいよ。流行の場所でなくて構わない。他愛もない話をして、ちょっとした事で笑おう。そして、また仲良くやっていくんだ。

　過ぎた事は気にしなくていい。今日、この時から二人笑いあえれば、それで良い。