カタチあるもの

宇宙、自然の写真をメインに撮っていますが、時々、読書、日常出来事について書きます。

オプタテシケ

2016-02-29 21:02:24 | 写真_自然

 

 北海道の屋根とも呼ばれる十勝岳連峰、晴れた日には見事な眺望です。やや右側にハート型にえぐれた山がありますがオプタテシケ岳といい十勝岳連峰の北端の山になります。オプタテシケ岳よりも写真左側は大雪山系です。

 この写真は、美瑛町という町で撮ったものですが、「美瑛町」の町の名前の由来はアイヌ語の「ピイエ」(油ぎった川、濁った川の意味)が語源で、これを開拓者が「ビエイ」と訛って読み、“美しく、明朗で王者の如し”と意味をこめて“美瑛”の文字があてはめられたそうです。

 また、北海道には「カムイ」という地名が多いのですが、この語源はアイヌ語で「神」を意味します。神といっても一神教の絶対的な神ではなく、高位の霊的存在というようなニュアンスのようで、「○○カムイ」というように用いられるようです。自然から生きていくための知恵を学んでいた時代、その時代の人々は今と違ったものが見えていた、あるいは感じていたのかもしれないと・・・、なんとなくですが、いつも思うんですよね。

 

 


年輪を刻む

2016-02-27 20:02:01 | 写真_自然

 

 

 温帯や寒帯で自生している木には、1年単位で年輪が刻まれていきますが、この年輪、春から夏にかけては木は活発に成長(粗)し、秋から冬にかけては成長が休止(密)するため、粗と密の組合せで年輪になるそうです。木は1年、2年・・・と、季節が巡る毎に成長の証を確実に刻んでいくんですね。

 

 

 


夜明け前 静かな時

2016-02-24 19:51:19 | 写真_自然

 

 晴れた日の夜は、川から蒸発した水蒸気が空気中で氷って漂うため、普段は何でもない景色が幻想的な風景に一変します。

 夜明けが近づくと、暗くて見えなかった景色が全体的に青いトーンの中で浮かび上がり、気温は一段と低くなりますが、夢中でシャッターを切っているので寒さにも気づかないほどハイテンションです。

 

 写真は空間を平面上に投影したものですが、不思議と違和感なく奥行きを感じます。

 人間はただ見ているだけでなく、頭の中で想像上の奥行き感を重ね合わせているんでしょうね。その他にも「きれい」「かわいい」「幻想的」というような印象、見えない部分の想像など、様々なものを重ね合わせながら、「見る」というよりも「観る」という表現の方が近いように思います。アートとして感じたり表現する能力は、人間に与えられた特殊能力ですから磨いていきたいなと思います。

 

 

 


カラマツ 冬の華

2016-02-21 11:21:18 | 写真_自然

 

 

 北海道では明治から昭和30年代までに大量のカラマツが植林されたため、至る所にカラマツ林があります。このカラマツ林、夏の終わり頃から秋になると"落葉きのこ"というマッシュルームのようなキノコが出てきます。ちょっとクセのあるキノコですが味噌汁におろし大根とともに入れるとなかなか美味しい。両親が山菜好きだったのでよく食べました。

 この写真を撮った時は氷点下20℃くらい、カラマツの枝には氷が付着して冬の華のようです。北海道の冬は、自然界もモノトーンの色風景になります。

 冬から春に季節が移ると多くの植物は花を咲かせますが、植物は6週間程度の気温の動向を記憶していて、その推移から自らの開花時期を決定するという研究成果もありますが、機械的に考えると、温度センサーのようなもの、データの記憶回路、演算回路、開花に対する意思決定能力があるということになります。当然、生命ですから細胞や遺伝子の中にそのような能力が組み込まれているのでしょうが。

 至る所にあふれんばかりに存在している生命ですが、その奥底の仕組みは深いですね。

 

 

 

 

 

 


柘榴世界  パラレルワールド

2016-02-18 19:54:00 | 写真_自然

 

 寝ている時に見る夢は不思議だなと思う。夢を見ているときには自然なストーリーで展開していると思っているのに、目覚めて夢を思い返してみると、奇想天外、ストーリーなどあったものではない。また、人は起きている時も妄想という”夢”を見ることがあるし、妄想をストーリーとして組み立てて”小説”にすることもできる。そんな頭の中で描くストーリーを題材とした「月世界小説」という本を最近読みました。出張時の空いている時間に読もうと思って、本屋に寄ると「読者投票第2位」と帯に書かれており、何やら面白そうだ・・・・と買いました。こういう見出しに弱いです。

 時代は第二次世界大戦から30年経過した1975年、日本はアメリカの属国となっていて、日本語自体がなくなっていた。アメリカとの講和条約の中で「日本語の使用を禁止する」という条文があるのだが、そもそもだれも日本語を記憶していない。古事記でさえ英語で書かれている。言語学者の主人公は、ある日、そのことを不思議に思い、日本語について調べ始めたところ、どうやらある種の目覚めた人が日本語の物語を語ると現実を想像する強力な力があるらしいことが分かってきた。こんな感じで、3つのパラレルワールドを行き来しながら、幸せな現実を創造したい主人公達と神の物語に引き込みたいグループの戦いが始まっていくというSF小説です。言語兵器が登場するようなエンターテイメント小説で、話のテンポが良かったので1日で読んでしまいました。

 日本では、古来から人が発する言葉には言霊という霊力があり、現実に影響を与えると考えられてきました。言葉は物理的に考えると空気の振動ですが、その振動が感動を与えたり、喜びを与えたり、怒り、憎しみまでも与えるのですから不思議ですね。聖書ではバベルの塔の物語が語られていますが、神の怒りはバベルの塔の破壊やバベルの塔を人々の殲滅ではなく、言葉を通じなくすることでした。この時、神は同じ言語を話す人同士が集まる国に分割したようにも思えますね。言葉、言語、奥が深そうです。

 

 

 


晴れた日の夕方 雪原が黄金色に染まっていた

2016-02-14 15:13:45 | 写真_自然

 

 一般的には嫌がられる寒さですが、寒さも極限方向に向かうと、それぞれの気温に応じて普段見ることのできない風景を自然は見せてくれます。

 -10℃になると木々の枝が凍りついて樹氷、-20℃になると氷った水蒸気がモヤのように漂う幻想的な風景、-30℃になるとサンピラーやダイヤモンドダストが現れてきます。

 ここまでいくと、目を通して映し出される風景、肌を通して感じる痛いほどの寒さ、すぐに氷ってしまう吐息、静寂感.....等々、自然のすごさを体全体で感じることができますよ。とびっきり寒いですが・・・。

 

 冬の晴れた日、一日中、美瑛の丘を巡りながら写真を撮り、夕方には親子の木に行き、雪原が黄金色に染まり、空が青から紫に変化していく様を見ていました。人間、自然のすごさを感じる風景に出会うと色々と考えてしまうものです。

 

 

 

 


青い星雲の周りに広がる分子雲 アイリス星雲

2016-02-11 19:29:21 | 写真_宇宙

 

 ケフェウス座のアイリス星雲、青く輝く星雲の周りに光を通さない分子雲が広がっているのが特徴です。もう少し、感度の高いカメラで撮ると分子雲が一面に広がっているのがわかるのですが、私のカメラではこの程度が精一杯です。

 ”重力波を検知した”というニュースが今日配信されました。アインシュタインが理論的に予言した重力波が100年以上経て現実のものとして確認されたことになりますね。アインシュタインは4次元時空という表現で時間と空間が密接に連動している理論を提唱しました。光速度に近いスピードで移動している物体の中では空間が縮み時間の進みが遅くなるというのですから、宇宙そのものは固く動かない絶対的なものではなく、空間的にも時間的にも伸び縮みできるフレキシブルなものということになります

 アインシュタインが扱っていた宇宙空間という極大の世界、そしてアインシュタインが「神はサイコロ遊びをされない」という表現で最後まで与しなかった極小世界の量子論、人の生命や精神という分野も含めていつの日か統合的な理解ができるのでしょうか。

 

 


西の空が藍色になってきた

2016-02-09 19:55:52 | 写真_自然

 

 西の空が藍色になる時は、”これから雪が降るぞ”という合図です。次第に灰色に変わり、白くなった頃には横なぐりの雪が吹き付けてくる。(寒ッ!) そして雪が止むと青空が顔を出し陽の光が射し込む。(ホッ!) そうしているうちに西の空はまた藍色が濃くなってきた。(ヤバッ!) 

 冬の北海道日本海側は、曇りや雪の日が多く、こんな感じの天気が続きます。好きな星の写真もほとんど撮ることができないです。

 立春を過ぎた頃から天候は徐々に安定し、晴れる日も多くなってきます。春が近づいた時のワクワク感は雪がない地域に住まわれている方よりもかなり大きいと思いますね。何十回も冬を経験してくると、春・夏・秋を無駄にせずにできるかぎりのことをしておきたいと、最近は思うようになってきました。  簡単に「無駄にせずに」と書きましたが、この「無駄」という言葉、奥深いものがあります。

 そんな北海道日本海側の冬ですが、この藍色の空と陽の光に照らされている灯台、けっこう、好きな色風景です。

 

 

 

 


最近読んだ本の中から 【鴨川ホルモー】

2016-02-07 13:00:28 | 読書_感想

 

 万城目 学   2006年発刊

 

 「万城目 学さんの小説は”プリンセス・トヨトミ”や”鹿男あをによし”を読み、けっこう、面白かったよ」なんて話をしていたら、それじゃー、ということで娘が貸してくれたのが「鴨川ホルモー」「ホルモー六景」です。

 京都には平安時代から代々続く「ホルモー」と呼ばれる秘密の競技がある。競技者は京都の4つの大学に在学する大学生で秘密裏に召喚され、それぞれの大学毎にホルモーを戦うための訓練を約1年間受ける。そして、次の1年間が競技を行う年である。

 東の青龍(京都大学)、南の朱雀(龍谷大学)、西の白虎(立命館大学)、北の玄武(京都産業大学)ですから、中国の神話に登場する四神獣、そして、「安部」という姓もキーワードになっていますから、平安時代の陰陽師の流れを汲んだ話の筋立てになっています。

 小説自体は、大学時代をホルモーに熱中しながら過ごす10人の物語であり、特に”楠 ふみ”が印象に残りましたね。 鬼を使役して競技する・・・・、よく、こんなことが思いつくなぁ という設定でした。

 

 ”安倍 清明”は、平安時代に実在し、師である”賀茂 忠行”から天文道を授けられ、陰陽道により魔物などから国の守護を行ったとされていますね。今の時代のサイエンスとはちょっと違う科学があったんだろうなぁと思います。

 

 

 

 


冬の海 かすかに春立つ感じがする立春

2016-02-04 20:07:55 | 写真_自然

 

 

 今日は立春、木の芽春立つ日ですね。春立つ日の「立つ」とは、見えないものがかすかに見えるようになってくるという意味だそうです。北海道では、雪は降っていましたが、春の雪のような牡丹雪、かすかに季節が巡っているのを感じることができました。

 写真は、先日の晴れた日に巡った海岸通り、晴れていると空の青、海の青、雪の白、太陽の光の色を感じるのですが、ひとたび雪模様になり吹雪になってくると、モノクロの世界に変わっていきます。子供の頃は、そんな吹雪の日が寒いとも思わず、モノクロの世界の中ではしゃぎ回っていましたが・・・。

 その無邪気さ、きっと今も残っているんでしょうが....、たまに雪原の中で走ってみますか。

 

 


NGC891 アンドロメダ座 エッジオン銀河

2016-02-01 20:12:32 | 写真_宇宙

 

 秋から冬の星座 アンドロメダ座には有名なM31(アンドロメダ銀河)というお隣さん銀河がありますが、NGC891はそのM31よりも10倍以上離れた約3,000万光年の彼方にあります。銀河を真横から見た姿でエッジオン銀河と呼ばれています。大望遠鏡で撮ると中心部の赤と黒の帯があり、複雑な構造を確認することができます。かの有名なアメリカ パロマ-山天文台のパロマ-写真集にもNGC891が収録されているそうです。

 パロマ-山天文台は、カリフォルニア州サンディエゴにある古い天文台ですが、パロマ-山天文台と聞くと不思議に青い空と真っ白をイメージします。事実、パロマ-山天文台は白い色をしているのですが・・・。写真の影響を受けているんでしょうかね。

 本来、色は光の波長が関係しているのですが、心の中でも色をイメージすることができます。心の中にもスクリーンがありますね。