ひきこもり探偵シリーズ完結編。★★★★☆
春の近づくある日、鳥井真一のもとを二人の老人が訪ねてきた。僕らの年上の友人でもある木村栄三郎さんと、その幼馴染みの高田安次朗さんだ。
高田さんが働く動物園で、野良猫の虐待事件が頻発しているという。
動物園で鳥井が掴んだ真実は、自身がひきこもりとなった出来事とどうつながるのか・・・。
鳥井は外の世界に飛び立てるのか。
(文庫表紙裏の紹介文より)
シリーズラストを締めくくる本作は、初の長編。
新たな登場人物は、栄三郎の幼馴染み・高田安次朗。
動物園でボランティアをしている松谷明子。滝本の妹・美月。
鳥井と坂木の中学時代の同級生・谷越淳三郎。
そして、この谷越が、鳥井がひきこもる原因を作った人間だった。
突然の再会に動揺する坂木。その坂木に声をかける鳥井。
「俺は大丈夫だから」
そう、時は来ていた。
鳥井は、少しずつ何かを乗り越え、扉を開ける力をつけていた。
そして、坂木も、また鳥井という杖を放す時が来ていた。
こころが弱くて、とても弱くて。
いつも誰かに喜ばれてたりありがたがられていないと不安で。
僕はこうやって生きてきた。
僕を手放しで必要としてくれる人の手をとって。
その人に支えられて。
そうやって生きてきた。
僕らは、大人にならなければならないのだから。
そんな思いを胸に、坂木はある決意をする~
第一章「街に住むもの」から、終章「動物園の鳥」・エピローグまで一気に読みました。
とても、あたたかい物語でした。
作者・坂木司さんのあとがきも、こころに沁みました。
おまけの「鳥井家の食卓」レシピも、全国銘菓お取り寄せリストもGOOD
このシリーズで、鳥井の作る料理はどれもおいしそうで、食べてみたいものばかりでしたから
鳥井と坂木の物語は、ひとまず完。
いつかまた会えるかなと期待しつつ、いまは余韻に浸っていたいな。