アプリコット プリンセス

チューリップ城には
とてもチャーミングなアプリコット姫がおりました

赤穂事件 貨幣改鋳

2023-02-01 11:10:42 | 漫画
       赤穂事件 貨幣改鋳



 幕府が淀屋を最大限に利用することで、元禄は好景気に沸いていた。
また、将軍綱吉の浪費は幕府の財政を圧迫していた。しかし、幕府の浪費によって、新たな産業が発展し、商人に至っては、逆に、大いに潤うことになったのだ。

 幕府にとっては、商人の繁栄は許せない程に拡大しており、幕府の借款財政は解消しなければならない至上命令となっていた。

 始めに手お付けたのは、淀屋による米手形の禁止であったが、それでも手緩い事に気付くた幕府は、先物取引をさせない為に米切手も廃止させている。
 しかし、淀屋の信用力は幕府を凌いでいた。商人は、蓄えを止めて、投資に力を注ぐことで先物取引を継続させたのだ。この頃の淀屋には、米切手など必要はなかったのだ。商人は保険を兼ねた先物を帳簿に書いて売り買いする事で市場の米価格を決めることができた。


荻原 重秀(勘定吟味役2500石)
「幕府の財政は火の車じゃが
商人の資産は膨れ上がっている」
「先物を廃止しても、米の価格は商人が決めておる」

久貝 正方(勘定頭5000石)
「それは、そうじゃ」
「幕府は生産性がないのじゃからな」
「何も作らんし、何も運んでおらん」
「奪う事しか出来ん」

荻原 重秀
「昔は、金山や銀山で生産性は保たれたがな」
「今は、さっぱりじゃ」

久貝 正方
「しかし、貨幣改鋳は効果覿面じゃったな」

荻原 重秀
「改鋳差益金は金銀合せて528万両余」
「当面の資金は確保できたが
貿易には足りない」
「長崎では、金子が不足じゃ」

久貝 正方
「金の歩合が低すぎる事が原因だな」

荻原 重秀
「金子が安く買い叩かれて
清国に全部奪われてしまう」

久貝 正方
「銅銭も枯渇しておるぞ」
「如何する?」

荻原 重秀
「もう、金、銀、銭での取引は出来ん」
「現物取引が必用じゃな」

久貝 正方
「528万両でも足りんのか?」

荻原 重秀
「全部を使い込んだら
幕府の資金が無くなるぞ」
「金、銀、銭は有限じゃ」
「海外に放出しては為らん」

久貝 正方
「しかし、商人は豊かじゃな」
「商品の売り買いと運送で
大繁盛となっている」
「米切手を奪い取っても
びくともしない」
「幕府には何が足りないのか?」

荻原 重秀
「幕府に足りないものは
信用力じゃぞ!」
「幕府は奪い取るだけで
何もしていない」
「赤穂城を奪い取って
壱万両の資金を手に入れたが
それも直ぐに使ってしまった」
「幕府が壊したものを
商人が直しておる」
「幕府は、もっと寛大になるべきじゃ」

久貝 正方
「豊かに為った大名が刈り取られ」
「貧しい旗本は借金まびれ」
「商人は潤い、武士は飢える」

荻原 重秀
「これからは、武士も働かねばならぬぞ」

久貝 正方
「あっははは」
「武士は、寺社の再建に忙しい」

荻原 重秀
「木材が必用になり、大工が儲かり
庶民が潤う」
「良い事じゃが
幕府は散財となり、資金がなくなる」

久貝 正方
「淀屋の資金を没収すれば如何じゃ?」

荻原 重秀
「よく考えて見なされ」
「淀屋には生産性があり、信用力がある」
「それに引きかえ、幕府は資金不足で
生産性はないのじゃぞ」
「淀屋を潰しても、
その市場を幕府が担うことは出来んのじゃぞ」
「淀屋を潰して失う価値は弐拾億両
奪える資産などしれておる」
「幕府は淀屋から多くの寄付金を得ておるのじゃぞ」
「失うものは大きく、得るものはすくない」

久貝 正方
「しかし、上様は淀屋の資産を欲しておりますぞ」
「上様は
淀屋には、弐拾億両の資産が眠っていると信じております」

荻原 重秀
「それはない
淀屋の信用力は、弐拾億両かもしれんが
実際に蓄えがあるわけではない」
「幕府が奪っている資金の方が大きいのだぞ」

久貝 正方
「上様は、信じませんぞ!」