アプリコット プリンセス

チューリップ城には
とてもチャーミングなアプリコット姫がおりました

赤穂事件 端は本なり

2023-02-12 09:13:11 | 漫画

      赤穂事件 端は本なり




伊藤 東涯(古義堂の儒学者)
「惣右衛門殿」
「大老格への仕官、目出度き事に御座る」

荻生 徂徠(通称は惣右衛門)
「おおォ」
「仁斎殿はお元気か」
「もう、かなりの御歳であろう」

伊藤 東涯
「いやいや」
「健在で御座る」
「塾生も増えており
盛況に御座る」

荻生 徂徠
「あっはは」
「さては、江戸にも勢力を伸ばすおつもりかな」

伊藤 東涯
「京都の古義堂は塾生が増えすぎたので
儂は、江戸に逃げて来た」

荻生 徂徠
「左様か」
「江戸で受け入れられれば本物じゃ」
「なァ」
「端は本なり」

伊藤 東涯
「いやいや」
「それは、如何であろうか・・」
「端は緒が原本で御座る」

荻生 徂徠
「あっははは」
「大差は御座らぬ」
「儂は、道じゃ」

伊藤 東涯
「道・・」
「如何いう意味で御座る」

荻生 徂徠

「天下を安んずるを以て務めとなす」

「天下泰平の為に心力を尽くし、その知巧を極める」

「この道を事実であるかのように故意に手を加えることで、
天下後世の者共を支配する行いじゃ」

伊藤 東涯
「・・・・・」
「左様な邪道を勧めておるのか?」

荻生 徂徠
「おいおい」
「邪道と申すな!」
「天下泰平を為すためじゃぞ」
「例え、暴君といえども
批判しては為らぬ」
「これが道じゃ!」

伊藤 東涯
「んんゥウ」
「では、噂は本当であったのじゃな」

荻生 徂徠
「ん?」
「もう、噂が立ったか」

伊藤 東涯
「非情なる集団に属する者共は
盗賊であったとしても累々として有り」
「それが、真理であるとの噂」
「左様な事を、教義とする真意は如何に!」

荻生 徂徠
「道じゃ!」
「其方は、甘すぎる」
「朱子学は甘すぎる」
「世の中は、悪と善が混在しておるのじゃぞ」
「天下泰平の為には
悪も又、有りなのじゃ」
「善は悪」
「悪は善なのじゃ」

伊藤 東涯
「端は本なり」
「人の本質は善で御座る」
「善は多くの者共が是認する」
「悪は、本来存在してはおらぬ」
「悪はまやかしじゃ」

荻生 徂徠
「あっはははは」
「甘い、甘い」
「京都は甘い」
「江戸は、苦いぞ」
「悪に対する抵抗力がないぞ」
「悪を叩いてはならぬ」
「悪を取り込む事が道じゃ」

伊藤 東涯
「何を申す」
「儂は、江戸市中庶民が
善意に満ちている様子を見て来たぞ」
「悪人など居るものか」
「善人が道を踏み外して
悪行を為すのじゃぞ」

荻生 徂徠
「ん?」
「江戸市中で何を見た!」

伊藤 東涯
「庶民は、赤穂浪士を支持しておる」

荻生 徂徠
「左様か・・・」
「由々しき事じゃな」
「しかしな、仇討ちは
庶民の娯楽じゃぞ」
「赤穂浪士を煽って
吉良を討たせる」
「庶民の娯楽じゃぞ」
「庶民は
忠義の仇討ちを楽しんでおるのじゃ」

伊藤 東涯
「仇討ちなどさせませぬ」

荻生 徂徠
「赤穂浪士に、よう申し付けておけ」
コメント
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