アプリコット プリンセス

チューリップ城には
とてもチャーミングなアプリコット姫がおりました

赤穂事件 仁の乱れ

2023-02-22 10:05:54 | 漫画

      赤穂事件 仁の乱れ




寂如 (西本願寺住職 法印大僧正)
「甥孫の信清殿」
「よく参られました」

松平 信清 (鷹司松平家3代)
「京の都は、ゆったりと心地よき処です」
「寺社も再建され、町も豊かに発展している」
「心が癒される思いです」

寂如
「僧も其方の年頃で宗主となった」
「そして、十七で
関白鷹司信房の娘である貞淑院如瑞と結婚した」

松平 信清
「やはり、早すぎますか?」

寂如
「津軽殿は如何申しているのかな?」

松平 信清
「斯様な若き者を大いに引き立て
大いに期待しておるようで、
斯様な者に対しても丁重なる姿勢で
是非、孫娘をもらって欲しいと懇願されております」

寂如
「なるほど」
「それでは、信清殿は如何感じておられる」

松平 信清
「まだ早すぎるとの思いを伝えております」

寂如
「気持ちを正直に伝えればよい」
「そのように思っておるのであれば
結婚を急ぐ必要はないと
僧は思いますぞ」

松平 信清
「はい」
「期待が大きいので躊躇しておりましたが
大叔父様の言葉を聞くことが出来たので
安心しました」

寂如
「言える事は
格式高きお家の結婚は
政略結婚と御考え為され」
「僧も、関白鷹司信房の娘である貞淑院如瑞と結婚した事で
大僧正に上り詰めた」
「高い地位を望むのであれば
格式高き妻を得る必要があります」

松平 信清
「はい」
「心得ています」
「では・・・
津軽家は、如何でしょうか?」

寂如
「京の都は公卿社会であり
江戸の町は武家社会です」
「信清殿は武家ですよ」
「如何様に生きて行くおつもりかな?」

松平 信清
「武家として武士として生きるのは
とても厳しい事であると感じております」
とは申しても、公卿の仲間入りもできません」
「・・・・・・」

寂如
「赤穂事件で怯んだのかな?」

松平 信清
「・・・・・・」
「気後れなどありません」

寂如
「世の不条理を見て
ものの道理が見えなくなったのでありましょう」
「不条理にあがらうか
不条理に流されるか
不条理から遠ざかるか」
「全てはご自身でお決めになる事」
「全ては、体験なのですよ」
「体験を通してのみ感動があるのです」

松平 信清
「良識や常識に反していることから
遠ざかることは
臆病なのでしょうか?」
「わたしは、臆病者と呼ばわれたくはありません」

寂如
「そう呼びたい者には
そう呼ばせておけば
よろしいのではありませんか」
「僧は、そう思いますよ」

松平 信清
「・・・・・」
「わたしには、体験が不足しております」

寂如
「若い時に、多くの体験をしておくこと
これは、将来の宝物です」
「歳を取ると、
だんだんと動けなくなりますからね」
「失敗も又、貴重な体験ですよ」
「全ての体験は、感動ですよ」

松平 信清
「はい」
「少し、勇気が出てきました」
「・・・・・・」
「しかし、私には赤穂浪士のような
勇ましさがありません」
「武士にはなれません」

寂如
「信清殿は優しいのです」
「その優しさは大切に為さいませ」
「仁をもって政をなすのが
公方様の御考えです」

松平 信清
「では、何故に
上様は浅野内匠頭に
切腹を命じられたのですか?」

寂如
「仁に乱れが生じているとのこと
隆光大僧正が申しておった」

松平 信清
「将軍様は生類憐みの令をもって
仁をなそうとしておられます」
「これでは、人よりも犬の方が尊ばれてしまいます」

寂如
「京の都の犬は如何じゃ」
「江戸の犬と違うか?」

松平 信清
「同じように感じますが・・・」

寂如
「同じですよ」
「一旦面倒を見れば
最後まで責任を持って面倒を見る事です」
「生き物を石ころのように考えてはいけません」

松平 信清
「しかし、犬が人に噛みついても咎めはないのに
人が切り付ければ死罪です」

寂如
「隆光大僧正が申すように
将軍様の仁は乱れておられる」
「全ては、仁の乱れなのですよ」

松平 信清
「では、大叔父様が
仁の乱れを正してくださいませ!」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする