アプリコット プリンセス

チューリップ城には
とてもチャーミングなアプリコット姫がおりました

赤穂事件 内蔵助に危険が迫る

2023-03-27 10:59:09 | 漫画


稲葉 正往 (老中)
「杢之助殿」
「つかぬ事をお聞きしますが
元禄十五年十二月十四日に心当たりはないか?」

岡林 直之 (名門岡林家)
「去年で御座いますか?」

稲葉 正往
「いやいや」
「つかぬ事じゃぞ」
「来年じゃぞ」

岡林 直之
「来年の予定で御座いますか?」

稲葉 正往
「来年の話をすると鬼が笑う」
「誰にも分からぬ事じゃ
鬼でさえおかしくてせせら笑うという」
「其方も、おもしろがればよい」

岡林 直之
「・・・・・」
「一体、如何なる事で御座いますか?」

稲葉 正往
「んんゥ」
「その日の事が
気になっただけじゃ」

岡林 直之
「なにやら気になる事があるとの事」
「如何なる事で御座いますか?」

稲葉 正往
「んんゥ」
「大石内蔵助が江戸に入って
旧赤穂藩士に会っている」
「其方も、旧赤穂藩の会議に参加しておるのか?」

岡林 直之
「いいえ」
「左様な話は聞いておりませぬ」

稲葉 正往
「岡林家は
旧赤穂浅野家家臣団の中では
大石家に次ぐ名門であるな」
「その其方に、何も相談がないのかな?」

岡林 直之
「・・・・・」
「御座いません」

稲葉 正往
「儂は、老中に就任したばかりでな」
「幕僚の中では新参者じゃ」
「できれば、面倒事を起こしたくない」
「其方も、同じ考えではないのかな?」

岡林 直之
「江戸市中町民皆々が
旧赤穂による仇討ちを期待しております」
「吉良邸への討ち入りを期待しております」
「仇討ちが、主君の恩に報いる忠義として
誉れとして、
武士としての誠を示す忠臣となれよと
待ち望まれております」
「・・・・」
「それなのに、何故・・」
「何故、幕府は取り締まらぬので御座る」

稲葉 正往
「んんゥ」
「左様に御考えか」
「それが、其方の考えか?」

岡林 直之
「臆病者と呼ばれ
御家の恥と呼ばれ
江戸庶民から笑われております」
「これでは、幕府も仇討ちを勧めている事になりますぞ!」

稲葉 正往
「左様じゃ」
「幕府は、其方達の討ち入りを唆しておる」
「ただ、それを阻止しようとしておる者もおるぞ」
「思惑で何方かに傾き
状況次第で何方にも変わる」
「仇討ちを称賛する者もおるが
仇討ちを厳格に罰しようとする者もおるぞ」
「儂は、仇討ちを阻止したい」
「其方は如何じゃ?」

岡林 直之
「もはや、改易は変わりませぬ
それ故に
穏便に済ませたいと思っております」

稲葉 正往
「ところで、大石内蔵助が
重要なる幕府の秘密を手に入れたとの情報がある」
「儂はそれを知りたい」

岡林 直之
「それは、庶民の期待で御座いましょう」
「内蔵助太傅は、何も得てはおりませぬ」
「本人も、左様な噂を否定しております」
「ただ、その噂を利用できれば良いなどと申しております」
「それ故、そのことに関しては
太傅も戸惑っておるようです」

稲葉 正往
「しかし、諸国広く噂が広がっておるのでな」
「幕府としても、黙ってはおれん」
「如何したものか?」

岡林 直之
「それでは、無理に否定すれば逆効果となりましょう」
「静観が宜しいかと、
行動を起こさずに物事の成り行きを見守る事が肝要と・・」

稲葉 正往
「幕府の秘密として広がっておるが
これは、将軍綱吉様の秘密ではあるまいか?」
「しかし、何故、内蔵助殿に噂が付いたのか?」
「静観などしておれば、
手が付けられぬほどに広がってしまうぞ」
「内蔵助殿に会って直接問い詰めねば為らぬ」
 
岡林 直之
「もしも、大石太傅が秘密を知っていたら
如何致す御積りか?」

稲葉 正往
「その秘密が何なのか知らねばならぬ」
「それが、何か分からぬうちは
如何すべきか決め兼ねる」
「ただ、内蔵助殿の身に危険が迫っておることは確かじゃ」

岡林 直之
「秘密を暴かれる前に始末すると・・」

稲葉 正往
「左様に考える者もある」
「危険が迫っておるぞ
内蔵助殿は早々に江戸から離れる事じゃ」
「其方からも、伝えてくれ」

岡林 直之
「承知致しました」
コメント
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