心の山を歩いていこう!

単に山頂を目指すより、山歩きそのものを楽しみたい。
そんな思いを備忘録として綴ります。

晩夏の蓼科山と双子池へ。(その1)

2024-08-18 20:00:00 | 山日記
30年ぐらい前の事、蓼科山に初めて登ったコースは女神茶屋から。
記憶として残っているのは直登でキツかった事ぐらいか。そして山頂から穂高が見えたこと。
朧気な昔の記憶の断片を手繰るように登ってみようと考えた。


登山口からすぐ、大きなダケカンバがお出迎え。



鹿の駆け回るなだらかな笹の原を進む。



薄暗い樹林帯に入るといきなりの急登に驚かされる。



そしてまたなだらかな笹の原。先ほどに戻ったかのよう。



そしてまた登りに差し掛かる。薄暗く苔のむす森は編笠山、西岳の景色を思い出させる。



夏なのに風の音しか聞こえず、言いえない不思議な気持ちになる。


 
ダケカンバの疎林になると少し明るくなり、どこかで感じていた緊張感がほどける。



ガスが薄くなり、朝日がぼんやりと射し込む。今日の天気が気になるも、あまり期待できそうもないか。


巨岩が積み重なる斜面。蓼科山の成り立ちが何となく分かる。



また平坦な登山道に変わる。蓼科山は遠目からは分からないが、登ってみると複層火山だという事が実感できる。


そしてまたも巨岩を縫っての直登となる。



若いダケカンバの林。こちらも先ほど見た光景のようでデジャヴかと思ってしまう。



崩壊地の直登。視界が開けるもガスで霞んでしまい、先が見えない。



ようやく霞んだ先にボンヤリと違う景色が見える。山頂までもう少し。



積み重なったガラガラの岩場が現れる。




ハイマツの先はボンヤリながらも頂上らしき影が見えてきた。


 
ここで初めて高山植物の群落が見られた。とは言っても植生は乏しい。



午前7時の蓼科山山頂。ガスと横殴りの風がお出迎え。30年前はここから穂高が見られたのに、と残念無念。



(続く)





新緑の男山へ。

2023-05-02 20:00:00 | 山日記
野辺山をはさんで八ヶ岳と対峙する男山。標高は1,851mながら、凛々しい三角錐の山容は目を引く。
五月に入り、足慣らしにどんな山なのか登ってみた。


登山口は集合住宅のすぐ側なのに驚く。とはいえ、一昔前は生活の山、里山だったのだろう。



獣用のフェンスから林道を登っていく。芽吹きの森には鳥たちの囀りが響き、五月の山の雰囲気に浸る。



勾配がキツくなり、稜線を越えるとこちらは明るくなだらかな下りの道になる。


新緑をすり抜ける光が眩しい。この時季ならではの淡い緑が印象的。


木々の向こうには男山の山容が見える。まだ先は長いのだろうか。



林道の脇は芝生のよう。笹が見られないのは何故だろう。



枯れ草の見られない林床。最盛期の夏の頃は草生い茂る景色と変わるのだろうか。


芽吹いた落葉松林の向こうに男山の頭が覗く。遠くから望む山容とはまた印象が変わる。


 
なだらかな林道ももうじき終わり。


ここから踏み跡の様な登山道となる。地図では手挽き坂となっているが、傾斜はまだ緩い。


少しずつ傾斜が増し、標高が上がってきたのか、落葉松の新緑が薄くなってきた。


登山道は楢の落ち葉が敷き詰めてある。季節の巻き戻しを感じさせる。


ガレた岩を登る。ロープが用意してあるが、それ程大変でもなかった。



天狗山へ延びる稜線に出る。山頂まで50m。



ここから岩の登り。とはいえ、手を使って登るレベルでもない。



あっという間に山頂に出る。来た道を振り返れば天狗山の頭が飛び出ている。
 

金峰山、瑞牆山方面。スッキリと澄み渡れば山容がわかるのに。



野辺山の先に八ヶ岳が見えるハズ。あいにく雲が取れなかったのが残念。



約一時間半の登りでこれだけ楽しめた良い足慣らしだった。
今の時季も良いが、落葉松の黄葉の時季、黄色一色の山も良いかも、と思わせる景色。低山ならではのお手軽さの山歩きだった。

         (2023年5月1日)

(終わり)


秋の雨飾山へ。

2022-10-13 19:00:00 | 山日記
幾度か訪れたことのある雨飾山。どの時季に訪れても良い山だが、やはり秋の紅葉の頃は外せない。


大海川沿いは少しずつ秋の雰囲気が漂う。ここだけの散策でも随分と遠くの場所に来たのを実感する。



登り始めは急坂が続く。やがてブナの森となる。葉の色付きが少しずつ始まってきたようだ。



急坂が終わると、森の茂みの道に。
少し開けたブナ平に着く。



多少の登りはあるものの、なだらかで泥濘みの道を行く。



荒菅沢への下り道に差し掛かると、視界が開け、雨飾山山頂が覗く。
紅葉のパッチワークが見頃。



下り切ると、荒菅沢を渡る。
布団菱の彼方に雨飾山の鋭い山容が見える。



ここから木々のトンネルを抜ける急登となる。



木々が切れ、この先の尾根が見える。まずはあのコブを越えて行く。



左手には頂上からの尾根が見える。
なかなかガスが切れない様子。



そして、荒菅沢を見下ろす。彼方には妙高山が見える。



視界に入ってきたのは、ジャングルジムのような岩場。まだここを越えなくてはならない。


笹平に着くと山頂が望める。
笹の原は露に濡れ、登山道は泥濘みで靴とズボンはグッショリとなった。



布団菱を見下ろす。高度感と広がりのあるこの絶景は見逃せない。



山頂へ取っ掛かる。ゴツゴツの岩が剥き出しの登り。



山頂から笹の原を見下ろす。何となく色付きが見られる。



駒ケ岳、鬼ヶ面山、鉾岳。
今も記憶に残るワイルドでハードな山々。



焼山と金山。いつか茂倉尾根を伝って訪れる事はあるのか。



今年の紅葉は雨の影響か、今ひとつだった。それでも訪れて良かった。
小粒ながらピリリとした良き山。
次はいつになるか分からないがきっとまた来たくなることだろう。

       (2022年10月13日)

(終わり)




翠緑の瑞牆山へ。

2022-06-24 20:00:00 | 山日記
瑞牆山へ行くのなら、シャクナゲの花が見頃を迎える6月の初旬がベスト。しかしながら、緑目映い今の時季、静かな山歩きを楽しもうと向かう。


みずがき山自然公園を基点とした周回コースは今回で3回目。
林道終点辺りは野鳥の囀りがこだまする。



なだらかな折り返しの坂を往けば、視界が開ける。朝の時間、まだガスが晴れないようだ。



ここからぐるりと山肌を回る。



見上げると垂直の巨岩。ここを登るだなんて、自分には無理だ。





沢に向かって下って行くと、せせらぎに出る。冷たく澄んだ水に気持ちまでもスキッとさせられる。



川伝いに歩くと、対岸の巨岩が見える。巨岩というより一山か。



新緑が、岩に映ったかのような岩肌。緑が目に染みる。



対岸に渡ればなだらかな道となる。



そして、不動滝とご対面。今日この場にいるのは自分だけ。一時不動滝を独り占め。



ここからは深い森に分け入っていくかの様。晴れていても陽射しの届かず、より緑が淡く見える。
 


この辺りは岩とシャクナゲの景色となる。もう少し早い時期に来ていればこの森の色彩に淡いピンクが散りばめられていたことだろう。


瑞牆山らしく苔むす巨岩。



いつの間にか野鳥の囀り、せせらぎの音が消え、森の静寂に包まれる。



標高が上がってくると、薄っすらとガスのベールが掛かってくる。



瑞牆山は山頂付近まで木々に覆われているので、高度感が掴めないが、ようやく富士見平からの道と合流する。



すでに終っていたと思っていたシャクナゲがこの辺りではまだ残っていた。



このトンネルをくぐると頂上に出る。



山頂に辿り着くと急に青空が覗いた。回りは雲に覆われ展望はきかなかったが、これはこれで良しとしよう。



この後、下山ルートに富士見平小屋方面へと向かった。天気ははっきりとしなかったが、今回も楽しめた山歩きだった。次はまだ歩いていない秋の時季に訪れたい。どんな景色に変わるのだろう、想像だけでワクワクする。

        (2022年6月24日)

(終わり)


晩秋の小楢山へ。

2021-11-19 15:00:00 | 山日記
山梨県の低山で気軽に行け、かつ山頂からの展望が良い山はないか、と思って目に止まったのが、小楢山。
事前にいろいろと調べると当日面白くないので、地図のみの情報だけにする。こういう山登りは新鮮味があってワクワクする。


しばらく林道を行けば、露わになった山肌の先に朝日を浴びた山が見える。もしや小楢山か、とテンションが上がる。



薄暗いヒノキの中を抜ける登り坂もそろそろ終わり。



父恋し道を上がれば、葉を落とした広葉樹の森となる。風のない陽だまりは11月という季節を感じさせない。



サラサラと水の音が聞こえ、小さな滝が現れる。この時期でも枯れないのは保水力のある豊かな森の証。



予想外の登り続きで次第に暑くなり、上着を脱ぐ。



次々と現れる小さな石仏、それぞれに名前のある巨石は信仰の山だった名残り。



段々と傾斜が緩やかになり、木々も疎らになって来る。この巨岩を左側から回り込む。



ここでようやく狭い稜線に出る。



今度はこの巨岩を右側から登る。



大沢の頭に出る。
上空の青空は見えるが、周りは木立が展望の邪魔をする。



小楢山に向かって北上する。狭い稜線の先にまたもや巨岩が立ち塞がる。



直登は出来ず、登山道は寒々しい左斜面をトラバースしている。



陽当りの良い緩やかな稜線に出ると、木立越しに小楢山の山容が見える。



小楢山峠付近。
今日は吹き抜ける風もなく、静寂の晩秋のひとコマといったところ。



直接頂上に向かわず、一杯水から回り込む。枯れ葉積もる道はフカフカでさながら散策路の様。



頂上から先程の大沢の頭方面を望む。彼方には南アルプスの山々が並ぶ。



後ろを振り返れば国師ヶ岳方面。


そして富士山方面。薄っすらとした靄が笛吹市の街に掛かる。この時期らしい朝の光景。



4時間弱ながら、登り応えがあり、山頂からの景色も楽しめ、予想以上に充実した山歩きができ、また一つお気に入りの山が増えた。
次は新緑の頃、野鳥のさえずりを聞きながら歩きたいな、と思いを馳せながら母恋し道を下って行った。

       (2021年11月19日)

(終わり)