心の山を歩いていこう!

単に山頂を目指すより、山歩きそのものを楽しみたい。
そんな思いを備忘録として綴ります。

新緑を求めて、飛龍山·雲取山へ。(三日目)

2019-05-27 17:00:24 | 山日記

夜間雷が聞こえ、パラパラと雨が落ちたが、晴れの朝を迎えられそうなので、暗いうちにテントを撤収して出発。


山頂で日の出を待つが、東の水平線は雲が掛かっていて御来光が見えるのかどうかヤキモキする。

期待に応えるように、やっと太陽が雲間から上がって来た。



雲がスクリーンとなり、赤い丸が東の空に浮かぶ。



飛龍山に雲取山の影が映る。日が上がる方向も今の時期が丁度良いようだ。



さあ、朝日の中下山を開始する。眼下には長い尾根が連なっている。




昨日の笹に覆われた縦走路とは打って変わって、真っ直ぐな道が伸びている。




登山道というより朝の散歩道の方が似つかわしく、足取りも軽やかになる。




知らぬ間に小雲取山を過ぎ、急坂の下には長く伸びる稜線が見える。




朝日が木々の間から差し込み、道に縞模様の影が出来る。




緩やかな下りから少し上がればヨモギノ頭へ。

 


南側は大きく開け、七ッ石山までの稜線を鳥になった気分で俯瞰する。



奥多摩小屋跡付近に下りて来る。絶好のロケーションなのに、現在は閉鎖された事がつくづく残念。

何方かクラウドファウンディングで小屋再開を計画してはくれないものだろうか。




尾根は細くなってはきたものの、西側に視界が開け、気持ち良く歩ける。こんな登山ならずっと続いて欲しい。




不思議な樹形のカラマツが視界に入る。

そして少しずつ七ッ石山が近づく。




七ッ石山を登って行く。恐らく今回最後の登り。




開けた草原を登る。草原はマルバダケブキしか生えていない。

夏になるとオドロオドロしい黄色の花咲く光景が目に浮かぶ。




もう間もなく山頂へ。これが今回最後の山頂になると思うと寂しく思える。




山頂から見た飛龍山。雲取山からここまでずっと見続けて来た。今回の山旅の主役だったと感じる。




そして雲取山とここまで歩いて来た尾根が続く。ここで見納めとなる。



これで三日間の山旅が終わりとなる。

天気に恵まれ、特に最終日は青空の元て歩けたなんとも幸せな登山だった。

先の事はまだ分からないが、次に来るとしたら紅葉の頃がいいかな、雲取山だけなら薄っすら白く染まる12月もいいかな、と想像を膨らませている。

     (2019年5月22〜24日)
(終わり)










新緑を求めて、飛龍山·雲取山へ。(二日目、その2)

2019-05-26 17:00:50 | 山日記


この尾根を登れば飛龍権現へ、もう少しの頑張り。


飛龍権現から西に進んだ先にある禿岩からの眺め。今回で一番の展望。

今迄歩いて来た尾根を振り返る。




眼下に広がる大常木谷。吸い込まれそうなほどの広がり。




唐松尾山方面。遥か彼方過ぎてどの山が分からないが、多分一番高い山がそれだろうか。




飛龍山方面。余りに近すぎて山の形が掴みづらい。




分岐まで戻り、登って行けばまたもやシャクナゲ茂る道となる。



山頂付近は笹と苔の薄暗い森。




展望の効かない山頂。飛龍山は遠くから眺める山だと感じる。




東側に付けられた近道を下る。



笹茂る斜面の道を行くと、北天のタルに到着。三ッ山へは変わらず笹に覆われた斜面を進む。



疎らな木々の間から見える山々。雲取山へはまだいくつかコブを超えなくてはならない。




右側面に開けた景色。山というより深い谷が切れ込んでいる光景。




笹生い茂る斜面に付けられた道。変化に乏しく時間だけが徒に過ぎていく感じがする。




途中で見つけた小さな花。




狼平へゆっくりと下って行く。




狼平の先、開けた草原からの景色。雲取山が見えるが、まだまだ遠い。




笹原のトラバースに飽き飽きしながらもようやく三条ダルミに到着する。




この先は山頂への長い登り。今日最後の試練だと思い、我慢するしかない。



そして遂に雲取山山頂へ到着。改めて長い一日をよくぞ頑張ったものだ、と思う。



この先雲取山荘への下りが待っている。

後は転ばないようにただ歩くのみ。

明日は下山のみ。

(続く)


新緑を求めて、飛龍山·雲取山へ。(二日目、その1)

2019-05-25 20:00:12 | 山日記
三条の湯のキャンプサイトは渓流の側なため、予想より流れの音がうるさかった。寝たり起きたりの繰り返しだったが、長旅の一日の朝を迎える。
 

まずは、サオラ峠へ向かう。
峠へはゆったりとしたアップダウンとなる。


  

尾根の襞をトラバースし、渓流が見えて来た。昨日と同じで水の音が絶え間なく聞こえる。




木々の向うに視えるのは明日歩く尾根なのか。長い一日が頭にあるのでその先の事は考えも及ばない。




緩やかに下った先に小さな流れを渡る。
せせらぎのせいか、ゆったりとした気分になる。




柔らかい朝の光が森に射し込んできた。




朝日差す森は一層鮮やかさが増す。




登山道というより、昔からの作業道だった道なのだろう。傾斜が緩く、登っている気がしない。





ハイキングコースの様な道。新緑の季節だけでなく、紅葉の時季はどんな森の景色に変わるか想像するのが楽しい。




気分良くサオラ峠へ到着。峠道のイメージとは違う広場の様な場所。





広くなだらかな尾根を行く。尾根と言っても先程と変わらない広葉樹の森。





次第に尾根が狭くなり、傾斜もキツさを増してきた。



おそらく熊倉山のピークを過ぎ、右に折れ下った場所から見える山並み。
あれが前飛龍だろうか。ここからかなり登るようだ。


 

段々と植生が変わり、ダケカンバが目立つ。少しずつ登りが辛くなってきた。




狭く岩が目立つ尾根道。
まだ先は長いのに気持ちが萎える。




木々が途切れ、青空が見える。ようやく前飛龍に辿り着く。



今迄歩いて来た尾根を眺める。
ここまででも結構な達成感があるが、
まだ予定の半分にも満たないと思うと先が思いやられる。



これから向かう方面を見る。まだこれ以上の高みを目指さなくてはならない。



シャクナゲ茂る尾根道を行けば、開花株に出会う。今回のコースの中で咲いていたのはここだけだった。



(続く)

新緑を求めて飛龍山、雲取山へ。(一日目)

2019-05-24 17:17:24 | 山日記
五月後半、瑞々しい緑が恋しくなる時季。さて、今年は何処へ行こうか。
奥秩父の山域でまだ足を運んでいない、飛龍山·雲取山が気になるので是非ともと思い、向かう。


第一日目は後山林道から三条の湯へ。

林道に入り、まず目に飛び込むのは艶やかな木々の緑。あまりの美しさにため息が漏れてしまう。




林道はクルマの行き来を気にしなくて済むので、周りを眺めながら歩ける。思索の旅にもってこい。



  
対岸の山々は天平尾根から伸びる山並みだろうか。緑の濃淡が一際目立つ。



 
谷間の道なので、渓流が響き渡るが、その中に細やかな滴りが耳に届く。




緑の濃淡が溶け込む景色。やがては自分もこの色に染められそう。 




渓流ははるか眼下を流れている。ようやく木々の間から見ることが出来た。 




右側を眺めれば、所々細い滝が
流れ落ちる。艷やかに光る岩肌が心に留まる。



崖の濃緑と天井を覆う淡緑のコントラストが美しい。




細い流れと苔むす岩肌。何気ない景色だが心が和み、足が止まってしまう。




次第に渓流が細くなり、林道との高低差も縮まってきた。




栃の木の大木。おそらくこの辺りの主(ヌシ)かもしれない。




前方木々の間から見えるのはどの山だろう。明日の自分が歩く山だろうか。




林道終点の橋の上からせせらぎを見下ろす。ここから登山道が始まる。




薄暗い森の中、翡翠色の滝壺が見える。




渓流の流れが緩やかになってきた。この辺りは森林公園の様な景色。




朽ちた大木。幾年の間この森を見守り、今は静かにその役目を終えたことだろう。




険しい断崖に付けられた細い道を行く。行けども行けどもまだ先は見えない。




煙が見えるとようやく三条の湯へ到着。
ホッと安堵する。
今日はここでテント泊。



(続く)





令和元年五月の槍ヶ岳へ。(三日目)

2019-05-12 17:00:05 | 登山
一晩中テントはバタバタと風に叩かれ、よく眠れなかった。
朝はゆっくりしようと思ったが、寒いので早めに出発する事にした。風に煽られる中で、テントを片付けるのに苦労する。


 
先ずは、この傾斜を降る。サクサクの雪なため恐怖心は感じない。人は慣れるものだなと思える。




ようやく太陽が顔を覗かせる。弱々しい光が雪面を照らす。




降りてきた急斜面を見返す。昨日の登りとは打って変わってあっという間に終わってしまった。




槍の穂先ともこれでお別れ。




緩やかな傾斜の先は見えない。谷底に吸い寄せられるかの様。




ここからまた傾斜がキツくなって来る。吹き下ろしの冷たい風がここまで来ず、寒さが緩む。




後は谷底に向かって降りていくのみ。
ひたすら登った昨日の苦労が嘘の様。




次第に正面の山壁が近づいて来る。




降りてきた槍沢を振り返る。言葉に出来ない思いが込み上げてくる。まさに感無量。




両脇の山が迫って来る。この辺りが大曲りだろうか。





狭い谷間を下る。もう緊張感は無い。




ここを過ぎればババ平が見えて来る。




ババ平から歩いて来た方面を見返す。
いつかここでテント泊をして星空を見上げたい。そのためだけにここに来るのもいいな、と思う。




ババ平西側の壁面。圧倒される迫力。





東側の壁面。これでこの景色ともお別れ。




初日に歩けなかったコース途中からの景色。この辺りは二輪草の群生地だが、花はまだ見られなかった。




悠々たる流れ。これぞ上高地の魅力。




明神分岐の森。



こうして三日間が過ぎて行った。
緊張感に満ちた時間、でも充実感に満ちた時間だったと振り返る。
槍ヶ岳は心躍る山。訪れる機会は残り多くないゆえ、次に来る時を心待ちしようと思う。
      (2019年5月7〜9日)

(終わり)