心の山を歩いていこう!

単に山頂を目指すより、山歩きそのものを楽しみたい。
そんな思いを備忘録として綴ります。

花盛りの平標山へ。

2018-07-29 21:00:00 | 山日記
今回苗場山へ登りに遥々湯沢町に来た。しかし、苗場山だけで帰るのはもったいないので、ついでと言っては失礼だが、近くにある平標山へも行こうと思った。 

平標山は高山植物の花で有名だが、いつもの年よりも暑いので花の盛りはすでに過ぎているだろうと期待せず向かう。
 

登山口から始まる木の階段。一見歩きやすそうだが、歩幅が合わず却って歩きづらい。



やがて石が剥き出しの急坂になる。平標山は予想に反しなかなか大変な山。



一度平坦な登山道になる。この辺りで吹き出した汗を懸命に拭き取る。



登山道は背の低い草木の合間を抜ける。回りの山々はガスの中で展望が効かない。



この辺はダケカンバが多い森。先程よりも密度が薄く、周囲が明るい。



やがて木々の丈が低くなると、松手山の山頂が見えてきた。



松手山から平標山方面を見る。
山頂は厚い雲の中。



目の前からずっと先まで伸びる登山道。山頂はこの先に伸びる登りのもう一つ先のピークのようだ。



登るに従い、あちこちで花が咲いている。次第に花の密度が濃くなってくる。



少しづつガスが薄くなりつつあり、山容が見えてきた。



花畑はまだこの辺りにも広がっている。曇りのせいか、花々も暑さを避け、活き活きしている様に見える。



この辺りから、山頂が現れてきた。この先は緩やかな登りとなる。



上空は高曇りだが、山頂までの道程が見える。あと少しの距離。



山頂にて、上空は青空が覗いていた。回りの山々はガスに包まれていて様子が分からない。



仙ノ倉山へと続く道。このまま歩いて行きたいが、お楽しみは次の機会まで、このまま取って置こう。



キンコウカのお花畑と仙ノ倉山。
この時間ガスがとれ、こういう景色が見られて本当に良かった。



このまま平標山の家へと降って行く。



平標山の家付近から苗場山方面を眺める。
昨日の自分はあちらから眺めていた。そして今日の自分はこちらから眺めている。そう思うと、心の中で喜びが泉の様に湧いてきた。



今回良い意味で予想が裏切られ、平標山に来て本当に良かった。

次に平標山へ来るのは谷川岳からのルートの終焉としてくる時だろう。
その日の到来を今から心待ちにしている。

(終わり)

夏真っ盛りの苗場山へ、その2。

2018-07-28 21:00:00 | 登山
日照り続きの天気のせいか湿原も乾き気味。それでもここまで標高が高いと爽やかな空気を全身で感じられる。

所々に見られる池塘に高原の景色が映し出される。



この景色にしばし疲れも忘れてしまうくらい見惚れてしまう。



ワタスゲが丁度見頃を迎えていた。



苗場山山頂。広がる台地のせいで山頂があることに違和感を覚える。



ワタスゲ沿いの木道。
この道がずっと続くのなら何処までも歩いて行きたい。



池塘の周りはキンコウカの花畑。



こういう光景を幾つも探していきたい。そして見つけた分だけ心の財産が増えていく。



道標は「小赤沢」方面としか示していないため不安にかられたが、やがて「赤倉山」と書いてある道標に至り一安心。
背の低い針葉樹の間を抜けて行く。



登山道は山頂台地の縁に沿って下って行くようだ。



左側を眺めると、昌次新道の尾根が見える。つい先程までの自分がここを登っていた。



そして振り返れば苗場山の山頂台地が彼方になっている。


踏み跡の薄い、草に覆われた道を下って行く。



鬱そうとした木々に覆われた斜面を登り返す。かなり降ってきたので、この登りは気持ち的にも堪える。



赤倉山山頂。
木々が回りの視界を遮り、景色が見えずつまらない。



急坂を下り、見上げれば正面に平標山が見える。



薄暗い針葉樹の森を下る。陽を遮ってくれるのが嬉しい。



また、視界が開ける。
段々とこの登山の終わりが近づいてきたのを感じる。


そして最後の眺望。
昌次新道がここまで低くなってきた。




やがてせせらぎの音が少しづつ大きくなってきた。
早く汗だくの身体を冷たい川に浸したい。それしか考えられずに足を運ぶ。
そして冷たい流れを全身で浴びた時の気持ち良さ!
これも忘れられない夏山の想い出となった。

今回は湯沢町からのルートを歩いたが、次は津南町からの小松原コースをじっくりと歩いてみたい。
苗場山の魅力は奥深そうだ。

(終わり)

夏真っ盛りの苗場山へ、その1。

2018-07-27 21:00:00 | 登山
初めて苗場山を訪れたのは秋の終わり。今となってはおぼろげな記憶となった十五年以上も前の事。

昔の記憶を辿りながら苗場山に登る事は昔の自分に会いにいく事、そう感じ、今回の山旅を思い立った。


ここの処の蒸し暑さと無縁の涼しさ。川べりに沿って歩いて行く。



橋を渡ると、清々しい森の中を登って行く。



一度サゴイ沢へ下り、登り返す。
本来なら朝露に濡れた登山道なのだろうが、ここのところの日照りで森の中も乾いている。



桂沢の水場はチョロチョロ程度で当てにできなかった。
この先で植生が明るい森へと変わる。



ブナの間から木漏れ陽が溢れ、気持ちの良い森歩きが楽しめる。



フクベノ平。
ブナの美林が広がる。一休みに絶好の場所。


しばらく歩くと、左側の木々の間から赤倉山方面が見える。



尾根歩きに変わり、クロベの間を抜けて行く。



次に右手に見えるのは神楽ヶ峰。あちらからのルートも歩いてみたくなる。



そして、うっすらかかるモヤの彼方には平標山方面が見える。 
こうして見ると、スッキリとしたシルエットが特徴的。



薄暗い森の下はシャクナゲが目立つようになる。。



突然巨岩が現れる。深穴岩の間を抜けて行く。



左手に苗場山から延びる尾根が見える。帰りはあの辺りに沿って下って行くのだろう。



シラビソ廊下を抜けると、正面に苗場山が視界に飛び込む。



立ちはだかる登り。急登かと思いきやそれ程でもなかった。



振り向けば、つい先程まで歩いていた、昌次新道の尾根が伸びる。



登り切ればガラリと風景が変わり、湿原が一面に広がる。果てなく思える程の広がり。



ゆっくり歩いていけば、ポツンと山頂ヒュッテが見えてきた。
ここで一夜を明かすのも良いなと思える絶好のロケーション。


(続く)

赤湯温泉、山口館。

2018-07-26 21:00:00 | 山の宿
赤湯温泉に初めて泊まったのはかれこれ十五年以上も前の秋深まる十月末。
苗場山に登る事を告げると、「冬の用意でいらっしゃい。」と言われたが、やはり秋の気温だったため冬支度では暑く、汗だくで降りてきたことを今でも憶えている。

露天風呂もさることながら、薄暗い囲炉裏を囲んでのお婆ちゃんの心尽くしの夕餉、御主人の朴訥の語りが記憶の端々に刻まれている。

あれからすっかり月日が経ち、何処かしら変わっているかと思うが、断片を繋ぎ合わせた記憶が蘇ってきた今、もう一度行きたいと強く感じていた。

そして、今回夏の苗場山にも行きたく、念願の再訪を果たした。


林道の入り口に迷いながらも小日橋にまでクルマを入れる。
過去の自分は迷わずここまでスンナリ来れた事を思うと、カンが鈍くなったのかと呆れる。

橋を渡ると眼下に清津川が緩やかに流れる。ここから歩いて宿に向かう。



林道は緑眩しい木陰のおかげで涼しい。



林道終点付近の休憩場所。
ここでひと息ついてこの先の登山道歩きに備えたい。



木漏れ陽もれる棒沢の流れ。



この先は釜段ノ滝。残念ながら橋からは滝壺が見えない。



これから先は本格的な登山道。なかなかの登りとなる。



木々が開けると、近くの山が見える。秋木々が色づく頃、どんな様子なのだろうか。


やがて緩やかな下りとなる。身体のほてりが少しずつ引いていく。



羊歯の茂る森となる。この先には九十九折の急坂が待っている。



清津川に掛かる鉄橋を二つ渡ると宿はすぐそこ。橋の真ん中から野天風呂の建物が見える。



念願の宿に到着。昔と何ら変わらない建物。



玄関付近も全く変わっていない。過去にタイムスリップしたかの様。



二階の渡り廊下から一階の居間を見下ろす。ここもほぼ変わらず、懐かしさがこみ上げる。



「青湯」
本来日中は女性専用だが、この日は女性客がいなかったので、断って入れさせてもらった。汗で冷えた身体には少し熱いくらいだが、寛げる。



「薬師湯」
こちらも回りを囲っているが、日中は男性専用。なので気兼ねなく入る。こちらもやや熱めのお湯。



「玉子の湯」
温泉にばかり浸かっているとのぼせそうだが、こちらは温めでしかも囲いの無い、露天風呂。ゆったりと青空を見あげながら、身体も心も解れていく気持ち良さを実感。



この日の夕餉。
山の恵みの優しい味わい。ここでしか味わえない山菜料理に感謝。



暗くなるとランプの灯りが部屋にともる。
電気の明るさに慣れていると薄暗く感じるが、ランプの揺らめきに何処か懐かしさを覚える。



夜は川の流れの音しか聞こえない。川べりのせいか涼しく、明け方は寒いくらいだった。
お陰でぐっすりと休め、翌日の苗場山登山に向けての英気を養う事が出来た。

次訪れるのはいつ、という風に気軽に行ける所ではない。
でも、いつの日か思い出したら、また是非とも行きたくなる宿だろうから、その日が来るまでそっと胸に閉まっておこう。

(終わり)







灼熱の馬蹄型縦走、清水峠から白毛門へ。

2018-07-22 21:00:00 | 登山
雲に覆われた夕暮れ。夜半は星空になるかなと思ったが、ガスに包まれたまま。
涼しさも訪れず、山らしからぬ蒸し暑いままの一夜だった。


どんよりとした夜明け。
気持ちは何処か盛り上がらないが、後半戦も頑張って歩こう。



鉄塔のある丘を越えて、笹の原を下ると、小さな池塘があった。
ここのところの炎天で干上がりそう。



樹林帯を登って行くと、ガスの中から薄っすらと見えてきた。どれくらい大きな山なのだろうか。



次第にガスが晴れてくる。それにつれて朝日岳の大きさに恐れをなす。



山頂付近は朝日が差している。
手前の斜面は美しい草原が広がり、しばし見惚れる。



ガスが晴れ、山頂まで連なる長い尾根が見渡せる。



長かった尾根歩きの先に待っていたのは、美しい草原と池塘。
今の一時、楽園に辿り着いたかの様な気持ちになる。



そして山頂から、草原の中をゆったりと流れるように道が見えてきた。



朝日岳からは先程と対象的な、端正な三角錐の山々の稜線が連なる。



今の時間、晴天に恵まれ、眺望にも恵まれた緩やかな下り。
こんなにも幸せな気持ちでいる事を明け方の自分は予想出来ただろうか。



笠ヶ岳の山頂へ登り返しの手前。
今回で一番のニッコウキスゲの群落。思わず声が漏れる。



笠ヶ岳までもう少し。何だか名残り惜しい気になる。



笠ヶ岳山頂から白毛門を見下ろす。
草原を下ると味気無い樹林帯歩きが待っている。段々足の裏が痛くなってきた。



コルからの登り返し。
緩い登りがもう少しで終わる、あとは下るだけ、と自分に言い聞かせる。



白毛門山頂と谷川岳。
昨日のこの時間、あの稜線を歩いていた事が何だか信じられない。



山頂からは驚くほど急な下りとなる。
振り返れば、もう山頂はあんなにも小さい。(岩が見えるピークのもう一つ右側のピーク。)



初めて見る白毛門は岩の山だという事に気付かされる。岩肌が磨かれているかの様。



この先は急降下が続く。暑さと疲労から足がうまく運ばず大変だった。西黒尾根より大変な下りだとボヤく。



バテバテで帰路につき、途中の水上駅前のラーメン屋の冷し中華をかき込み、息を吹き返した。
こんな事も含めて今となれば楽しい登山だった。次にまた登るかどうかは分からないが、生涯の想い出になった事は間違いない。

(終わり)