心の山を歩いていこう!

単に山頂を目指すより、山歩きそのものを楽しみたい。
そんな思いを備忘録として綴ります。

静と涼、湯ノ沢峠から米背負峠へ。

2017-07-17 14:13:36 | 山日記
5月、大菩薩から南に目を向けた時、山々はガスに包まれていたため、どんな景色なのだろうと、気になっていた。モヤモヤとした想像の中。
今回、草原の湯ノ沢峠を起点に富士山に向かって、南下しようと計画した。


湯ノ沢峠の登山口からは、緩やかな渓流の音、鳥たちの囀りを耳にしながら歩いていく。



湯ノ沢峠はクルマで上がれるが、こんなにも美しい渓流の新緑を眺めないなんて残念、というかもったいない。


清流がとだえ、森を登っていくと、湯ノ沢峠に到着。そして南に向かうと、草原に出る。そこは色とりどりのお花畑ではないが、開放感溢れる高原。



黒岳を背景にアザミはこれから開花。



大蔵高丸の北側の森を抜け、山頂から草原の彼方に富士山が見える。
今日は高曇りだが、展望がきく。


緩やかな起伏。涼しげな森の中は野鳥の楽園で囀りが響く。



森を抜けると次の草原に出る。
こちらの方が花の種類は多いがススキやノイバラが進出してきてやがては草原の風景が変わっていくだろう。


花のない草原たけど、こんな景色が好き。秋には黄色の草モミジになるだろうな。



ハマイバ丸山頂は森の中。


少し歩き出すと、木々の間から富士山が見える。こうやって眺めると、富士山は遠いと感じる。


長い下りに入り、花盛りのノイバラの茂みを抜けると、次の山、天下石のスッキリとした姿が見える。ここの下りは滑り台のようで引っ掛かりがない。 


今日最後の草原。木の影が緑に落ちている景色が印象的。


天下石の山頂。文字通り大石が鎮座している。

 

今日の終点、米背負峠は森の中。



山梨県に住んでいながら、こんなにも魅力溢れる山が身近にあるだなんて知らなかった。改めて標高の高さだけが山の良さではないと知らされる。
「山高きが故に貴からず。」
この地域は木々もだが、特に野鳥の種類が多いこと、多いこと。

次に目指すのはこの先にある、滝子山。焦らず慌てずまた、気ままに来るとしよう。

(終わり) 

北岳は今日も雨だった、その2。

2017-07-14 15:07:01 | 登山
夜、9時。テントから覗くと、満天の星。北岳のシルエットも見える。
そして雲ひとつない晴れは明け方も確認できた。
なのに、日ノ出の時になると、北岳は厚いガスに包まれた。
こんな事ってあるんだ。これぞ山の天気。
 
気を取り直して、草すべりを目指す。


可憐な花々の中を登っていき、振り返れば鳳凰三山が。そして御池が小さく見える。まだ先は長く、そして険しい。



花畑が終わり、森林帯へ入る。
急登が一段階し、ほっとするが、頭上の枝に頭をぶつけないように気を付けないと。



ダケカンバの向こうには北岳が見えるはずなのに、ガスに包まれたまま。この先の天気も気になる。



ダケカンバ帯を抜けるとお花畑が広がる。
一時期、この光景が見られないこともあり寂しく思ったが、またこのように復活して本当に嬉しく感じる。



小太郎尾根分岐に出ると、ガスがかかって前がよく見通せない。



ぼんやりとした視界にハクサンイチゲ、ミヤマダイコンソウの花畑が見える。


両俣小屋分岐を過ぎた先にキバナシャクナゲが咲いている。
よくもまあ苛酷な環境に耐え、と感慨深い。



小雨まじりのガスの中、山頂がうっすらと見えてきた。
あともう少し。


北岳山頂。
標識以外何も見えない。まっ、梅雨の時期はこれが当たり前。
何よりもここにまた来れた事に感謝。



山頂三角点。



今回もこうして北岳への山旅が終わった。
櫛形山から見た時、遠い願いに思えたことが叶えられた。
次にまた北岳に来ること、これが今の願い。簡単な事かもしれないが、明日何が起きるかわからない、そしてそのせいでもう来れなくなるかもしれない。
だからこそ、自分にとっての北岳はひとつの指針であり、願いでもある。

(終わり)

北岳は今日も雨だった、その1。

2017-07-10 22:29:14 | 登山
「10時のバスが間もなく来ますよ。」
芦安の駐車場にクルマを停めたとたん、駐車場係のオジサンに声をかけられ、慌ててバス停へ。
乗り込んでから手袋を忘れたことに気づいた。今回の山旅もこんなでスタートした。
乗ったバスはちょっとした段差でも車体がガシャーンと鳴り、エンジン音はフガフガと響く年代物。でも、10 年以上昔にタイムスリップしたみたいで、なんだか楽しくなってくる。
北岳はかれこれ20年以上前から、もう20回以上登っている山。果たして今回はどんな山旅になるやら。

フガフガバスは広河原に到着。
つり橋を渡った対岸は、広葉樹の森が広がり、ハルゼミの鳴き声を聴きながら歩く。
この森、栂の大木も立派だが、他所では中々見られない岳樺の大木もあり、森の豊かさを感じさせる。



大樺沢との分岐を過ぎると、急登が始まる。ハルゼミ、野鳥の囀り、沢の流れの音、と涼しさを演出してくれるものは揃っているのに、汗がまとわりつくように止まらない。



第二ベンチを過ぎた先が今日一番のキツい登り。見上げれば、崖かと思うくらい。



この辺りから、木々の間から八本歯の尾根が見え、やがてまだらかな道になり、ほっとする。



「小屋まで20分」の案内。
登っている時は大変だったけど、もう少し場面の違う森を歩きたい、と物足りなく感じる。



途中、崩れた箇所をトラバースする。
展望が開けるからそちらに気をとられるが、足元にはくれぐれもご用心。



やがて水音が響き、沢を渡る。
冷たい水は喉の渇きだけでなく、疲れた気持ちを癒してくれるんだ、と山に来る度に気付かされる。



先程までなかった、シダの森に変わってきた。
しっとりとした森の中は気持ちが落ち着く。



この石畳の先、森を抜けると白根御池小屋。
今日は湖畔にてテント泊。



ここから北岳が見えるはずだが、待てどガスは晴れなかった。
明日の天気に期待して、とりあえずテントの中で寛ぐ。
山での一番の幸せはテントの中でのんびりすることかも。

(続く)


時計を忘れて櫛形山へ、7月。(その2)

2017-07-04 16:23:02 | 山日記
トントンとリズミカルな雨音で目が覚める。そうかここは避難小屋か、と気づくまで時間がかかるくらいぐすっすり眠れた。

天気予報は雨だったが、やっぱり当たったか、そう思うと、朝のスタートがゆっくりになる。

雨具を着て完全防備で外に出ると、サルオガセを纏った大木が待っていた。



草橘が白く可憐な花をつけている。
昨日通りすぎた標高1800m地点でも群落を作っていたっけ。



歩き出しの登りはキツい。
やがて回りの景色は鬱蒼とした森に変わっていく。



櫛形山からの登山道に入るとサルオガセなびく森となり、原始の森のイメージさながらの光景。



裸山付近の草原。
ここはネットによる植生保護のおかげで、復活しつつあるとのこと。
シーズンにはまだ早いかと思っていたが、ちらほら咲き出していた。



裸山山頂からの眺望。
あいにく白峰三山は厚い雲の中。

 

この後はアヤメ平へ向かう。
先月より背丈の伸びたシダが覆う森を通り抜ける。



サルオガセが風になびく。
と、頭上からツツドリの鳴き声が響く。今日は天気が冴えないので、鳥たちの囀りもあまり聴かれない。



アヤメ平に到着。
こちらの方が草原は広いが、今日はアヤメ一輪のみ。キンポウケの黄色い群落が目立つ。



ゲートを出ると芝のような背の低い草原になる。この景色が櫛形山の景色だとすると、鹿の食害のおかげで観られるのだろうか。そう考えると複雑な思いにかられる。



北尾根の急坂を経て、林道へ。
風のない、蒸し暑さの中、満足感を覚えてながら次の山歩きへ思いをはせる。さぁ次はどこへ行こうか、そう思いながらまた櫛形山へ来るかも、なんてひとり笑っている。

(終わり)

時計を忘れて櫛形山へ、7月。(その1)

2017-07-04 15:32:59 | 山日記
登山口で腕時計を忘れたのに気づいた。登山口を間違えて城山林道をあるいた。と、今回はスタートからつまずいてばかり。

城山林道で咲いていた、ウツギ。



中尾根登山道はヒノキの森から始まる。
ハルゼミの声が容赦なく鼓膜に響く。



ヒノキの森を抜け、植生が変わってきたが、鬱蒼とした森は風が抜けず蒸し暑い。



ブナなどの広葉樹が混じるようになると、木漏れ日が入り、明るくなった。



ようやく中間点の林道に出る。
ここまでが長く感じられ、ほっとするのと同時に、まだ先は長いと覚悟する。



予想よりなだらかな登りのおかげてゆっくりながらペースがつかめ、回りの木々を見ながら歩いて行く。



この辺りからモンスターツリーが現れる。
これぞ櫛形山、と勝手に思う。



ここにもモンスターツリー。



薄暗い森を登り、急に草原が開けると本日の終点、ほこら小屋が近い。



当初はテントを張るつもりだったが、小屋がきれいだったので、小屋泊まりに変更。近くの水場の湧き水は冷たくて美味しいしで、言うことなし。

今日はスタートでつまずくし、手袋は片方落とすし、ジェットボイルの底蓋は焦がすしで、失敗続きだったけど、なんだかんだでいい山歩きの一日だった。

(続く)