心の山を歩いていこう!

単に山頂を目指すより、山歩きそのものを楽しみたい。
そんな思いを備忘録として綴ります。

浅草岳、桜曽根へ。

2018-06-30 21:00:00 | 山日記
浅草岳登山三日目。
今日は新潟魚沼側からのメインの登山道へ。
宿から近い、ムジナ沢登山口から桜曽根、そしてブナ曽根に下るルートを歩く。


ネズモチ平登山口がメインになっているせいかムジナ沢の登山ルートは荒れつつある。



杉林を抜けると、せせらぎの音が響く憩いの森となる。森歩きの好きな方にお薦めの場所。


下りに差し掛かり、林道を横切ってぬかるみを歩いて行くと雨粒が落ちてきた。



ヤヂマナ沢を渡る。今日の水分を補給する。



濡れた落ち葉が積もる急坂は踏ん張りが効かない。多分帰りの下りは滑るだろうな、と思っていたら、予感は的中した。


見晴らしの良い尾根に出る。
ここから山頂方面が見える。



なだらかな尾根道を登って行く。この辺りで一度雨が上がる。



桜ゾネ広場に出る。
レインウェアを脱ぐと、汗と雨とでシャツはすっかり濡れ、肌寒い。



よく歩かれた、なだらかな尾根道となる。先程までとは全然違う。



左側がガレた登山道からはブナ曽根のラインが見える。



段々と勾配がキツくなり、足下の岩だけでなく、森の中もジメジメしている。



森が途切れ見上げれば、嘉平与ボッチそして浅草岳山頂が屹立している。



一つピークを越え、前岳方面を目指す。この辺りはようやく雪田が消えたばかり。



右側に視線をやると、昨日登った鬼ヶ面山からの稜線がしっかりと見える。



前岳からの分岐を過ぎた辺りでシラネアオイが咲いている。
曇りのせいで花が閉じているのが残念。



雪渓の先に山頂が見える。天気がはっきりしない中、周りの山々が見える。



山頂手前の草原はワタスゲが咲いている。高原らしい風景。



山頂からの光景。
只見方面は柔らかい日射しが包み込み、まるで天地黎明の様。



帰りは強い風が驟雨を連れて来て、レインウェアを着ていても雨、汗でクタクタになった。


初日はガスの中、二日目は蒸し暑い晴れ、三日目は曇り後雨とそれぞれの天気の下、様々な登山ルートを歩き、深い満足感に浸れ、浅草岳は記憶に深く留める事になった。
 
しかしながらこれで浅草岳を知り尽くした訳ではなく、新たな魅力を求めて、次は秋紅葉の頃に訪れたい。今から再訪の日が待ち遠しい。


(終わり)

鬼ヶ面山から浅草岳へ、その2。

2018-06-29 21:00:00 | 山日記
鬼ヶ面山の山頂から連なるピークの先の浅草岳は途方もなく遠く思える。まだ緊張感は解けない。



登山道の右側はそそり立つ絶壁。標高1,500m以下の山とは思えないスリルを感じる。



青空の下、見渡せるからこそ登山を楽しめる。今日は絶好の登山日和。



目の前のピークを越えて鬼ヶ面山·北峰がそびえる。ここにきて急坂の登りが堪える。



分岐から北岳山頂まですぐで、せっかくだから寄り道をしていくことにする。



山頂には標柱も何も無い。この素朴さが新鮮に感じる。



分岐に戻ると今度は急坂を下る。
その先は尖って見える小ピークが重なる。



北岳方面を振り返る。こうして見るとたおやかな山で、あの登り下りの大変さが嘘の様に思える。



木々の背が高くなり、前方の視界が遮られ、登ることだけに集中していく。



登り切ると狢沢カッチに到着。浅草岳との標高差は約100m。だが随分と山頂は高く感じる。



目の前の絶壁をぐるりと回り込んでの登りとなる。



この辺りの登山道はヒメサユリとニッコウキスゲの競演。束の間の息抜き。



前岳がいよいよ近づいてきた。登山道は低灌木に覆われている。



緑一色の中でドウダンツツジの赤の色が冴える。



前岳を越えると、桜曽根からの道と合流する。そして山頂は手の届くところまで来た。



雪渓が道を塞いている。
照り返しがキツい日中でも表面はカチカチに凍っている。



低灌木の林の中へ木道が延びている。



山頂から鬼ヶ面山の絶壁を眺める。
標高2,000mに充たない山なのに随分と歩き応えのあるルートだった。
 


この登山ルートは花の時季がお薦めだが、秋の盛りに澄み切った空気を胸に吸い込んで歩き通すのもいいかな、と想像する。
きっと秋に誘われて再訪することだろう。

(終わり)

鬼ヶ面山から浅草岳へ、その1。

2018-06-28 21:00:00 | 山日記
浅草岳登山二日目は鬼ヶ面山から中先尾根へ下るルートへ。
このルートの、魅力はなんと言っても鬼ヶ面山の眺望にあると思う。

古い(と言っても15年前だが)地形図には田子倉只見沢登山口は駅前となっていたが、現在は駅が消えている。新しい地図を買って良かった。
こちらの登山口にクルマを停めて、六十里登山口まで252号線を歩く。


六十里登山口の駐車場は平日なのにほぼ満車状態。天気がいいからか、はたまた人気のルートだからなのか。 



初っ端から急坂に喘いで登って行く。



旧道の六十里越街道と合流。なだらかな山道はいにしえの遺産。



旧道と別れブナの林を登って行く。朝の光が木々の緑を燦かせる。



ブナ林の先は見通しの良い草原に出る。ここから見える浅草岳は遠い彼方。



この先灌木のトンネルを抜けて行く。木陰の涼しさが心地良い。



タニウツギがちょうど花盛り。ほんわかと薫るのはこの花だろうか。



右側が開けた、緩やかな斜面を登る。日向に出ると陽射しがキツくなってきた。



振り返れば田子倉湖が見える。こうして見ると山また山の世界。



灌木が途切れると、ひょいと南岳が視界に飛び込んできた。



ひと登りで南岳に至る。余りに呆気ないが、この先は長い。



そしてこの先はヤセ尾根が続く。今までの登山道とは激変となる。



ヤセ尾根の環境に似つかわしくなく、ヒメサユリが咲き乱れている。



細い登山道は右側が切り立っている。かつ所々足元がフカフカしていて何年後か崩れていくのかと思わせる。



切り立った崖を見下ろすと、谷底まで見える。恐怖に慄き、思わず目を反らしてしまう。



目指す先はアップダウンが繰り返す。どこまで続いていくのだろうか。



視界には登りのみ。照りつける陽射しを背に登って行く。



登った先は鬼ヶ面山山頂。だが、ピークはここだけではない。まだ先は遥かに続く。


(続く)

浅草岳の宿泊、「やまかのうや」。

2018-06-27 21:00:00 | 山の宿
今回の浅草岳への山旅。
浅草岳自体は日帰り登山が充分
可能な山だが、なにせ長距離遠征の山に加えて、いくつもの登山ルートをまとめて踏破してしまおうと考えた今回の山旅。

登山口でのテント泊も考えたが、登山口の状況がよく分からないので、登山口に近いところに宿泊しよう、と選んだのは民宿「やまかのうや」。

只見という所に行くのはもちろん初めて。というより、福島県の地を踏むのは人生初という事にはたと気付く。

こちらの宿を選んだ理由はというと、登山口に近いのが第一。
そしてどぶろくを作っているというのが第二の理由。普段お酒は全然飲まないけれど、色々な民宿がある中でどぶろくを作っている宿なんて聞いた事がないから興味津々。
果たしてどんな宿なのだろうか。


約6時間のロングドライブを経てこちらの宿に到着。
静かな集落に佇む建物。



玄関をくぐるとまるで遠い親戚の家に来たかの様な親近感を覚える。



窓からの眺めは初めての景色なのに何処か記憶の片隅にあったようだけどと思える。
流れる地域放送も、水の流れの音も心地良いBGM。



部屋はシンプル。窓から入る風が気持ち良い。



「お風呂入れますよ。」と言われ、一番風呂に入らせてもらう。一人サイズのお風呂なので気兼ねなくノンビリと湯船につかれる。
窓からは裏山の景色が見える。



食事の広間。飾らない、どっしりとした造り。人様の家とは思えずすっかりと寛いでしまった。



一泊目の夕餉。山の幸の恵みを味わえる。派手さは無いものの、山菜、きのこの山の幸が美味しく、この宿を選んで良かったとしみじみ感じながら、箸を運ぶ。



二泊目の夕食。どの品ももちろん美味しいが、特にお薦めなのは鹿肉の肉ジャガ。鹿肉はクセがなく、ゴボウが入っていて、ゴボウがいい味を出している。家庭料理なのに新鮮な驚きだった。



そして、ドブロク。酒の良し悪しは分からないが、甘めで口当たりがよく、飲み終えた後余韻が残る。暑い季節にピッタリかも。



三日目の朝、行き違いからかおにぎり弁当が用意されてなかったが、昨晩お腹いっぱい食べたせいでお腹が空いてなかったし、宿の方を起こすのも忍びないのでそのまま出発すると、わざわざ届けてくれ、登山口まで送ってくれた。
客商売の対応というより、家族の応対のような気遣いにジーンときた。
こういう宿は愛着が湧き、記憶に深く残る。
故郷に帰るようにまたいつか泊まりに行くことだろう。いや、またいつかと言わず、秋ブナの色付く頃に是非再訪したい。

(終わり)

浅草岳、ブナ平新道へ。

2018-06-25 21:00:00 | 山日記
浅草岳に行きたくなったのは何故だろうか。

北や南アルプスに飽きた訳ではない。とある文筆家のようにあちこちの山に行きたいというつもりもない。
今感じるのは、日本海側の山、特にブナの生い茂る山に魅了されているという事。自分の身近にある山とは違う景色に強く惹かれる。

浅草岳には五つの登山ルートがあるが、自分が住んでいる所から浅草岳へのアプローチは決して近くない。この際一気にまとめて登ってしまおうと考え、まず初日は福島県只見側のブナ平新道へ。


朝五時に登山口を出発。
昨日下見に来た時にはクルマと人とで賑わっていたが、平日の今日は静かそのもの。



歴史ある古道を利用した登山道との事。いにしえの方々はどんな思いでここを歩いてきたのだろうと想いをはせる。



周りは鬱そうとした森。古木はしっかりと苔生し風格を感じさせる。



草原に出る。上空は灰色一色。



山神ノ杉。ここにだけ杉があるのは昔の人が植えた名残りだろうか。
沼ノ平の分岐があるが、道が崩れていて行けないらしい。何とも残念。



登って行くと、あちこちにブナの木が混じってきた。この先のブナの森を見られるのがとても楽しみ。



平石山の辺りからなだらかな道になる。
ガスが森に入って来た。柔らかい光に包まれ、幻想感に満ちる。



沼ノ平分岐点あたり。この先から尾根が狭くなる。一迅の風が周りの音をかき消す。



すだれ岩に差し掛かると、左側の眺望が得られる。上空の雲は厚いが遠くの山々がうっすらと見渡せる。



この先の尾根も雲の中。晴れていれば山頂付近が見えるのかもしれないが、今日はすっぽりと雲の中。



次第に木々の背が低くなってくる。ガスも段々と濃くなってきた。



雪渓のトラバースになる。ガスが立ち込めているので、行き先に迷う。



雪渓を渡り、藪道となる。藪の下にはシラネアオイの他山野草が花を付けている。



藪の先は草原が広がる。木道がガスに吸い込まれていく。



幻想的な草原の風景。スッキリと晴れ渡る日は今日の景色とは違う魅力が味わえるのだろう。



天狗ノ庭。雨には降られないものの、雲はとれずじまい。



期待していたヒメサユリがあちこちで咲いている。可憐なピンク色が漂う白さに滲んで見える。



気が付けば山頂。
周りの景色は全く見られないものの、明日以降のお楽しみとしよう。



今回は初夏のブナの森を楽しめたが、秋の盛りの森はきっと色彩に溢れた光景だろうと想像できる。また違った魅力を堪能しに、きっといつか訪れたい。

(終わり)