心の山を歩いていこう!

単に山頂を目指すより、山歩きそのものを楽しみたい。
そんな思いを備忘録として綴ります。

晴れはどこへやら、焼岳。

2017-08-23 14:30:54 | 登山
長かった冷夏、長雨がようやく終わり、今週から本来の夏が戻る予報。
それなら焼岳へ、と気持ちが向かう。

焼岳へは晩秋に中尾からのピストンと梅雨の晴れ間に中の湯からのピストンで登ったことがある。
今回は中の湯をベースに上高地から登り、中の湯へ降りる周回コースを選んだ。

午前3時45分出発。暗闇の空は雲の切れ間はあってもどんよりとしている。風も生ぬるく雨の予感がするが、降っていないだけマシと考えよう。

上高地側の登山口に5時17分到着。
上空は相変わらず厚い雲に覆われているが、東の空は雲が切れ明るい。



鬱蒼とした森を歩く。この辺りは上高地の中でも大木が目立つ。



しばらく歩くと、白樺、ダケカンバが多く見られるようになる。
晴れていればもっと見所となるのに。



笹だけでなく、苔も厚くむしている。
岩にへばり着くように生きながらえる木。自然の逞しさを感じ入る。



ここまでは暗い森の中を登ってきたが、急に明るく開け、切り立った崖下の登山道に替わる。



ここで見晴らしが良くなったが、厚い雲が垂れ込め、山の上部は見えない。



この先はほぼ垂直に掛けられたハシゴを登る。よくもまぁここを登山道にしたな、と感心する。


振り返れば、雲間から上高地に日が射し込んでいる。


ハシゴ場を過ぎ、中尾峠直下の草原は風の吹き下ろしが凄い。



天気が良ければ展望台から焼岳が正面に見えるが、今日は姿も形も全く見えない。



中尾峠に到着するが、この大岩がなかったら方向すら見失いかねないほどの深い霧。



今日は目指す山頂が見えないのでマーキングだけが頼り。硫黄臭が急に強くなり見上げるとガスが吹き出した場所が変色している。触るとほんのり温かい。



中ノ湯との分岐まで上がってきた。ガスが濃く、ペイントがなかったら山頂方面が分からず迷うところ。



硫黄ガスが吹き出している場所。今日は硫黄ガスか雲か分からない。



呆気なく山頂へ。
今日は雲間の360度。穂高はおろか南峰も見えない。



9時45 分駐車場に到着と同時に雨粒が降ってきた。
雨に祟られず終えられ、見晴らしはきかなかったがこのルートを歩けたことに満足。
晴れの展望は次回のお楽しみにに取っておこう。

(終わり)

西尾根からの雨飾山。

2017-08-05 17:18:58 | 登山
雨飾山。
メインの大海川ルートは多くの登山者で賑わっているが、ほとんど歩かれていないマイナールートの西尾根。
大海川ルートだけでは物足りなく、西尾根が前々から気になっていたが、何となく行きそびれていた。そんな重い腰を上げて今回チャレンジしてきた。


湯峠からの雨飾山。
どっしりと構えた姿からとても標高2,000m未満の山には見えない。切り立った部分は布団菱のような崖なのだろうか。



湯峠から林道を下っていくと、ハエの大群に付きまとわれて辟易し速足になる。お陰で1時間弱で登山口に到着。



森を抜けると、切り立った崖下の草原に出る。
ススキが身の丈ぐらいに生い茂り、藪こぎして道を分けていく。



沢沿いの登山道。
マーキングがなく、道らしき踏みあとを探しながら進む。


このコース唯一のハシゴ場。
湧き水流れるザクザクの足場のせいで、踏ん張りが効かない。



山肌に付けられた道はすっかり草が覆っていたが、踏みあとを辿っていく。
やがて、木々の向こうに目指す山頂が見える。
まだあんなにもはるか彼方。



ブナの森。
不思議と野鳥の囀りが聞こえず、自分の荒い息づかいと足音のみが耳に届く。



やっとこの先から稜線歩きになる。
稜線とは言っても、回りの木々の丈が低くなっただけで眺望は得られない。



木々の向こうに目指す山頂が見える。
残りの標高差がそんなにないようなのでもうひと頑張りと、自分を励ます。



左手に見える海谷山塊。
なんという荒々しい山並。
もし、10年前に見ていたら多分チャレンジしようと思うが、今の自分には無理だろうな。



草原の彼方に山頂が覗いている。(左側の尖った部分)
ガスが掛かったり晴れたりを繰り返しているが、上々の天気でしょう。



花畑が辺り一面に広がっている。
登山道らしき所も覆われているので、花を散らして歩かざるを得ない。
許せ、花たち。


やがて、岩が出てきて歩きやすくなった。山頂へはまだここを越えなければならない。


草原の稜線は足場が狭く、草花も濡れていて滑りやすく危なっかしい。



山頂に到着。
ここまで誰にも出会わない静かな山歩きだった。



西尾根はあまり歩かれてないため、ワイルドでタフなルートだった。
万人向けとは言わないが、雨飾山が好きな方には一度はチャレンジしてみては、と思う。ただし、エスケープルートがないので、天候の様子を頭に入れてもらいたい。
自分にとっては、ひとつ宿題を片付けた気分。お疲れ様でした、と自分に声かけしたい。

 
(終わり)

妙高、夏の楽園を訪ねて。(その4)

2017-08-03 07:12:27 | 山日記
ここから妙高山の登りが始まる。
雪は残っているが、踏み締めながら登っていく。



すぐに樹林帯の登りになる。
北側斜面なので風がなくても涼しいはずだが、レインウェアを着ているので、汗で蒸れている。



鬱蒼とした木々に囲まれているのて、濃い苔が岩についている。
でも、苔の庭が広がっていないのはなぜだろう?



ミヤマシャジンが見事に咲いている。
下から見上げるので、より印象的。



ミヤマアキノキリンソウ。
8月に入ったばかりなのに次の季節がもう待っているように思ってしまう。



木々の間から山頂の岩が見えてきた。



木々が疎らになってきた。
ダケカンバがヒョロヒョロで、ガスの中で見たら少し気味が悪いかも。


ここを登り切ればもう山頂はすぐそこ。



妙高山北峰。
ガスには覆われていないが、南頂は霞んでいる。



日本岩。


 
南峰。今日の目標地点。
ここまで、なんとか天気がもってよかった。



回りの山々はガスの中で展望がきかない。谷間に向かって急な下りが始まる。



もう山頂はあんなにも小さく見える。
またいつのか訪れる日までさようなら。



この後は登山口まで濃い霧の中、急な下りが続き、気持ちが抜けなかった。
終わってみれば、全身汗でビッショリ、足元は泥まみれでくたくたになった。

でも、こういう登山だからこそ一生ものの宝物ように記憶に残る。

(終わり)

妙高、夏の楽園を訪ねて。(その3)

2017-08-02 20:56:26 | 山日記
月の照らす夜が明け、いつの間にか雲の立ち込めた空になっていた。そしてぽつりぽつりと雨音が聞こえてきた。 
今日は妙高山を越えて行かねばならない。天気の崩れる前に越えないと、不安が過る。

今朝の高谷池。
雨でしっとりと濡れた草花たちが艶やかに見える。

 
天狗の庭から火打山を見る。
山頂付近はガスの中。このまま登ろうかと一瞬迷ったが、火打山へは次の機会にしようと思う。



ワタスゲの群落の向こうにはまだ雪が残っている。
雨の天狗の庭も捨てがたいが、晴れの天狗の庭も見てみたいものだ。

  
昨日歩いた登山道を引き返す。
回りの草が濡れそぼっているので、レインウェアを着ていて正解だった。



キヌガサソウ。
こちらが今回見かけた中で一番きれいに咲いていた花。



笹生い茂る登山道。
足元の山野草に目が行く。ヤマブキショウマが揺れている。



頭を上げると、外輪山の向こうに妙高山の頭が覗いている。
ガスはまだ掛かっていない。



黒沢池ヒュッテを過ぎ、大倉乗越へ登って行く。
足元にはマイヅルソウの絨毯。



ここの森のダケカンバは見事なほど大木ばかり。
豊かな森の証拠なのか、と思う。



大倉乗越に到着。
大きくそびえる妙高山は山頂まで見える。


 
長助池が小さく見える。
昨日訪れたことが遠い過去に思える。



樹林の中の急坂を降ると、草原をトラバースしていく。



ミヤマシャジンが咲き誇っている。



こちらはヤマブキショウマ。
今が正に花盛りの時期。



ここまではゆったりとした登山道。
この後は妙高山を越えて行かねばならない。天気の移り変わりも気になる。
さあ、気を引き締めないと。

(続く)

妙高、夏の楽園を訪ねて。(その2 )

2017-08-02 18:30:00 | 山日記
名残惜しいが、またいつの日にか訪れることにし、長助池に別れを告げる。
さあ、高谷池に向けて出発。

渓流に沿った登山道を歩く。
この先、雪崩の影響か、土砂が流れ込んでいた。


サンカヨウの花。
これも雪国の山ならではの花。



妙高山分岐付近にはまだ雪が残っていた。とはいえ、すぐに渡ってしまえる範囲。



大倉乗越まで斜面のトラバース道となる。
この先、崩壊地を渡る。足場が脆いので気を付けないと。



崩壊地を渡ってしまえば、緩やかな登山道となる。
植物の花が見頃で歩いていて飽きない。



樹林帯を直登すれば、大倉乗越はもうすぐそこ。


振り返れば妙高山がデカイ。
それにしても、一目で妙高山とわかる独特の山容。



木々の向こうには火打山が見えるはずなのに、すっぽり雲の中。
風景を気をとられると、足元がおろそかに。べたべたの泥濘に滑らないように注意。



黒沢池ヒュッテまで降りてきても、次は茶臼山への登りが待ち構えている。



急峻な登山道ではないが、笹の登山道で日差しを遮るものがなく、風も吹かず、ひたすら蒸し暑い。



振り向けば、妙高山とその眼下に広々とした黒沢池と湿原が見える。
今日は行かなかったが、次の機会には黒沢池の湿原をゆっくりと眺めてみたい。



樹林に入って暑さがしのげ、ほっとする。  



笹が繁る登山道をゆっくり下る。
上空晴れ間が広がってきたが、回りの山々は雲が掛かり、見えない。



高谷池に到着。
夏に相応しい光景が広がる。
暑さでバテバテ。今日の終着点としよう。 



夕日差す高谷池。
今日はガスが掛かることのない一日だった。



夕陽当たる高谷池ヒュッテ。
夏らしい風景。



テント場でのハクサンコザクラ。
大好きなこの花に出会えて、幸せな気持ちになる。



暑さに参ってしまい、火打山は断念。
明日は妙高山を越えていくので、体調を取り戻すべく、ゆっくり休まないと。

(続く)