らくがき帖

ノンジャンル心象風景

転勤族

2005年10月27日 | 生活
ここ仙台市は、転勤族の町。
と言っても過言ではないと思う。
私たちが住んでいる場所は地下鉄の終点で、
市街まで電車で20分、車だと30~40分というところだけれど、
幼稚園でのヒメのクラス23人のうち15人は転勤族の子だ。
人伝に聞いた話では、
この辺りの小学校では毎学期末、
転入100人、転出80人、という単位で
子供たちの入れ替わりがあり、
体操着などは揃え切るのが難しいので
皆前の学校で使用した
色とりどりの体操服で過ごしているらしい。

こんな土地柄だから、
幼稚園で転入、転出の子が多いのにも
慣れっこになっていたが、
今回のはかなりショックだった。

ヒメが年少のときからのクラスメイト、Kくん。
あと半年で卒園というこの時期になって、
お父さんが埼玉へ転勤になってしまった。
6歳とは言っても、
2年半の間慣れ親しんだ幼稚園や友達への愛着は
並一通りではないのだろう。
転園を嫌がって、この1ヶ月、
必死の抵抗を続けていた。

お母さんの話では、
引越しや転園の話は一切聞こうとしなかったらしい。
幼稚園でお別れ会を開いても、
「お別れ会なんてやってほしくない」
と言って隅の方で下を向いていた。
手首につけたミサンガを見せながら、
「このミサンガに願いを込めてる。
引っ越しませんようにって」
と教えてくれたときは言葉を失ってしまった。
こんなにも一生懸命な思いに、どう答えてやればいいのだろう。

お母さんもまた然りだ。
いつもいつも元気で明るい人なのに、
転勤が決まったと教えてくれた日も、
先生にあいさつに来たときも、
お別れ会の日も、そしてきょうも。
最近はずっと大きな目に涙をいっぱい溜めている。
かわいらしくて、かっこよくて、ユーモアがあって。
彼女がいなくなったらこの先、
エアロビもハンドメイドも
どんなに寂しいものに感じられるだろう。

どんな事情があろうと
会社に言われれば転勤しなければならないのは分かる。
子供もまだ小さいから
家族全員でお父さんについていくのも分かる。
新しい出会いをもたらしてくれてるのも分かってる。
でも。
こんな別れに耐えていかなければならないなんて。
無防備に絆を結んだ者にはあまりにも酷だ。

Kくんたちの引越しは明後日。
餞別代わりにお菓子でも持って
見送りに行こうと思う。
そして
きっとまた会おうと約束しなければ。