(添付画像と本記事とは直接は関係しません)
Step by stepの中で、これまでにもかなりの回数にわたって、「マイルドカーブ」
あるいは「側弯状態」と呼ばれる初診時25度以下のカーブの患者さんの約半分は
カーブが進行しません。ということを記述してきました。
今回もその事実を示す調査結果を1点ご紹介します。本研究の本来の目的は思春期
特発性側弯症における遺伝子研究なのですが、その中で調査対象とした患者さんの
治療/非治療の人数からも、初診時25度以下の側弯状態と診断された患者さんの
およそ半分以上は装具療法に移行していなかった.......つまり、装具治療を必要
とする25度以上にならなかった。ということが読み取れますので、その点に焦点を
絞ってお話したいと思います。研究概要は下記に転記しましたが、概要からは読み
きれない部分は私august03が補う形でご説明させていただきます。
この研究は思春期特発性側弯症患者さんの遺伝子型になんらかの特徴があるかを
調べる目的で、患者さんを採用しています。そのためには、思春期特発性側弯症の
診断定義に該当する患者さんを選択する必要があるわけです。
つまり、端的にいえば25度以上(当然装具治療対象)の患者さんということです。
そこで、この25度以上に進行した患者さんを得るためには、初診時に25度以下の
「側弯状態」と診断された患者さんをまずベースメントとして得ることになります。
この研究では、診断患者数304人と記載されています。もちろんこの時点で25度以上で
あった患者さんも含まれていると思いますが、その両者を合わせて304人と読む事
ができます。この304人に対して、装具療法実施が109人です。また手術実施数が
42人です。仮に装具患者さんと手術患者さんは別グループとした場合は
診断患者数 304人 に対して
装具療法 109人 (この中に手術患者さんが含まれている可能性もあり)
手術 42人
つまり、304-(109+42)=153人 ほぼ半数は、治療を必要としない非進行性の側弯
であった。ということになります。
かつ、装具療法109人のなかには装具療法が奏功せず手術となった患者さんも
含まれている事が想定されますので、おそらくは非進行性の患者さんの割合は、
50%以上になると推測することができます。
米国側弯症財団のホームページ内のQ&Aでは、20度以下と診断されたこどもの95%
は治療の必要がないもの。しばらく経過観察でその判断がくだされる。という
説明がなされています。
「特発性側弯症 マイルドカーブについてのQ&A」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/555dca1476ce045bfc81a03cab3acf93
これ以外にも、日本国内での治療成績発表、海外文献等で、経過観察となったたいはんの
患者さんはカーブが進行することなく、経過観察を終了する。ということが述べ
られています。
鈴木信正先生は、「15歳未満の場合、25度以下の側弯の7割のこどもは進行性ではない」
という趣旨のことを20年以上前から説明されています。
調査研究には、実施上で様々な制約があったり困難を伴うために、どうしても
研究おのおので示される「数値」には「差」が生じます。しかし、データというものは、
ひとつのデータでは信頼性が得られませんし、ふたつでもみっつでも信頼性は低い
と言わざるえませんが、それがどんどんと集まり、しかも別の先生の研究、別の国
の研究がいくつも集まりだしたとき、そして、それらが「ひとつの方向性」を示し
だしたとき、そこから私たちは、この病気のトレンド(傾向)を医学的事実として
引き出すことができるわけです。
つまり、マイルドカーブの側弯状態と診断された患者さんは「経過観察」が正しい
選択であり、その経過中に進行なしとなる確率は、50%~95%のあいだに収まるということです。
また、25度以上で装具治療となった場合も、その約半分の患者さんは進行性ではなく
(あるいは急激な進行性ではないと言うべきかもしれませんが) 装具をする必要も
なかったかもしれない。ということが複数の調査研究から引き出されています。
もちろん、装具をすることで進行を抑えられた患者さんの比率が70%~80%になります
ので、進行性の場合も、装具をすることで約20~30%の患者さんには装具の効果が
発揮できる。ということがいえるわけです。
いちかばちかで、装具をしないことに賭ける。というわけにはいきませんから、
25度を超えた場合、先生はみなさんに装具治療を勧めることになるわけです。
このような事実に対して、側わん整体は医者は何もしないけど、じっとしている
よりも測ワン体操が効果がある。という宣伝をするわけですが、そのようなものは
何の意味もありません。測わんヨガも同様です。体操をしたり、側ワンヨガをする
から「カーブ」が緩むとか、進行しないのではなく、もともと何もしなくても、
非進行性だから進行しないのです。もともと非進行性だから、カーブが緩むことも
あるのです。
彼らの偽装のさいたることは、彼らの宣伝が....たとえばそれが「奇跡の部類」で
あっても本当に「治る」ならば私はその奇跡を喜びこそすれ、否定はしませんが、
それが奇跡ではなく、偽装であるがゆえに、彼らの施術では患者さん全員が治る
わけではない。という事実を皆さんはよく考えてみる必要があります。
全員が治るならば、この世から側弯症患者さんはすべていなくなります。もしその
奇跡が本当に奇跡ならば、私august03は率先して、側わん整体やわんヨガを推奨
するでしょう。しかし、それは奇跡ではなく、単なるビジネスとして患者さんを
食い物にしているがゆえに、その偽装に対して警告を流し続けるのです。
みなさんには、賢い患者さん、賢いお母さんになってほしいと願うものです。
遺伝子多型解析を用いた特発性側弯症病態解明に関する研究
(千葉大学 南医師/山田医師)
研究概要
画像解析により特発性側弯症と診断された、304例を対象とし、側弯度(Cobb角)は
平均24.6度、経過観察中の最大側弯度は平均31.3度であった。治療は109例に装具
治療、42例に手術治療が行われた。遺伝子多型解析の結果、ER遺伝子では、初診時
角度、身長、初経時期、arm span、補正身長とは、因果関係を認めなかったが、
2次成長終了時期については、成長終了時期を16才以上の群と16才未満の群に分け
ると、ER遺伝子Xba I多型で有意差を認め、xx型はXX、Xx型よりも2次成長終了時期
が早い傾向にあった。ER遺伝子に関してはpvu II多型では有意差はみられなかった
が、Xba I多型では、xx型の側弯症女児はXX、Xx型の側弯症女児より側弯度が小さ
かった。さらに装具治療を受けた側弯症女児を除きER遺伝子多型と側弯度の関連を
調べたところ、同様にxx型の側弯症女児の側弯度は他の多型に比べ小さかった。一
方、側弯度が30度以上、40度以上に進行する危険性を比べても、xx型の側弯症女児
は他の多型を持つ側弯症女児より有意に少なかった。ER遺伝子、VDR遺伝子、CYP17
遺伝子多型における手術治療群と非手術治療群の割合を比べた。同様にVDR遺伝
子、CYP17遺伝子多型では有意差を認めなかったが、ER遺伝子多型では、xx型の
側弯症女児はXX、Xx型の側弯症女児より手術を受けた患者の割合が少なかった。
/////////////////////////////////////////////////////////////////////////
「(追記あり) 装具治療の有効性の証明 比較試験の意味」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/a80df16dfc40acbed11f304aa24736dd
「思春期特発性側弯症の医学的事実が何であるかを知ってください (追記あり)」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/34a0999b8c0c60f36c882fcde0884b20
「そくわん症治療の確率 50%のリスクをとるか80%の可能性にかけるか」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/8d2b14d64b859ecacb4fad21f0d48505
「装具をしなければ50%の確率でカーブは悪化します No.2」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/fee622a7588131f2f77289c25d19fd2f
「装具をしなければ50%の確率でカーブは悪化します」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/46e346ba22417bf3325fdf5e5445b5b4
「特発性側湾症 装具効果 80%」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/723e26c10ae02b6df54aaafa7ee8a0e0
「特発性側弯症 装具療法の効果 No.7」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/87ec7fb889f54789d6211396140b4c91
「特発性側わん症 発見時からの進行の確率とリスク」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/b573de9c4bfe8951d301c99bd5a59524
「装具療法の効果 No.5 (8割の患者で効果 !!)」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/1697632d7dc33fae9084f3b7f4885a50
Step by stepの中で、これまでにもかなりの回数にわたって、「マイルドカーブ」
あるいは「側弯状態」と呼ばれる初診時25度以下のカーブの患者さんの約半分は
カーブが進行しません。ということを記述してきました。
今回もその事実を示す調査結果を1点ご紹介します。本研究の本来の目的は思春期
特発性側弯症における遺伝子研究なのですが、その中で調査対象とした患者さんの
治療/非治療の人数からも、初診時25度以下の側弯状態と診断された患者さんの
およそ半分以上は装具療法に移行していなかった.......つまり、装具治療を必要
とする25度以上にならなかった。ということが読み取れますので、その点に焦点を
絞ってお話したいと思います。研究概要は下記に転記しましたが、概要からは読み
きれない部分は私august03が補う形でご説明させていただきます。
この研究は思春期特発性側弯症患者さんの遺伝子型になんらかの特徴があるかを
調べる目的で、患者さんを採用しています。そのためには、思春期特発性側弯症の
診断定義に該当する患者さんを選択する必要があるわけです。
つまり、端的にいえば25度以上(当然装具治療対象)の患者さんということです。
そこで、この25度以上に進行した患者さんを得るためには、初診時に25度以下の
「側弯状態」と診断された患者さんをまずベースメントとして得ることになります。
この研究では、診断患者数304人と記載されています。もちろんこの時点で25度以上で
あった患者さんも含まれていると思いますが、その両者を合わせて304人と読む事
ができます。この304人に対して、装具療法実施が109人です。また手術実施数が
42人です。仮に装具患者さんと手術患者さんは別グループとした場合は
診断患者数 304人 に対して
装具療法 109人 (この中に手術患者さんが含まれている可能性もあり)
手術 42人
つまり、304-(109+42)=153人 ほぼ半数は、治療を必要としない非進行性の側弯
であった。ということになります。
かつ、装具療法109人のなかには装具療法が奏功せず手術となった患者さんも
含まれている事が想定されますので、おそらくは非進行性の患者さんの割合は、
50%以上になると推測することができます。
米国側弯症財団のホームページ内のQ&Aでは、20度以下と診断されたこどもの95%
は治療の必要がないもの。しばらく経過観察でその判断がくだされる。という
説明がなされています。
「特発性側弯症 マイルドカーブについてのQ&A」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/555dca1476ce045bfc81a03cab3acf93
これ以外にも、日本国内での治療成績発表、海外文献等で、経過観察となったたいはんの
患者さんはカーブが進行することなく、経過観察を終了する。ということが述べ
られています。
鈴木信正先生は、「15歳未満の場合、25度以下の側弯の7割のこどもは進行性ではない」
という趣旨のことを20年以上前から説明されています。
調査研究には、実施上で様々な制約があったり困難を伴うために、どうしても
研究おのおので示される「数値」には「差」が生じます。しかし、データというものは、
ひとつのデータでは信頼性が得られませんし、ふたつでもみっつでも信頼性は低い
と言わざるえませんが、それがどんどんと集まり、しかも別の先生の研究、別の国
の研究がいくつも集まりだしたとき、そして、それらが「ひとつの方向性」を示し
だしたとき、そこから私たちは、この病気のトレンド(傾向)を医学的事実として
引き出すことができるわけです。
つまり、マイルドカーブの側弯状態と診断された患者さんは「経過観察」が正しい
選択であり、その経過中に進行なしとなる確率は、50%~95%のあいだに収まるということです。
また、25度以上で装具治療となった場合も、その約半分の患者さんは進行性ではなく
(あるいは急激な進行性ではないと言うべきかもしれませんが) 装具をする必要も
なかったかもしれない。ということが複数の調査研究から引き出されています。
もちろん、装具をすることで進行を抑えられた患者さんの比率が70%~80%になります
ので、進行性の場合も、装具をすることで約20~30%の患者さんには装具の効果が
発揮できる。ということがいえるわけです。
いちかばちかで、装具をしないことに賭ける。というわけにはいきませんから、
25度を超えた場合、先生はみなさんに装具治療を勧めることになるわけです。
このような事実に対して、側わん整体は医者は何もしないけど、じっとしている
よりも測ワン体操が効果がある。という宣伝をするわけですが、そのようなものは
何の意味もありません。測わんヨガも同様です。体操をしたり、側ワンヨガをする
から「カーブ」が緩むとか、進行しないのではなく、もともと何もしなくても、
非進行性だから進行しないのです。もともと非進行性だから、カーブが緩むことも
あるのです。
彼らの偽装のさいたることは、彼らの宣伝が....たとえばそれが「奇跡の部類」で
あっても本当に「治る」ならば私はその奇跡を喜びこそすれ、否定はしませんが、
それが奇跡ではなく、偽装であるがゆえに、彼らの施術では患者さん全員が治る
わけではない。という事実を皆さんはよく考えてみる必要があります。
全員が治るならば、この世から側弯症患者さんはすべていなくなります。もしその
奇跡が本当に奇跡ならば、私august03は率先して、側わん整体やわんヨガを推奨
するでしょう。しかし、それは奇跡ではなく、単なるビジネスとして患者さんを
食い物にしているがゆえに、その偽装に対して警告を流し続けるのです。
みなさんには、賢い患者さん、賢いお母さんになってほしいと願うものです。
遺伝子多型解析を用いた特発性側弯症病態解明に関する研究
(千葉大学 南医師/山田医師)
研究概要
画像解析により特発性側弯症と診断された、304例を対象とし、側弯度(Cobb角)は
平均24.6度、経過観察中の最大側弯度は平均31.3度であった。治療は109例に装具
治療、42例に手術治療が行われた。遺伝子多型解析の結果、ER遺伝子では、初診時
角度、身長、初経時期、arm span、補正身長とは、因果関係を認めなかったが、
2次成長終了時期については、成長終了時期を16才以上の群と16才未満の群に分け
ると、ER遺伝子Xba I多型で有意差を認め、xx型はXX、Xx型よりも2次成長終了時期
が早い傾向にあった。ER遺伝子に関してはpvu II多型では有意差はみられなかった
が、Xba I多型では、xx型の側弯症女児はXX、Xx型の側弯症女児より側弯度が小さ
かった。さらに装具治療を受けた側弯症女児を除きER遺伝子多型と側弯度の関連を
調べたところ、同様にxx型の側弯症女児の側弯度は他の多型に比べ小さかった。一
方、側弯度が30度以上、40度以上に進行する危険性を比べても、xx型の側弯症女児
は他の多型を持つ側弯症女児より有意に少なかった。ER遺伝子、VDR遺伝子、CYP17
遺伝子多型における手術治療群と非手術治療群の割合を比べた。同様にVDR遺伝
子、CYP17遺伝子多型では有意差を認めなかったが、ER遺伝子多型では、xx型の
側弯症女児はXX、Xx型の側弯症女児より手術を受けた患者の割合が少なかった。
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「(追記あり) 装具治療の有効性の証明 比較試験の意味」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/a80df16dfc40acbed11f304aa24736dd
「思春期特発性側弯症の医学的事実が何であるかを知ってください (追記あり)」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/34a0999b8c0c60f36c882fcde0884b20
「そくわん症治療の確率 50%のリスクをとるか80%の可能性にかけるか」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/8d2b14d64b859ecacb4fad21f0d48505
「装具をしなければ50%の確率でカーブは悪化します No.2」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/fee622a7588131f2f77289c25d19fd2f
「装具をしなければ50%の確率でカーブは悪化します」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/46e346ba22417bf3325fdf5e5445b5b4
「特発性側湾症 装具効果 80%」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/723e26c10ae02b6df54aaafa7ee8a0e0
「特発性側弯症 装具療法の効果 No.7」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/87ec7fb889f54789d6211396140b4c91
「特発性側わん症 発見時からの進行の確率とリスク」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/b573de9c4bfe8951d301c99bd5a59524
「装具療法の効果 No.5 (8割の患者で効果 !!)」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/1697632d7dc33fae9084f3b7f4885a50
久しぶりに訪問させていただきました。
今年もよろしくお願いします。
留学中の娘は、寝る時は引き続き装具は着けているようです。娘は中1で初診時の角度が29度ですぐに
装具治療を始め半分ほどの角度になりました。
進行性ではなかったかもしれませんが、娘の場合は
装具の効果はあったのでよかったと思っています。
2年ほど前に済生会の鈴木先生からアメリカでの研究に協力するように、唾液の検査を受けた事がありました。10年ぐらいで進行性かそうでないかが分かるようになるとの事でした。初診時に自分の型がわかれば
無駄な治療をしなくて済むので早く実現できればいいですね。悪質な整体に騙される事も減るのではないでしょうか。