Scoliosis Research Society (SRS) ..... http://www.srs.org/
http://www.srs.org/patients-and-families/additional-scoliosis-resources/patient-education-videos
久しぶりに SRSのホームページにアクセスしてみました。すっかりリュニーアルされていて、ここでも時間の経過を実感させられました。
内容を全て見ることができたわけではないのですが、最新記事(Latest News)の中の Watch Patient Webinar! というのが目に留まり、視聴してみましたので、その中から幾つかのコメントを記させていただきます。 本日、視聴したのは一番上の「Non Operative Treatment of Scoliosis for Teenagers」-思春期側弯症に対する非手術治療-です。
このStep by Stepを御覧になる皆さんの多くの場合、おそらく検索キーワードは「こども そくわん 思春期側弯症、scoliosisなど」からこのブログにたどり着いておられると思います。上記に示した患者説明ビデオも AIS 思春期側弯症についての説明となっています。1時間ほどで英語のスライド説明ですので、ここに簡単ですが、内容説明も含めて、またこのStep by Stepで記載してきた内容とも関連づけながら、下記に記します。
1. 情報をどこから入手しますか? ビデオで語っておられるドクターの心配は、皆さんはどうやって、どこから側弯症についての正しい知識・情報を得ていますか? ということでした。私自身もそうですが、いまのネット検索ではGoogleを用いれば、瞬時に「情報にアクセス」することができます。その昔ニフティ時代を知っている私としては、まさに現代はその頃とは隔世の感があります。知りたいと思ったら、瞬時に「その知りたい」情報にアクセスできる、というのは本当に便利な世の中です。そして、この便利さは今後もさらに進歩を続けていくと思います。
ただし、アクセスできる、ということと、それが「正しい」ということは「イコール」ではありません。 昨今のトランプ大統領ですっかり有名になったフェイクニュースと同じことが、つねに発生しています。怖いのは「人は自分の信じたいことを信じる」という習性です。「自分に都合の良いことを信じる」と言い直しても良いかと思います。 このStep by stepの中でも何度も何度も書いてきたことですが、インターネットの世界は、魑魅魍魎の世界ともいえる現実があることをここであらためて皆さんにご注意申し上げたいと思います。 さすがに、いまでは「整体で側弯症が治る」と広告を打っている業者もいないと思いますが、それでもあいかわらず類似のことを掲載して、患者さんを集めている輩はいまだにいることでしょう。何年ぶりかで SRSのホームページを見て、そこでこれまでと同じ懸念を表明されているドクターの言葉を聞いて、何年たっても、このリスクは変わらないのだなあと、再認識しました。
2. 側弯症の進行する確率は 50%
最新の調査文献からのデータが示されていたのですが、その中に「非手術治療:観察のみで進行しなかった割合は48%」というようなことが述べられていました。
データはあくまでもデータですから、これが「100%の事実」であるとは言えません。でも、目安にはなります。医者から側弯症ですと診断された場合も、それが
100%の確率で「カーブが進行して、手術が必要になる」わけではありません。 何の治療もしない「観察」のみで患者さんの経過を調査してところ、約半分の
患者さんではカーブの進行は見られなかった、と報告されているのです。 私august03が某有名整体をなぜ批判するのか、それは、あたかも整体で側弯を治したと喧伝する、そのやり方にあります。 このStep by Stepの記事の中でも記載したことがありますが、もし私august03が整体ビジネスを始めたとしても、やはり半分の患者さんは治すことができるのです。そして、その残り半分の進行してしまった患者さんの声を封殺してなかったことにしてしまえば、私august03は、100%側弯を治すことができました、と喧伝することができます。そのようなマヤカシにですら、すがってしまいたいのが、患者さんの親御さんの気持ちであり、そのことにつけ込むビジネスがどうにもいたたまれません。
3. 一日13時間以上ブレースを装着していた場合の効果(進行することを制御)は、75%
20~40度のカーブの場合、装具療法が推奨されるわけですが、その場合、装具の効果は75%の患者さんで進行のスピードを抑制できた。とのこと。
仮に、30度で発見され装具治療を開始し、生理も終わり、成長も終わり、装具治療が完了しましたよと医師から報告された場合、カーブはゼロに戻っているわけではありませんが、手術不要の30度のままを維持できる確率が 75%ということになります。
4. アイオワ大学での側弯症患者50年以上のフォローアップより
・側弯症だからといって、生活全般においては健常者と変わりはない
・側弯症のカーブ進行が大きくなければ(例えば80度以上とか)、ライフスパンにおける寿命は健常者と変わりない
.....現在は、50度を超える状況になると手術を勧められていると思います。つまり、手術によってカーブが減少すれば、肺機能とかへの影響も減少し、ゆえに死亡率(あるいは平均寿命)には健常者との差がみられない。ということになると思います。
・側弯症患者の場合、メンタルケアが重要 ....自分の病気/容姿に対するコンプレックスの緩和ケアが、生活の質に大きく影響する
.....1時間ほどのビデオなのですが、ここ2年、3年ほどStep by Stepから離れていたために、最近の医学情報に疎く、情報の遅れをすごく心配していたのですが、どうやら、それほど私の知識・情報も時代遅れにはなっていなかったようです。 (これは良いかどうか一概には言えないのですが) そして、思春期側弯症の治療の基本原則には変わりはない、ということを確認できて、このStep by stepの中の記事の修正も不要と知り、その意味では安心しているところです。
このStep by Stepを始めてそろそろ10年ほどの年月がたつのですが、まったく更新していない時期が2年も3年も続いているにも関わらず、アクセスされる方は、毎日コンスタントにおられます。 情報を求める方がいる限り、なんとか力を振り絞って継続していければと老骨にムチ打つ覚悟です。
august03
☞august03は、メディカルドクターではありません。治療、治療方針等に関しまして、必ず主治医の先生とご相談してください。
医学文献の拙訳を提示しておりますが、詳細においてはミスが存在することも否定できません。もしこれらの内容で気になったことを主治医の先生に話された場合、先生からミスを指摘される可能性があることを前提として、先生とお話しされてください。
☞原因が特定できていない病気の場合、その治療法を巡っては「まったく矛盾」するような医学データや「相反する意見」が存在します。また病気は患者さん個々人の経験として、奇跡に近い事柄が起こりえることも事実として存在します。このブログの目指したいことは、奇跡を述べることではなく、一般的傾向がどこにあるか、ということを探しています。
☞原因不明の思春期特発性側弯症、「子どもの病気」に民間療法者が関与することは「危険」、治療はチームで対応する医療機関で実施されるべき。整体は自分で状況判断できる大人をビジネス対象とすることで良いのではありませんか?
http://www.srs.org/patients-and-families/additional-scoliosis-resources/patient-education-videos
久しぶりに SRSのホームページにアクセスしてみました。すっかりリュニーアルされていて、ここでも時間の経過を実感させられました。
内容を全て見ることができたわけではないのですが、最新記事(Latest News)の中の Watch Patient Webinar! というのが目に留まり、視聴してみましたので、その中から幾つかのコメントを記させていただきます。 本日、視聴したのは一番上の「Non Operative Treatment of Scoliosis for Teenagers」-思春期側弯症に対する非手術治療-です。
このStep by Stepを御覧になる皆さんの多くの場合、おそらく検索キーワードは「こども そくわん 思春期側弯症、scoliosisなど」からこのブログにたどり着いておられると思います。上記に示した患者説明ビデオも AIS 思春期側弯症についての説明となっています。1時間ほどで英語のスライド説明ですので、ここに簡単ですが、内容説明も含めて、またこのStep by Stepで記載してきた内容とも関連づけながら、下記に記します。
1. 情報をどこから入手しますか? ビデオで語っておられるドクターの心配は、皆さんはどうやって、どこから側弯症についての正しい知識・情報を得ていますか? ということでした。私自身もそうですが、いまのネット検索ではGoogleを用いれば、瞬時に「情報にアクセス」することができます。その昔ニフティ時代を知っている私としては、まさに現代はその頃とは隔世の感があります。知りたいと思ったら、瞬時に「その知りたい」情報にアクセスできる、というのは本当に便利な世の中です。そして、この便利さは今後もさらに進歩を続けていくと思います。
ただし、アクセスできる、ということと、それが「正しい」ということは「イコール」ではありません。 昨今のトランプ大統領ですっかり有名になったフェイクニュースと同じことが、つねに発生しています。怖いのは「人は自分の信じたいことを信じる」という習性です。「自分に都合の良いことを信じる」と言い直しても良いかと思います。 このStep by stepの中でも何度も何度も書いてきたことですが、インターネットの世界は、魑魅魍魎の世界ともいえる現実があることをここであらためて皆さんにご注意申し上げたいと思います。 さすがに、いまでは「整体で側弯症が治る」と広告を打っている業者もいないと思いますが、それでもあいかわらず類似のことを掲載して、患者さんを集めている輩はいまだにいることでしょう。何年ぶりかで SRSのホームページを見て、そこでこれまでと同じ懸念を表明されているドクターの言葉を聞いて、何年たっても、このリスクは変わらないのだなあと、再認識しました。
2. 側弯症の進行する確率は 50%
最新の調査文献からのデータが示されていたのですが、その中に「非手術治療:観察のみで進行しなかった割合は48%」というようなことが述べられていました。
データはあくまでもデータですから、これが「100%の事実」であるとは言えません。でも、目安にはなります。医者から側弯症ですと診断された場合も、それが
100%の確率で「カーブが進行して、手術が必要になる」わけではありません。 何の治療もしない「観察」のみで患者さんの経過を調査してところ、約半分の
患者さんではカーブの進行は見られなかった、と報告されているのです。 私august03が某有名整体をなぜ批判するのか、それは、あたかも整体で側弯を治したと喧伝する、そのやり方にあります。 このStep by Stepの記事の中でも記載したことがありますが、もし私august03が整体ビジネスを始めたとしても、やはり半分の患者さんは治すことができるのです。そして、その残り半分の進行してしまった患者さんの声を封殺してなかったことにしてしまえば、私august03は、100%側弯を治すことができました、と喧伝することができます。そのようなマヤカシにですら、すがってしまいたいのが、患者さんの親御さんの気持ちであり、そのことにつけ込むビジネスがどうにもいたたまれません。
3. 一日13時間以上ブレースを装着していた場合の効果(進行することを制御)は、75%
20~40度のカーブの場合、装具療法が推奨されるわけですが、その場合、装具の効果は75%の患者さんで進行のスピードを抑制できた。とのこと。
仮に、30度で発見され装具治療を開始し、生理も終わり、成長も終わり、装具治療が完了しましたよと医師から報告された場合、カーブはゼロに戻っているわけではありませんが、手術不要の30度のままを維持できる確率が 75%ということになります。
4. アイオワ大学での側弯症患者50年以上のフォローアップより
・側弯症だからといって、生活全般においては健常者と変わりはない
・側弯症のカーブ進行が大きくなければ(例えば80度以上とか)、ライフスパンにおける寿命は健常者と変わりない
.....現在は、50度を超える状況になると手術を勧められていると思います。つまり、手術によってカーブが減少すれば、肺機能とかへの影響も減少し、ゆえに死亡率(あるいは平均寿命)には健常者との差がみられない。ということになると思います。
・側弯症患者の場合、メンタルケアが重要 ....自分の病気/容姿に対するコンプレックスの緩和ケアが、生活の質に大きく影響する
.....1時間ほどのビデオなのですが、ここ2年、3年ほどStep by Stepから離れていたために、最近の医学情報に疎く、情報の遅れをすごく心配していたのですが、どうやら、それほど私の知識・情報も時代遅れにはなっていなかったようです。 (これは良いかどうか一概には言えないのですが) そして、思春期側弯症の治療の基本原則には変わりはない、ということを確認できて、このStep by stepの中の記事の修正も不要と知り、その意味では安心しているところです。
このStep by Stepを始めてそろそろ10年ほどの年月がたつのですが、まったく更新していない時期が2年も3年も続いているにも関わらず、アクセスされる方は、毎日コンスタントにおられます。 情報を求める方がいる限り、なんとか力を振り絞って継続していければと老骨にムチ打つ覚悟です。
august03
☞august03は、メディカルドクターではありません。治療、治療方針等に関しまして、必ず主治医の先生とご相談してください。
医学文献の拙訳を提示しておりますが、詳細においてはミスが存在することも否定できません。もしこれらの内容で気になったことを主治医の先生に話された場合、先生からミスを指摘される可能性があることを前提として、先生とお話しされてください。
☞原因が特定できていない病気の場合、その治療法を巡っては「まったく矛盾」するような医学データや「相反する意見」が存在します。また病気は患者さん個々人の経験として、奇跡に近い事柄が起こりえることも事実として存在します。このブログの目指したいことは、奇跡を述べることではなく、一般的傾向がどこにあるか、ということを探しています。
☞原因不明の思春期特発性側弯症、「子どもの病気」に民間療法者が関与することは「危険」、治療はチームで対応する医療機関で実施されるべき。整体は自分で状況判断できる大人をビジネス対象とすることで良いのではありませんか?