カテゴリー「医療へのひとりごと」になります。側彎症とは直接の関係はありません
ので、ご容赦ください。
VEPTRベプター嘆願運動に関連して、私のこのブログを行政の方やマスコミの方が
読んでいただけるチャンスがあるかと思い、下記をしたためます。
私は、この一年間、側彎症という病気を理解する為に、様々な分野の資料を読みあさって
きました。その中から、審査する側にも多くの問題点があると同時に、いまの日本
の法律にも医療行政を停滞させる問題点があると感じています。
それは、米国のFDAに対する法体系と比較したときにより明確になりました。
FDAの審査官は個人レベルでの法的責任を問われることはない
免責条項により、審査官個人は守られている
かつて日本では血液製剤による薬害エイズ裁判により、当時の厚生省官僚松村明仁
氏が有罪判決を受けています。この判決が正しい/悪いをここで述べたいわけでは
ありません。述べたいのは、米国ではこのような場合、個人が刑事事件の被告に
なることはない。免責条項により、個人は保護されている。という法体系について
です。
天下りで個人の利益ばかりに汲々としている官僚を保護するのか !!
官僚の無責任体質でどれだけ国民が泣かされているの思うのか !! 等々の反論は
じゅうじゅう理解しますが、問題の本質はそれらとは別のところにあるのです。
審査の完璧性を追求するのは当然です。科学性、倫理性、社会性....様々な視点
から新しい医薬品、新しい医療機器を審査するのは当然のことです。国民に安全な
医薬品/医療機器が提供されるように審査官が厳正に審査するのは当然のことです。
その当然なことを実施する為の「システム」....組織が構築されなければなりません。
いまの日本が抱えている問題とは、その「システム」「組織」が構築できていない
ということです。
審査がどうあるべきか、審査官とはどういう人物が適任であるのか、その根本的な
部分の議論を国民には開示せずに、突然「独立行政法人医薬品医療機器総合機構」
が登場した。そういう印象をもってしまいます。
そして、この独立行政法人は、「審査」を担当しています。審査するのは、人間です。
家族も家庭も持つ個人です。そして何か問題が起これば......その審査を担当した
のが10年前のことであったとしても、その責任はその当時その職務に従事していた
者(個人)に責任が帰される。それが日本の法体系です。
もし皆さんが審査官になったとしたら、どういう審査を行うでしょうか?
何かミスを犯して、それが原因で裁判になるかもしれません。刑事事件として有罪
判決がでれば、たとえ執行猶予がつくにしても懲役刑が宣告されます。でも、それ
は本当にあなたの犯したミスなのでしょうか? 専門性が高い化学あるいは科学を有
する製品が有効であるか、安全であるかについてあなたの持てるだけの知識により
検討した、そのことによって貴方は将来罰せられるかもしれない。それが今の日本
の法律です。
これでは審査が進むはずもありません。石橋を叩いて渡らないほうが審査官にとっては
身の安全を守ることに繋がります。身の安全を守る為に、自分が不安に思う懸念材料
についてはありとあらゆる資料、データを要求するでしょう。ISOのような国際基準
の上に、さらに日本独自の上乗せ基準(規制)を乗せてくるでしょう。
.....厚生労働省の通知をあれこれと読みますと、この上乗せ基準(規制)があちこち
に見つけられます。ISOを受け入れるとホームページに書いていますが、実際の通知
では、欧米では求めていない日本独自の規制を上乗せしている例がかなりあります。
それらは国内産業を保護する目的なのか、自分たちの身を守るためなのか、あるい
は、天下り先の利益を確保する為なのか、そのいずれであるかはわかりませんが、
結果はひとつです。
つまり、審査は進まない。ということです。
そして、その原因は、審査する側が「怖い」という心理と現実にさらされているから、
と私には思えてなりません。米国のFDA審査官は免責条項により守られています。
守られているから不誠実なことをしていることは決してありません。守られている
から、安心して、誠実に職務に励んでいるという側面があるはずです。
日本の審査官にも免責条項を与えてあげるべき、と私august03は考えます。
その上で、審査とはどうあるべきなのか、審査官とはどうあるべきなのか、
どういう資質、学問、資格、経験等々を有するべきなのか、そういう面での国民的
議論があってしかるべきでしょう。どのような時代でも、どこの国においても、
許認可権を握る官僚というのは強い立場です。審査官と官僚とは職責等において
異なるのかもしれませんが、審査するという立場の持つ「責任と権限」はやはり
とても大きなものです。責任に対しては「免責」を、権限に対しては「システム
による検討」によって検証を加える、そのような法改正、制度改革が必要である
ように感じています。
......システムによる検討というのは、FDA審査制度を見ますと、ことあるごとに
専門家(医師等)と業界代表と患者側とが協議する会合が開かれているようなのです。
例えば、VEPTRについて協議した「医療ニーズ検討会」などもその1種でしょう。
医学は日進月歩しており、多種多様な医薬品、医療機器を審査官がその善し悪しを
判断することなど、そもそもに無理があります。患者に何が必要なのか、日本の
医療現場に何が求められているのか、その判断(指針)をPMDA審査側に提供する
医療ニーズ検討会という制度は、この閉塞した日本の審査制度にひとつの方向性を
示したと思います。
患者が求めているのは、官僚の保身のための審査でもなく、行政の書類手続きの為
の審査でもありません....(煩雑な書類審査は決して患者の為には役立っていません)
まして、審査官に法の番人になることを求めているわけでもありません。
私は、VEPTRベプターはデバイスラグを象徴する医療機器であると同時に、広く国民
の皆さんに、デバイスラグ/ドラッグラグ について考えてもらえるチャンスだと
思っています。その真の原因が....真ではないかもしれませんが、様々な要因が
デバイスラグを生み出す原因になってることを多くの人たちに知ってもらい、
どうすることがこれからの日本の医療に必要なのかを考えてもらえたらと願います。
私のこのブログを厚生労働省官僚の方が読むとも思えませんが、もし読まれることが
ありましたら、「免責条項」について国民に理解と協力を求められてはいかがでしょうか。
それで全てが解決することではありませんが、「行政組織」が行った判断に対して
「個人」が責めを負う。というのは、いかにも日本的ではありますが日本的すぎて
実は何の解決にも繋がっていないことを、官僚の皆さんが一番よくご存知のはずです。
ちっぽけなブログですが、一年前よりは側わん症患者さんを取り巻く環境に少し
づつ変化を起こせてきているのではないかと願っています。
VEPTR嘆願は、狭義ではVEPTRという医療機器を早く認可して欲しい、という運動です。
そして広義には、私の中では、側わん症という病気をとりまく環境を今よりも
もっと良くしたいという願いがあります。
さらには、デバイスラグ/ドラッグラグを解決して、より多くの患者さんが最新の
科学による医療を受けられるチャンスがあることを願っています。
名もない者の意見と望みですが、この声が行政にも届けば幸いです。
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ブログ内の関連記事
「医薬品医療機器総合機構 (PMDA)について 」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/46524f01f7542c90980d5e7fb5d28957
ので、ご容赦ください。
VEPTRベプター嘆願運動に関連して、私のこのブログを行政の方やマスコミの方が
読んでいただけるチャンスがあるかと思い、下記をしたためます。
私は、この一年間、側彎症という病気を理解する為に、様々な分野の資料を読みあさって
きました。その中から、審査する側にも多くの問題点があると同時に、いまの日本
の法律にも医療行政を停滞させる問題点があると感じています。
それは、米国のFDAに対する法体系と比較したときにより明確になりました。
FDAの審査官は個人レベルでの法的責任を問われることはない
免責条項により、審査官個人は守られている
かつて日本では血液製剤による薬害エイズ裁判により、当時の厚生省官僚松村明仁
氏が有罪判決を受けています。この判決が正しい/悪いをここで述べたいわけでは
ありません。述べたいのは、米国ではこのような場合、個人が刑事事件の被告に
なることはない。免責条項により、個人は保護されている。という法体系について
です。
天下りで個人の利益ばかりに汲々としている官僚を保護するのか !!
官僚の無責任体質でどれだけ国民が泣かされているの思うのか !! 等々の反論は
じゅうじゅう理解しますが、問題の本質はそれらとは別のところにあるのです。
審査の完璧性を追求するのは当然です。科学性、倫理性、社会性....様々な視点
から新しい医薬品、新しい医療機器を審査するのは当然のことです。国民に安全な
医薬品/医療機器が提供されるように審査官が厳正に審査するのは当然のことです。
その当然なことを実施する為の「システム」....組織が構築されなければなりません。
いまの日本が抱えている問題とは、その「システム」「組織」が構築できていない
ということです。
審査がどうあるべきか、審査官とはどういう人物が適任であるのか、その根本的な
部分の議論を国民には開示せずに、突然「独立行政法人医薬品医療機器総合機構」
が登場した。そういう印象をもってしまいます。
そして、この独立行政法人は、「審査」を担当しています。審査するのは、人間です。
家族も家庭も持つ個人です。そして何か問題が起これば......その審査を担当した
のが10年前のことであったとしても、その責任はその当時その職務に従事していた
者(個人)に責任が帰される。それが日本の法体系です。
もし皆さんが審査官になったとしたら、どういう審査を行うでしょうか?
何かミスを犯して、それが原因で裁判になるかもしれません。刑事事件として有罪
判決がでれば、たとえ執行猶予がつくにしても懲役刑が宣告されます。でも、それ
は本当にあなたの犯したミスなのでしょうか? 専門性が高い化学あるいは科学を有
する製品が有効であるか、安全であるかについてあなたの持てるだけの知識により
検討した、そのことによって貴方は将来罰せられるかもしれない。それが今の日本
の法律です。
これでは審査が進むはずもありません。石橋を叩いて渡らないほうが審査官にとっては
身の安全を守ることに繋がります。身の安全を守る為に、自分が不安に思う懸念材料
についてはありとあらゆる資料、データを要求するでしょう。ISOのような国際基準
の上に、さらに日本独自の上乗せ基準(規制)を乗せてくるでしょう。
.....厚生労働省の通知をあれこれと読みますと、この上乗せ基準(規制)があちこち
に見つけられます。ISOを受け入れるとホームページに書いていますが、実際の通知
では、欧米では求めていない日本独自の規制を上乗せしている例がかなりあります。
それらは国内産業を保護する目的なのか、自分たちの身を守るためなのか、あるい
は、天下り先の利益を確保する為なのか、そのいずれであるかはわかりませんが、
結果はひとつです。
つまり、審査は進まない。ということです。
そして、その原因は、審査する側が「怖い」という心理と現実にさらされているから、
と私には思えてなりません。米国のFDA審査官は免責条項により守られています。
守られているから不誠実なことをしていることは決してありません。守られている
から、安心して、誠実に職務に励んでいるという側面があるはずです。
日本の審査官にも免責条項を与えてあげるべき、と私august03は考えます。
その上で、審査とはどうあるべきなのか、審査官とはどうあるべきなのか、
どういう資質、学問、資格、経験等々を有するべきなのか、そういう面での国民的
議論があってしかるべきでしょう。どのような時代でも、どこの国においても、
許認可権を握る官僚というのは強い立場です。審査官と官僚とは職責等において
異なるのかもしれませんが、審査するという立場の持つ「責任と権限」はやはり
とても大きなものです。責任に対しては「免責」を、権限に対しては「システム
による検討」によって検証を加える、そのような法改正、制度改革が必要である
ように感じています。
......システムによる検討というのは、FDA審査制度を見ますと、ことあるごとに
専門家(医師等)と業界代表と患者側とが協議する会合が開かれているようなのです。
例えば、VEPTRについて協議した「医療ニーズ検討会」などもその1種でしょう。
医学は日進月歩しており、多種多様な医薬品、医療機器を審査官がその善し悪しを
判断することなど、そもそもに無理があります。患者に何が必要なのか、日本の
医療現場に何が求められているのか、その判断(指針)をPMDA審査側に提供する
医療ニーズ検討会という制度は、この閉塞した日本の審査制度にひとつの方向性を
示したと思います。
患者が求めているのは、官僚の保身のための審査でもなく、行政の書類手続きの為
の審査でもありません....(煩雑な書類審査は決して患者の為には役立っていません)
まして、審査官に法の番人になることを求めているわけでもありません。
私は、VEPTRベプターはデバイスラグを象徴する医療機器であると同時に、広く国民
の皆さんに、デバイスラグ/ドラッグラグ について考えてもらえるチャンスだと
思っています。その真の原因が....真ではないかもしれませんが、様々な要因が
デバイスラグを生み出す原因になってることを多くの人たちに知ってもらい、
どうすることがこれからの日本の医療に必要なのかを考えてもらえたらと願います。
私のこのブログを厚生労働省官僚の方が読むとも思えませんが、もし読まれることが
ありましたら、「免責条項」について国民に理解と協力を求められてはいかがでしょうか。
それで全てが解決することではありませんが、「行政組織」が行った判断に対して
「個人」が責めを負う。というのは、いかにも日本的ではありますが日本的すぎて
実は何の解決にも繋がっていないことを、官僚の皆さんが一番よくご存知のはずです。
ちっぽけなブログですが、一年前よりは側わん症患者さんを取り巻く環境に少し
づつ変化を起こせてきているのではないかと願っています。
VEPTR嘆願は、狭義ではVEPTRという医療機器を早く認可して欲しい、という運動です。
そして広義には、私の中では、側わん症という病気をとりまく環境を今よりも
もっと良くしたいという願いがあります。
さらには、デバイスラグ/ドラッグラグを解決して、より多くの患者さんが最新の
科学による医療を受けられるチャンスがあることを願っています。
名もない者の意見と望みですが、この声が行政にも届けば幸いです。
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ブログ内の関連記事
「医薬品医療機器総合機構 (PMDA)について 」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/46524f01f7542c90980d5e7fb5d28957