(添付は海外文献から一部表を転写したものです)
思春期以降の年齢の大学生(女性)に側弯スクリーニングをした結果を報告した文献
を見つけましたので、ご紹介させていただきます。
Scoliosis Screening of 3,000 college-aged Women (The Utah Study-Phase2)
調査対象年齢 17歳~21歳
調査数 3,210名 一次スクリーニングの結果 380名(11.8%)に側弯カーブが発見され
二次調査を実施した。
添付の表はこの文献に掲載されていたものを転写したものです。
この380名のうち298名(78.4%)は、これ以前(思春期でのスクリーニング検査)では
カーブがあることを指摘されてはいませんでした。(約20%はその当時から指摘を
受けていた、ということになります)
側弯があることが発見された380名のカーブの内訳は、
マイルドカーブ(20度以下) 207名
中等度 (20~30度) 102名
中等度+リブハンプ(30~40度) 59名
重度(50度以上) 12名
計 380名
この380名のうち315名(83%)は、年齢的に考えてこれ以上の悪化は考えにくい、
という判断から治療の必要性はなしと判断されました。65名には専門医による治療
を受けるように指導がだされました。(その結果の記載はありません)
残念ながら、この文献には、この治療を必要とされた65名が、思春期の頃にすでに
指摘を受けていた76名(20%)と一致するのか、それともそれらとは別に発見された
患者であるかの詳細な説明は記載されていませんでした。
一般的に日本でも学校(小学校、中学校)で実施されているスクリーニングは、
小学5年生に一度、中学2年で一度、というようなパターンが多いと思います。
この文献は米国ユタ州の大学生17歳~21歳に対して実施されたものですから、
これをもって日本にそのままあてはまるとは言えませんが、日本においても、
学校のスクリーニングから漏れる患者さん、および 中学2年生以降に進行する患者
さんが存在することは当然示唆されるものです。
鈴木信正先生は、あやめの会に寄稿された文のなかで、
「装具療法で大切なことは、側弯の矯正もあるが、肋骨隆起の矯正にある。
したがって、装具の装用は、18~20歳位まで継続する必要がある。」
と述べられています。
現在装具療法中のかたは、この文献で示された事実(データ)および鈴木先生の示唆
なども考慮し、主治医の先生とよく相談して装具終了時期を判断して下さい。
側弯症は骨成長期の終了とともに進行は止まる、ということは間違った定説が流布
してしまったものです。いわば迷信と同じです。
進行が止まるのではなく、進行するスピードが(急激に)遅くなる、というのが事実
としては正確であり、そのスピードは、側弯カーブの大きさと比例していると考える
べきでしょう。
17歳~21歳、3210名のうち76名(2.4%)が治療を要する重度の側弯カーブであった。
これを逆にとらえるならば、この年齢で30度程度のカーブに抑え込むことができて
いればそれからの人生は側弯症を忘れて暮らすことができるでしょう。
いま装具療法をしている患者さんは、そしてお母さんがたは、いまのこの若い時期
にとことん抑え込んでしまうことをめざすのです。若い時期に、奇麗に着飾りたい
、遊びたい時期に、装具なんて..... 実に味気ない、無粋な年月になってしまう
かもしれませんが、ともかく大学を卒業するまでは決して油断せずに、我慢我慢の
年月を娘さん/息子さんと歩んでください。
2009年6月 側弯症を広く社会に知らしめるキャンペーンにご協力ください
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ブログ内の関連記事
RSCブレース & Cheneauブレースについて
「装具の効果 側弯症専門医と親身になってくれる装具士を探すこと」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/627d9a8e15afb43aee89a444e640e4df
「側弯症装具技士.....学習、経験、研修の積み重ね (海外の場合)」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/2215d47cac4bc7b8c0efacba0a134f05
「側弯装具が効果を持つために....力の方向を理解する」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/d2b4a2b42485566347d6ad3ff7917376
思春期以降の年齢の大学生(女性)に側弯スクリーニングをした結果を報告した文献
を見つけましたので、ご紹介させていただきます。
Scoliosis Screening of 3,000 college-aged Women (The Utah Study-Phase2)
調査対象年齢 17歳~21歳
調査数 3,210名 一次スクリーニングの結果 380名(11.8%)に側弯カーブが発見され
二次調査を実施した。
添付の表はこの文献に掲載されていたものを転写したものです。
この380名のうち298名(78.4%)は、これ以前(思春期でのスクリーニング検査)では
カーブがあることを指摘されてはいませんでした。(約20%はその当時から指摘を
受けていた、ということになります)
側弯があることが発見された380名のカーブの内訳は、
マイルドカーブ(20度以下) 207名
中等度 (20~30度) 102名
中等度+リブハンプ(30~40度) 59名
重度(50度以上) 12名
計 380名
この380名のうち315名(83%)は、年齢的に考えてこれ以上の悪化は考えにくい、
という判断から治療の必要性はなしと判断されました。65名には専門医による治療
を受けるように指導がだされました。(その結果の記載はありません)
残念ながら、この文献には、この治療を必要とされた65名が、思春期の頃にすでに
指摘を受けていた76名(20%)と一致するのか、それともそれらとは別に発見された
患者であるかの詳細な説明は記載されていませんでした。
一般的に日本でも学校(小学校、中学校)で実施されているスクリーニングは、
小学5年生に一度、中学2年で一度、というようなパターンが多いと思います。
この文献は米国ユタ州の大学生17歳~21歳に対して実施されたものですから、
これをもって日本にそのままあてはまるとは言えませんが、日本においても、
学校のスクリーニングから漏れる患者さん、および 中学2年生以降に進行する患者
さんが存在することは当然示唆されるものです。
鈴木信正先生は、あやめの会に寄稿された文のなかで、
「装具療法で大切なことは、側弯の矯正もあるが、肋骨隆起の矯正にある。
したがって、装具の装用は、18~20歳位まで継続する必要がある。」
と述べられています。
現在装具療法中のかたは、この文献で示された事実(データ)および鈴木先生の示唆
なども考慮し、主治医の先生とよく相談して装具終了時期を判断して下さい。
側弯症は骨成長期の終了とともに進行は止まる、ということは間違った定説が流布
してしまったものです。いわば迷信と同じです。
進行が止まるのではなく、進行するスピードが(急激に)遅くなる、というのが事実
としては正確であり、そのスピードは、側弯カーブの大きさと比例していると考える
べきでしょう。
17歳~21歳、3210名のうち76名(2.4%)が治療を要する重度の側弯カーブであった。
これを逆にとらえるならば、この年齢で30度程度のカーブに抑え込むことができて
いればそれからの人生は側弯症を忘れて暮らすことができるでしょう。
いま装具療法をしている患者さんは、そしてお母さんがたは、いまのこの若い時期
にとことん抑え込んでしまうことをめざすのです。若い時期に、奇麗に着飾りたい
、遊びたい時期に、装具なんて..... 実に味気ない、無粋な年月になってしまう
かもしれませんが、ともかく大学を卒業するまでは決して油断せずに、我慢我慢の
年月を娘さん/息子さんと歩んでください。
2009年6月 側弯症を広く社会に知らしめるキャンペーンにご協力ください
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「側弯装具が効果を持つために....力の方向を理解する」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/d2b4a2b42485566347d6ad3ff7917376