~step by step~[ 側弯症ライブラリー]患者の皆さんへ

側弯症(側わん症/側湾症/そくわん)治療に関する資料と情報を発信するためのブログです

RE: 蘭さんよりのご質問に対しまして

2011-07-16 04:18:11 | 側弯症患者さんの経験
コメント欄 2011-07-14 10:26:28 蘭さんより
1つ疑問があり、コメントさせていただきました。
それは、このPHVというのは先天性にはあてはまらないのか、ということです。
前々から疑問だったことなのです。
私が中2の時に機能性側弯症と診断されたのは、初潮から1年3ヶ月の頃でした。
それまでに、10歳の時に8㎝、11歳の時に7㎝、12歳の時に3㎝伸びていました。初潮は12歳と46日でした。
そして診断されてからは1㎝しか伸びず、現在身長が140㎝ちょうどで、-3.5SDという低身長なのです。
元々低身長で検査を受けておりますので、この程度の身長なのは予想していて、側弯のせいで伸びなかったのとは思っていません。
ただ、機能性と診断されてから30゜も進行したことが解せないのです。
おそらく、かかりつけの整形外科医も、初潮から1年以上経って20゜未満であることを踏まえて機能性と診断されたと思います。
私自身、自分の体がおかしいと気付いたのは中3の冬でしたので、誤診ではなかったと思っております。
また、高1の時に重度の側弯と言われ、今の大学病院を紹介していただいたのも同じ病院です。

ということから、これは先天性に当てはまるのかどうか、がとても疑問です。
できればお答えいただきたいです。
よろしくお願いいたします。

 ////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

august03です。
難しいご質問ですね。
私は、このStep by stepを見ていただいている多くの皆さんにご理解してもらえるように、できるだけ「シンプル」な形で説明をすることをつねとしていますので、もしかすると蘭さんが期待する回答にならないかしれませんこと、ご了承ください。

先天性という場合、脊椎椎体のどこかに奇形骨となったものが存在し、それが原因となって、その部分を中心としてテコように曲がっていく。という経緯をたどるのが「一般的な経緯」となります。生まれる前のお母さんのおなかの中にいたときからの変形骨の発生のため、その変形部位、形、大きさ等々は、人によりまったく異なるものとなります。また、脊椎の変形だけではなく、心臓や他の臓器や、身体の別の部分にも先天性の疾患を有することが多々あります。
これは、原因がレントゲン等で確認できる範疇の病気ということになります。

一方、思春期前の小児で、側わんと診断されることがありますが、上記のような奇形骨の存在しない場合は「特発性」ということになります。機能性かもしれませんので、しばらく様子を見ることになるでしょう。その上で、変形が進む場合は、「特発性」と確定診断することになると思います。

思春期で見つかる側弯症の大半は......機能性のものかもしれない。という疑いもあるので、しばらく様子を見ることになります。そのうえで、進行が止まらない、どうも進行をし続けてるということが判断できたところで「特発性側弯症」という確定診断をすることになると思います。

脊柱にカーブがある方は..... スクリーニング時期ですので、お子さんはと言い直しますと、100人に一人ではすまない確率で発見されています。あるいは、スクリーニングに漏れて (発見されずに)しまうお子さんもいます。 そういうお子さんの数のほうが多いと思います。 さて、そういう状況で次に何が生まれるかといいますと、スクリーニングから漏れた真性の、かつ進行性の側弯症患者さんの場合は、カーブが進んでしまってから発見されることになり、気づいたときには遅すぎた、手術しかありません。というパターンと、ある程度のカーブをもっていても、まったく気にもならない程度で、大人になってから何か別の検査で、曲がってることを指摘されたり、というパターンもあります。さらに言えば、先天性の奇形骨を持ちながらも、その程度が軽くて、こどものときには何ともなく、大人になってから、やはり別の検査でたまたまそれに気づいた。というようなケースもあります。

 >> 機能性と診断されてから30゜も進行したことが解せないのです。

機能性というのは、まだ確定診断できる時期ではないので、「様子を見る時期」ということで「機能性側湾」とその先生は言われたのかもしれません。おそらく、その時には奇形骨も見逃していたのかもしれません。

それと、もうひとつは、医療に限らず、私たちは、どのような分野であれ物事を分析する為に、「区分」「区分け」という作業をつねに行うものですが、医療では特に、その作業をすることから「治療」が始まるといっていいと思います。診断とは、区分け作業のことですから。そして、診断があるから、治療方針が生まれ、その治療方針をみなさんに説明し、そしてその治療方針にもとづいた治療を進めることになるわけです。

逆を言えば、もしその診断が間違っていたら、その治療方針も間違った方向に行ってしまう。ということになるわけです。

側弯症の場合、先天性でない場合は、患者さんが、機能性なのか、構築性(つまり特発性)なのかは、はじめから確定診断するのは難しい例が多々あると思います。また分類というのは、つねにスパッと割り切れるものではなく、どこかに曖昧な、いわばハズレ値のような例というものは存在します。蘭さんを診た先生の経験とか、知識も相当に影響すると思います。
例えば疑問におもっておられる、PHVという考え方も、それで全てがスパッと判断できるものでもないと思います。というのは、医療にはつねに「個人差」「個体差」というものが存在するからです。

ある人にとっては、様々なケースを聞いて、まったく自分のことと当てはまる。という場合もあるでしょうし、ある人の場合は、誰のケースとも当てはまらない。という場合もあるでしょう。
ご自分でそういうことを調べて、いろいろと考えてみる方もおれば、先生自身が、何かちょっと怪しいかもという気持ちを抱いて、定期検査の間隔を短くするとか、そういう配慮をされる先生もいるかもしれません。
あるいは、先生は気づかなくても、最初の診断から、1ヶ月とか2ヶ月ばかりの間に進行に気づいて、定期検査前に病院にいった。という方もあるかもしれません。自宅で、毎日朝晩二回、定時に身長を測定して記録をつけていて、大きな変化に気づいたという方もおられますし、その逆に、全然変化がないままに、結局機能性だった。ということで終了される方もおられます。

蘭さんのお話を聞いていて、そういう事例があったことを思い出していました。
側弯症の場合、過度に心配して精神的にまいってしまい、家庭内不和とか、あげくには離婚になってしまった、という例もありますので、過剰な反応はしないでほしいのですが、ご自宅で、朝晩二回、お子さんの身長を測定して、変化を記録していく。ということは、お子さんを守る。という意味でも有効な方法だと思います。......これはこの話を見ておられるお母さんがたへのコメントになりますが。

 >> これは先天性に当てはまるのかどうか、がとても疑問です。

何とお答えすべきか、難しいですね。
ただ、前回もおはなししたと思いますが、蘭さんの側弯症の状況はいま手術を必要としている状況ではないということが、専門の先生からも診断していただいたわけですから、それはそれで喜ばしいことと受け止められはいかがでしょう。
手術しなくても済むならば、手術はしないにこしたことはありません。
どうしても、手術しか方法がないならば、手術を恐れてはいけないですが。

腰痛はいまもひどく痛むのでしょうか ?
頑固な腰痛というものは存在しますし、原因がどうしても掴めない、という腰痛も存在します。でも、それは側弯症からきているのではなく、別の何かが原因になっていると思います。側弯症のことは、頭から切り離して、腰痛外来のようなところとか、何か別方面からのアプローチも検討されてはいかがでしょう。
私は、いまのところまだそちらの方面ではお役にたてなくて、申し訳ございません。

なんだか、話があちこちに行ってしまったみたいで恐縮ですが、以上を回答とさせてください
勉強がんばってください

august03


コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 安全な脊椎手術を求めて No.... | トップ | ゆうままさんへ »
最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ありがとうございます。 ()
2011-07-17 01:12:05
いつも本当にお世話になり、ありがとうございます。

私はあれから、色々なサイトや掲示板を見、時にはそこで相談し、やはり手術を希望することにしました。
今の大学病院では、手術ができないようですので、名城病院に転院を考えております。
理由としましては、恐らくまだ進行しているだろうこと、この角度ではこれからもゆっくり進行する可能性があること、中年以降の側弯と腰痛の因果関係が証明されているみたいであること、です。
また、痛みは神経から来ているのではないだろうということです。


私は、第5、11胸椎がそれぞれ台形を左に90゜、右に90゜回転させた様な形になっています。
その台形の形をした胸椎の、下底にあたるところのそばの部分、つまり、右背部と左腰痛が痛いのです。
その証拠に、筋弛緩剤を服用した時には痛みは緩和しました。しかし、筋弛緩剤は私の体に合いませんでした。その上かかりつけ医には、もし筋弛緩剤が体に合っていても、17歳の子が長期服用をするのは私は良いとは思えないと言われました。
ですから、かかりつけ医には手術は私が望むならば好きにして良いと言われました。
そういう経緯で、手術を希望するに至ったのです。
因みに、このように書くと、私に筋力が無いように思われがちですが、私は現在は文学部(箏曲部)ですが、中学時代はテニス部でした。その為毎日、腹筋背筋は20回ずつはやっていましたし、今でも痛みが無い限り続けております。なので、体力テストの上体起こしでは、いつも好成績です。ですので、筋力不足によって筋力が痛いのではないというのが、かかりつけの整形外科医の判断でした。

よって、手術による改善の余地はあるだろう、だから大学病院の専門医がやらないと言うならば、やってもらえる医者を探すのも良いと思う、とかかりつけの整形外科医に先日言われました。


今は一時期に比べれば良くなりましたが、まだ学校に行ける状態ではありません。
また、このような状態が続いていた為、学校は取り敢えず休学ということになりました。
ですので、この休学している時間を利用し、手術をしたいと考えております。


字数制限により、連投させていただきます。
長くなりすいません。
返信する
先の続きになります。 ()
2011-07-17 01:38:39
身長がほぼ止まっていても、骨が完全に成熟するまでは、大きく進行する場合も、稀ではあるが無くはない、ということでしょうか。


やはりそういう例外、にあたるものも医療には少なくないのでしょうか。


これは将来的に勉強になることにもなりそうです。




私は3歳、7歳半、10歳の時にも胸部レントゲン、10歳の時にCTを撮っていましたが、やはり曲がっていなければ奇形骨を発見するのも難しかったんですかね…。


なんだか4度も見逃された気がして、どうも悔しいですが、今さら言っても仕方ないですね。





私があまりにも痛いと言うので、20日にMRIを撮ることになりました。しかし、恐らく神経には異常無いので(痛みの質が異なるから)、そう言われれば、そのまま紹介状を書いてもらう予定です。


私は手術に対して、リスクを考慮しても、前向きです。

返信する
娘の手術 (心配ママ)
2012-10-10 21:37:22
このたび、手術を決意した高校3年生の娘の母です。

高校3年の春に娘のウエストのくびれの不均衡を発見し尋常でない状況を発見しました。(情けない、、、、)
6月に腰椎39度、4ヶ月後の今日の検診で45度、そして身長と座高が5ミリ縮んでいました。
体の重心がずれておりこれからも進行していくタイプだろうといわれています。
背中のふくらみというかこぶも日に日に大きくなっている気がします。

手術を決意し、2週間後に検査入院、その後2カ月かけての自己採血が始まります。

一番の心配は、手術後の後遺症です。
4月から東京での一人暮らし大学生活が始まります。

本当に手術して大丈夫なのか、心配でなりません。
生きていく上でなく、女として、娘として大丈夫か、、、、医学的な見地だけでなくコルセット&運動制限などのイメージができないので、、、、

名城大学の川上先生に診ていただいております。
(非常に信頼しています)

矯正手術そのものに不安はあまりないのですが、その後の生活水準(幸せ水準)に不安があります。

とりとめのないメールになりますが、、、
先生のご意見をお聞かせください。








返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

側弯症患者さんの経験」カテゴリの最新記事